ガンダムvsマクロス 相容れない両者
2018年、「ガンダム」のハリウッド実写化計画が発表された。
監督は「キングコング:髑髏島の巨神」を手掛けたジョーダンヴォートロバーツ、制作は「パシフィックリム」などを手掛けたレジェンダリーピクチャーズ。
ここしばらく音沙汰なくて「中止か?」と心配したけど、今夏に監督が横浜の実物大ガンダム視察で来日したところを見るに、プロジェクトは進行中の様子。

またその一方で、米ソニーピクチャーズが「マクロス」の実写化計画を発表している。
実は、「マクロス」は米国だと「ロボテック」というタイトルでテレビ放送してたらしく、今回の企画はその実写化ということらしい。

近いうち、ガンダムvsマクロスの対決がハリウッドで見られそうだね。
日本での人気は【ガンダム>マクロス】だけど、これもハリウッドだとどうなるかは意外と分からんよ。
あっちの人はロボットの変形やら合体やらに萌える属性らしく、そのへんは「トランスフォーマー」で既に実証済み。
意外と、変形ロボである「マクロス」有利かも?
さて、今回は「マクロス」シリーズについて書こうと思う。
まぁ正直いうと、私は「マクロス」がさほど好きではない。
この作品、「ガンダム」ほどの作家性がないと思わないか?
それもそのはず、「ガンダム」でいうところの富野由悠季的カリスマが不在なんだよ。
しいていうなら河森正治氏がそれに該当するんだろうが、この人はもともとメカニックデザイナーで、メカ描写優先の人ゆえ人間描写は案外薄っぺらいんだよね。
その点は、人間の業を描くことに執着する富野さんとは真逆といえよう。
まず何より、富野さんと河森さんとでは世代に大きな開きがある。


富野さんは太平洋戦争を知る世代ゆえ、どうしても戦争そのものを描きたい人なんだ。
一方、河森さんは高度経済成長期の申し子ゆえ、メカそのものが大好きなんだろう。
ぶっちゃけ、見た目もあれだよね。
富野さんは焼き鳥食って焼酎飲んでそうなタイプなのに対し、河森さんはローストビーフ食ってワイン飲んでそうなタイプ。
河森さんって慶応大学出身で、見ての通りのイケメンで、さぞやモテたことだろう。
よって彼が手掛ける「マクロス」も「アクエリオン」も、必ず恋愛がメインになるんだよね。
作風として「ガンダム」の硬派路線に対し、「マクロス」がやや軟派路線に走ったのは必然だったのかも。
ただ、「ガンダム」のドラマが重すぎるという人に「マクロス」のライトさこそストライクゾーンだっただろう。
「マクロス」テレビ放送の数年後、ハリウッドでは戦闘機パイロットと女性上官の恋愛を描いた「トップガン」が大ヒットしたんだけど、まるでこれは「マクロス」パクったみたいな企画じゃないか。
というか、こうしてハリウッド映画の内容とカブるほどに、ドラマとしては時代のニーズに即したものだったということさ。


美しい女の子たち、恋愛(三角関係)、歌、バトルetc、「マクロス」は実にハリウッド的、もしくはブロードウェイ的ファクターをテンコ盛りにしてると思わないか?
苦みのある「ガンダム」に比べて口当たりがよく、大衆にセールスしやすい作風だよ。
ただし、独特のアホっぽさがあるんだよね。
その最たる例が、敵となる異星人である。
原典の「宇宙要塞マクロス」では、その異星人は遺伝子操作で生み出された戦闘民族らしく、体長が10mほどある巨人である。
本能を調整されてる為に戦うこと以外を何も知らず、彼らにとっては未知の領域である「愛」「歌」「文化」、それらに触れると狼狽して戦闘不能になってしまうという、お馬鹿設定なんだ。


そして、このお馬鹿設定を許せるかどうかが、「マクロス」を好きになれるか否かの試金石である。
私は許せない派なので、正直あんまり好きになれないんだよね。
異星人といいつつ地球人と普通に会話できるし(翻訳機使ってるらしい)、体のサイズも機械を使えば地球人と同じ大きさにまで縮めることができるし、とにかくSFとしての設定がガバガバである。
この時代は既にスピルバーグが「未知との遭遇」「ET」でリアルな異星人像を創ってただけに、さすがに「マクロス」のこれはSFのセンスが致命的に古すぎだろ。
「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」の時代と、なんら変わらず進歩がないんだから。

多分、河森さんとしてはメカ描写の方が重要だけに、異星人の設定なんかは案外テキトーだったと思うよ。
そもそも宇宙人の設定ってやつは、流行ってもんがあるのさ。
それこそ昔は、火星人=タコのような多足型軟体生物というイメージだったでしょ?
あるいは、「エイリアン」のような甲殻類とか。
だけどアニメの世界では、割とヒト型が多かったんだよ。

やはり地球以外の惑星でも、知性を持つほど進化するのは哺乳類、霊長類ということか。
そういう異星人=ヒト型というイメージを覆したのが、90年代の「エヴァンゲリオン」である。

もはや生物学的に、何なのかよく分からない形態。
「ウルトラマン」でいうところの「怪獣」に近いか?
これが00年代に入ると「蒼穹のファフナー」のフェストゥム、「エウレカセブン」のスカブコーラルなど、一層ワケの分からん情報生命体なるものがエイリアンとなる。

上の絵はスカブコーラルというやつで、これといった形がないナノマシンのような情報知的生命体である。

これは「シドニアの騎士」に出てくるガウナという生命体で、形態はフェストゥムに近いと思う。
敵はひたすら侵略してくるんだが、向こうとはほとんどコミュニケーションをとれない。
よって古代進vsデスラー総統みたく、敵との因縁もライバル関係も生じないんだ。
戦争とは、ただひたすら駆除していくのみ。
こういう設定をきちんとしたイマドキのSFって、なんかドラマになりにくいよな・・。
だからこそ、昔の「マクロス」みたくお馬鹿設定が許されたSFって、たまに見ると案外面白いんだよね。
テレビ版の「宇宙要塞マクロス」は、メロドラマとして見れば結構楽しめる。
ヒロインのリンミンメイはなかなかの小悪魔で、一条輝に告られても「友達としか思ってなかったから」とあっさり振って、イケメンのリンカイフンを選ぶ。
だがリンカイフンが酒浸りになってダメ男ぶりを発揮し始めると、今度は彼の目を盗んで輝と接触し、密会するようになる。
この子、ちょっとタチ悪いよな・・。
こういうミンメイと輝に振り回されてる早瀬未沙が、あまりにも不憫。
最後、未沙が報われるというオチでホントによかった。
劇場版「愛おぼえてますか」を見てリンミンメイのファンになったという人は、ぜひテレビ版も見てくれ。
テレビ版も劇場版も輝とミンメイが結ばれないというオチは同じなんだが、結ばれないことに納得できるのはテレビ版である。

