「この世界の片隅に」における、声優のんの演技
今回は、最近ちょっと気になった芸能人について少し書いてみたい。
その芸能人というのは、この人である↓↓
のん(旧名/能年玲奈)

この人がブレイクしたのは2013年のNHK朝ドラ「あまちゃん」で、あれからもう12年も経っちゃったのか・・。
彼女も、今はもう32歳だという。
ただ、皆さんご存じの通り、のんさんは「あまちゃん」以降に所属事務所とトラブルが色々ありましてね。
で、やがて事務所から独立。
それが「芸能界の掟に背く背反行為」に該当したのか知らんが、そこからの彼女は思いっきり業界からホサれちゃったんだよな・・。
あと、それまでの芸名「能年玲奈(これ本名らしい)」も使用不可になってしまい、「あぁ、この子は完全に潰されちゃったなぁ」と当時思ったものである。

こういうのは「カムイ外伝」をイメージしたら分かりやすいと思う。
抜け忍は、里の掟として絶対に粛清される運命にある。
事実、カムイのところには里から次々に刺客が送られてくる。
その全てをカムイは返り討ちしてるから里には大損害のはずだし、抜け忍を1人始末すること自体は里には何ひとつ利益生まないのに、一体何をムキになってんの?と不思議に感じた人も多いだろう。
・・いや、これはしようがないのよ。
だって仮にカムイの里抜けが成功したら、「じゃ俺もカムイみたいに・・」といって里抜けする者があとを絶たなくなるかもしれん。
そうなれば、里の統制がとれなくなる。
いうなれば、のんさんの本質は抜け忍、カムイなんですね。
で、里の規律、統制を守る為にも、どうしても彼女を抹殺しておきたかったであろう人物が、彼↓↓である。
当時の所属事務所「レプロ」社長/本間憲氏

・・はい、のんさんが敵に回しちゃったのは、この本間社長なんですね。
レプロ里の首領。
しかし、この人は業界全体に「のんを起用するな」と号令をかけられるほどの権力者だったのか?
多分そうではないと思うし、実際に彼がのんさんの活動を妨害をしたという証拠は何も出てこないと思う。
だから実質、これは多分テレビ局側の「ソンタク」だったと思うのよ。
そしてテレビ局側も本間社長個人にビビってたというわけではなくて、彼の上にいる、この人のこと↓↓を怖がってたんでしょ?
バーニング創業者「芸能界の首領」周防郁雄氏

そう、バーニンググループは旧ジャニーズと並び、「絶対に敵にまわしてはならない」が不文律の帝国である。
そのぐらいにこのドン周防は恐い存在で、おそらく芸能界のみならず色々なところにパイプを持ってる人だと思う。
多分、幕府とも繋がってるし、越後屋とも繋がっている。
こういうバーニング相手に喧嘩したのんさんが当時どれほど覚悟してたのか知らんが、怖いもの知らずにも程があるってもんだわ・・。

ただ、私は当時こう考えてたんですよ。
「この独立騒動はのんさん個人の意思じゃなく、むしろその背後にいるオトナたちによるバーニングへの造反であり、のんさんはただそれに振り回されてただけじゃないのか・・?」と。
実際、どうしても彼女の柔和なイメージと「事務所社長に造反」という現実とがうまく結びつかなかったからね。
・・ただ、最近になってのんさんはポツポツと当時のことについてコメントをするようになり、その複数の内容を精密にチェックして私なりに検証した結論から言わせてもらうと、
彼女、明確に自分の意思で事務所と喧嘩してましたわw

この柔和なビジュアルについついダマされてしまうが、彼女は外見と裏腹に内面はかなりエッジがきいてる人ですね。
ただ、言語化が正直あまり上手い人ではなく、言葉でうまく自分を語れないタイプかと。
で、彼女の場合、「歌」というカタチで当時のことを総括してるんですよ。
作詞・作曲のヒグチアイさんに、メディアで話せないことも含め洗いざらい打ち明け、ヒグチさんはそれをモトにして「荒野に立つ」という曲を作ったのね。
・・でさぁ、これがもう鳥肌立つほどいい曲なんです。
私、その歌詞に思わず涙が出てきちゃって・・。
「荒野に立つ」唄/のん
このMV、実は監督も編集ものんさん自身なんですよね(最近の彼女は映画監督もやってるみたい)。
・・で、彼女のこの歌が泣けるのは、彼女が曲に自分の人生をさらけ出したからだと思う。
お前、庵野秀明かよ、とツッコみたくなるほどの自分語りである(笑)。
あぁ、この人は真性の表現者だなぁ・・と、つくづく思ったわ。
うまく言葉で自分で語れない代わり、こういうカタチで自分を語っていく人なんだね。

で、のんさんといえば、やはりこれ、「この世界の片隅に」でしょ~。
思えば、これが公開されたのは2016年。
つまり、のんさんが事務所から独立した直後のことである。
ある意味では一番デリケートな時期であり、よくそんなヤバいタイミングで公開したよなぁと思うが、そこを躊躇せず公開に踏み切れたのは、この作品がクラウドファンディングによる制作だったことがあるだろう。
つまり、これは一般人含む有志たちのおカネによって作ったアニメであり、いわゆる「業界のオトナたち」のテリトリー外にあるわけよね。
誰も口出しできない。
たとえバーニングであろうと。
その意味でいうと、のんさんは絶妙のタイミングで、絶妙な作品に出会えたわけよ。

どうも話を聞く限りだと、のんさんは声優オーディションを受けたわけではないっぽい。
片渕監督による、のんさん一本釣りだったのでは?
多分、監督が抱くヒロインすずのイメージに近かったんだろうね。
ただ、監督も当初抱いていた彼女のイメージとのギャップに戸惑ったはずだ。
・・というのも、彼女って「ハリウッド式演技メソッド」で芝居を組み立ててくる、ちょっとややこしい子だったらしいのよww

意外かもしれんが、彼女は感性で演技するタイプではなく、全部ロジックで体系をイチから作るタイプだったみたいだね。
シーンごとの各論、全体像としての総論、何やらびっしりノートに書き込むことでキャラを分析していくというタイプ。
日々、片渕監督のところにのんさんからのメールが大量に届き、それが全てすずという人物に対する質問だったらしい。
また、片渕さんもめっちゃいい人だからさ、ひとつひとつ丁寧にその質問に答えてくれたみたいで・・。
御二人で、すずの様々な裏設定を構築していったんだろう。

できれば、そういうのんさんの声優としての姿勢を踏まえた上で、もう一度「この世界の片隅に」をご覧になってみてください。
これ、繰り返し見るとホントよく分かるんだが、のんさん、こう見えて実は演技がかなり上手い。
「あまちゃん」の時より数段バージョンアップしてると思う。
・・聞けば、「あまちゃん」の時は「演技メソッド」ナシでやってたらしいんだけど。

思えば、彼女は二十代という女優として最も輝ける時期にホサれてしまったわけだが、かといって彼女は何もしてなかったわけじゃなく、色々と活動の幅を広げてたのよ。
<音楽活動>

<絵画>

<映画監督>

これらの活動は、レプロにいたら多分できなかったことばかりだね。
普通、ホサれた女優は脱いでセクシー路線にいくしか道はないというのに、のんさんに関してはそれが全くなかった・・。

私、実は半分ほどレプロに同情してるんだが、「あまちゃん」以降の彼女は「事務所が仕事をくれない」と愚痴りつつも、案外自分が仕事の選り好みをしてたらしいんだわ(このへんは裁判で明らかになっている)。
いわれてみりゃ、彼女は女性タレントの下積み時代には絶対必須の「水着で谷間見せて四つん這い」系のグラビアが一切ないのよ。
これはどう考えても、彼女自身が「やりたくない」と言ってるよね。
・・おいおい、みんな通ってきた道だぞ?
あの女傑ですら、やってたんだぞ?

そこを「やりたくない」で我を通し、事務所も辞め、これが業界の掟としてただで済むわけがない。
いや、実際ただでは済まなかった。
ところが、近年ののんさんは日本アカデミー賞の優秀主演女優賞獲ったり、日本批評家大賞の最優秀主演女優賞獲ったり、今年に入ってからは地上波のテレビドラマに11年ぶりの復帰。
NetflixやABEMAなどでも女優として注目を集める存在となっている。

ここにきて、この復活の機運は一体何なのか?と思いきや、
どうやら昨年、ドン周防郁雄が脳梗塞になってバーニングの第一線から退いてたみたいで・・

これスゲーな、遂にのんさんの粘り勝ちじゃん!
おそらく芸能界史上、のんさんはバーニングと喧嘩をしたのに負けなかった唯一の女優である。
まぁ、これは昔に比べてテレビのチカラが落ちてきたことと、ネットの配信がチカラをつけてきたという時代背景も関係してるだろう。
つまり昔に比べて、バーニングはそれほど恐い存在じゃなくなってきてるのかもしれん。
・・で、そのうちドン周防が亡くなれば、それこそジャニー喜多川氏逝去の時と同じく、まず間違いなく周防氏の過去(特に性上納の慣習)が取り沙汰されますよね。
また、帝国がひとつ滅ぶのかもしれません。
のんさんが、遂に王手をかけました!

時代は、変わったねぇ・・。
つまり抜け忍が勝ち、里の方が負けるかもしれない時代の到来である。
そのうち、のんの名前が能年玲奈に戻る可能性すら出てきた。
いや、やはり明暗を分けたのはコレ↓↓ですよ。

この作品の異常なほどのロングラン、また長尺版の上映、さらにリバイバル上映、それらが9年間、ず~っと彼女の芸能界における存在感を支え続けたんです。
苦節に耐えたのんさんに、心からおめでとうと言いたい。
私は、これからも応援していきます。

