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日本の巨大ロボットは全てここから始まった!

今回は、アニメ「鉄人28号」について書いてみたいと思う。

・・そう、言わずと知れた、日本の巨大ロボットアニメ第一号である。

アニメ「鉄人28号」1963年10月放送開始

日本初のテレビアニメ「鉄腕アトム」が1963年1月から放送開始となってるので、ほぼ同時にふたつのロボットアニメが立ち上がったわけだね。
かたや等身大のロボット、かたや巨大ロボット。

私はね、「巨大ロボット」って発想は世界的に見てもかなり特殊な部類だと思うんですよ。
アトムのような等身大型のロボット、アンドロイドはまだ分かる。
世界的に見ても、そういうアンドロイドが出てくる作品はきっと数多くあるだろう。
でも、巨大ロボットが出てくるものなんて、日本以外じゃほぼ皆無に等しいんじゃないか?
アメリカの「トランスフォーマー」はあるけど、あれももともとは日本発の企画だし・・。

じゃ、一番最初に<巨大ロボット>という概念を打ち出した横山光輝先生はスゴ~イ!
・・と、言うつもりは特にありません。

いや、こういう言い方はあれだが、仮に横山先生が「鉄人28号」を描かなくとも、必ず代わりに誰かが<巨大ロボット>という概念を打ち出していたと思うんだわ。

「ゴジラ」(1954年)
「鉄人28号」(1963年)⇐漫画版の連載開始は1956年
「ガメラ」(1965年)
「ウルトラマン」(1966年)
「大魔神」(1966年)
「マグマ大使」〔1966年


お分かりになります?
まず、50年代「ゴジラ」を皮切りにして、60年代に入るとほぼ同時多発的に巨大怪獣、もしくは巨大ヒーローのコンテンツがどんどんと湧いて出てきたわけさ。
そして70年代には、その決定版とでもいうべき「マジンガーZ」だね。

「マジンガーZ」(1972年)

とにかく、日本人はデカいモノが大好きなんですよ!

じゃ、一番最初のデカいモノとなった「ゴジラ」は何に着想を得て作られたコンテンツなのかというと、それはアメリカ映画「キングコング」だったというのが定説。

「キングコング」(1933年)

じゃ、横山先生も同じく「キングコング」に着想を得たのかなと思いきや、実はそうではない。
先生の着想は、もう少し重い。
それは戦争体験そのものに他ならず、鉄人28号のモデルはB29だという。
戦前生まれである横山先生は、おそらくB29の実物を目視した経験があるんだろう・・。
きっと「デカい!」という印象だったんじゃないかな?

結局、この戦争で日本軍は米軍に敗れたわけで、<デカさ強さ>が当時の日本人たちに強く刷り込まれたことは想像に難くない。

思えば、日本人のデカいモノへの畏れは幕末の黒船襲来の頃からしてそうである。

結局、この黒船の恐怖に屈し、幕府はアメリカと不平等条約を締結することになったわけだ。
なお、この<黒船ショック>はその後ずっと我が国がコンプレックスとして引きずることにもなり、やがて日本海軍は「大和」という世界最大の戦艦を造るにまで至るのね。
その頃は既に戦闘機主流の時代、巨大戦艦などはもはや時代錯誤も甚だしい無用の長物だったのでは?ともいわれているが、それでも作っちゃうあたりが<デカさ強さ>を信じる日本人独特のメンタリティだろう。

このメンタリティは、かなり古い時代から始まっている。

仁徳天皇陵(世界最大の墓)

東大寺の大仏

もはや、日本人のデカいモノへの信仰心はDNAレベルで刻まれてるといっても過言ではあるまい。

そういや、私の小学時代に隣りのクラスに「Tくん」という子がいて、彼はイチモツが大きいという理由だけでスーパースターだったんだよね。
ついた異名が「ふた握り半」。
彼は、どちらかというとフツーの人だったと思うが、でも小学5年の時点で既にイチモツが仁徳天皇陵みたいなカタチで、我々の尊敬の対象となるには十分だった。

我が国の昔から脈々と続く巨大ロボット人気というのも、おそらくベースはそういうところ(仁徳天皇陵)にあると思います。

さて、「鉄人28号」に話を戻そう。

この作品の人気を支えたのは決して鉄人だけではなく、主人公の正太郎くんの存在もかなり大きい。
皆さんも多くはご存じだろうが、「ショタコン」の「ショタ」は正太郎くんの名からきている。
また【ブレザー+半ズボン】というショタ定番のスタイル、これを築いたのも横山先生の偉大な功績といっていいだろう。

ところでだが、「鉄人28号」のアニメというのは実をいうと5種類ほどあるんですよね。

①1963年版「鉄人28号」(モノクロ)

②1980年版「太陽の使者/鉄人28号」(リメイク)

③1992年版「超電導ロボ/鉄人28号FX」(①の続編)

④2004年版「鉄人28号」(リメイク)

⑤2007年版「鉄人28号/白昼の残月」(劇場版)


じゃ、この中でどれがいいのかというと、これはあくまで私の個人的な意見だが、④と⑤がダントツでいいですね。

①はモノクロだし作画がイマイチだし、②と③はコドモっぽすぎる。
そして④と⑤の何がいいかって

監督/今川奏宏、キャラデザ/なかむらたかしという文句のつけようがない制作陣なんです!

また、制作会社がパルムスタジオというところで、これはなかむらさんが「パルムの樹」(⇐名作)を制作する為に立ち上げた会社で(現在は解散)なぜかそこが制作を担ってくれてるんですよ。

で、監督の今川さんは90年代、同じく横山先生の「ジャイアントロボ/地球が静止する日」を監督したことで名声を得た実績あり。

ただ、この「ジャイアントロボ」があまりにも荒唐無稽な描写が多く、彼は「原作クラッシャー」という異名まで頂戴したらしいんだが、しかし誤解のないように。
「鉄人28号」の今川監督は全然フザけてません。

フザけた時の今川監督↓↓

なんかね、今川さんはマジで「鉄人28号」がコドモの頃大好きだったらしいのよ。
彼は1962年生まれなので庵野さん(1960年生まれ)らとほぼ同世代なんだが、庵野さんがウルトラマンや仮面ライダー大好きなのと意味を同じくして今川さんの場合は無類の「鉄人」オタクなんだろう。
だから、テレビアニメ第1作目というより横山先生の原作漫画の方をベースにしてるニュアンスがあり、ただし漫画版の方は設定が二転三転してゴチャゴチャしてるもんで、そこは今川さんなりの解釈で再構築してるという感じかな?
しかも、その再構築が結構うまくて、これがなかなかいいんですよ。

「鉄人28号」の他のロボット物には無い面白さ

①舞台が1950年代の日本で、太平洋戦争の傷がまだ人々の心の中で癒えてないことが物語の前提

②鉄人は旧日本軍が極秘開発していた禁忌の大量殺戮兵器

③鉄人はマジンガーやガンダムのように搭乗型でなく、リモコンを使用した遠隔操作型

④なぜかセキュリティが甘くて、大事なリモコンをしょっちゅう悪い奴らに狙われ、時には奪われるww

「鉄人28号」のリモコン

こういうSFは未来を舞台にすることの方が多いが、なぜか「鉄人28号」の舞台は太平洋戦争終戦の約10年後といったところ。
そのレトロな空気感がまたいいんですよ。
江戸川乱歩的世界観とでもいうべきでしょうか。

で、上の①~④の中で特に重要なのが④。
実際、リモコンを犯罪組織に奪われて、鉄人が「悪」の手先となるパターンが結構頻繁にあります。
だって、手軽に持ち運べる小さな機械だし、ましてや所有してるのがコドモだから、そりゃ簡単に盗まれますよ
で、リモコン盗まれたら最後、悪の手先になった鉄人は警察の機動隊ごときではもう絶対に止められません。

・・そう、それこそが「鉄人28号」最大のテーマなんだよね。

鉄人28号は善でも悪でもなく、ただリモコンを持つ人によって<神>にも<悪魔>にも転じるリスクを孕んだ装置である・・

横山先生がこの漫画を連載開始したのが1956年。

そして、その2年前にコレ↓↓があったんですよね。

1954年、日本に自衛隊が発足

詳しくは知らんけど、当時めっちゃ反対する意見も多かったらしいぞ。
危険だ、もう軍隊なんてこりごりだ、って・・。

つまり横山先生は明らかに自衛隊のメタファーとして鉄人を描いてるんです。


その巨大なチカラは確かに人々を守るだろうが、その一方で「リモコン」が悪の手に渡った瞬間、それは手をつけられない厄災になるだろう、と。
そこは後に「三国志」を描く横山先生だけに、当時から結構シビアな歴史観がある人なのよね・・。

ところで、「ガンダム」等を見慣れてる人が「鉄人28号」を見たら「バトルシーンが、めっちゃ少ないやないか!」と違和感を覚えると思うんですよ。

・・えぇ、実はそれには少し事情がありましてね、ぶっちゃけいうと

あまり予算が無くて、カロリーを抑える為にも鉄人のバトルは極力控えたそうなんですw

代わりに八面六臂の活躍をするのが正太郎くんで、彼はクルマの運転はするし、拳銃を扱えるし、コイツ一体何歳なんだろう?
多分、コナンと同じで黒の組織に薬品飲まされた可能性は極めて高い。

それでも「ロボのバトルを見たいんや!」という人は、2007年の劇場版の方をご覧になるのがいいかもね。

劇場版「白昼の残月」

これも今川監督作で、予算はこっちの方があったらしく、こっちでは鉄人がそこそこバトルします。
これも傑作ですわ。
ただ、テレビ版で死んだ人がこっちでは生きてたり、あとテレビ版で警察側だった人がこっちではヤクザだったり、まぁ、パラレルワールドということなんでしょう。
今川監督作ゆえ、細かいことを気にしないのがマナーです。

・・あ、念の為に言っときますけど、

テレビ版も劇場版も号泣系でめっちゃ重い作風ですよ?

でも、そこがいいんです。

未見の方でサブスクの視聴環境にない方は
2004年テレビ版⇒YouTubeで「Mineiro AnimeZ」
2007年劇場版⇒YouTubeで「鉄人28号 白昼の残月」
と検索してみてください。

見る価値は十分にあります!


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