ソシャゲアニメの最高傑作「アークナイツ」
今回は、アニメ「アークナイツ」について書こうと思う。
これは中国発のソシャゲを原作としたアニメで、「え~中国?」という感じで食指を伸ばさなかった人も多いんじゃないだろうか。
しかし、このゲームは累計DL数が1000万以上という大ヒット作。
先月末からサイドストーリーの復刻ライト版を配信スタートしたらしくて、これはその販促アニメという意味もあるだろう。
ただ、気になるのがこのアニメの制作会社がYostar Picturesというところで、これはどうやら「アークナイツ」の配信元であるYostarの子会社っぽい。
スゲーな。
ゲーム会社が、自らの手でアニメを作っちゃうわけか。
でも大手制作会社じゃないからなぁ、と少しハードルを下げて見たところ、正直ビックリしたね。
どんだけクオリティ高いアニメだよ。
ほとんど劇場版のレベルじゃん。
さすが売れてるゲームだけあって、めちゃくちゃ予算が贅沢なんだろう。
聞けば、Yostarの社長は中国人だが明治大学出身で、日本のアニメが大好きな人らしい。
そりゃまぁ、トップがそれなら、予算を湯水のごとく使えてもおかしくないわな・・。

アニメ「アークナイツ」は、第1期「黎明前奏」編が昨年に放送。
そして第2期「冬隠帰路」編が今年10月からの放送で、つい先日に最終回を迎えた。
1期2期とも全8回という中途半端な構成となっており、なぜそうなってるのかはよく分からない。
普通なら、テレビ局のクールの都合もあるから全12回に何とか水増しするものだが、敢えてそうしなかった理由は何だろう?
ヘタな間延びでクオリティを落としたくなかった?
あるいは純粋に制作会社のキャパの問題として、8回が限界だった?
まぁどっちにせよ、これを受け入れたテレビ局側もフトコロ深いよな。
物語の舞台は、地球ではない惑星テラ。
その星に住む人々の一部は「鉱石病」という不治の奇病に感染してて、これまで感染者は非感染者からずっと人権を蹂躙され続けてきた歴史がある、という設定。
そこから感染者vs非感染者の戦争が起こるんだけど、メインとなるのは
感染者でありながらも非感染者との平和的共存を模索する者たちである。
といいつつ、戦争を止める為に彼らも結局は戦闘するんだけどね。
主人公は「ドクター」と呼ばれる軍師的ポジションの人で、おそらくゲームではプレイヤーがこのキャラになるんだろう。
物語のカギを握る重要人物ながらも記憶喪失になってるという設定で、このパターンは同じソシャゲ原作アニメの「プリンセスコネクト!RE:DIVE」と同じだね。
「プリンセスコネクト」は販促アニメながらも、なかなか出来のいい作品だったと思う。

これはケモ耳少女なんかがたくさん出てきたアニメだったけど、実をいえば「アークナイツ」もそうなのよ。
作風は完全にミリタリーなのに、なぜか戦士がケモ耳であることの違和感。
じゃ、そういう獣人という設定が物語に活かされてるのかというと、これがそうでもない。
ケモ耳も「プリンセスコネクト」なら萌え要素として歓迎にせよ、こっちの世界観ではちょっと違うだろ。
うまくいけば「アークナイツ」はハリウッド実写化も夢じゃないほどの内容だというのに、このケモ耳は間違いなく実写化の阻害要因になるだろう。
・・いや、Yostarの中では【ハリウッド実写化<日本でアニメ化】だったのかも。
日本市場を意識するならやっぱケモ耳でしょ~、と考える中国人っぽい思考が伺えるよね。

こういうビジュアルながらも、物語はめっちゃ鬱である。
感染者vs非感染者の生存圏争奪戦という分かりやすい構図ならまだしも、実際はそうじゃなく、非感染者に復讐する感染者vsそれを止めたい感染者の戦争になってて、それを見てる非感染者は漁夫の利として両陣営もろとも殲滅しようと企んでるという、何とも胸クソの悪い戦争なんだ。
テーマは「差別」ゆえ、どうしても胸クソ悪い描写は多くなるよね。
市民を守る為、都市から感染者を締め出す為政者の判断そのものには一定の理解を示せるが、しかしこの不治の病克服の手段を感染者の殲滅とするのは明らかに愚策である。
病の原因が天災である以上、今の感染者を殲滅したところで新たな感染者は必ずまた出てくるんだから。
そのたびに殺していけば、いずれ人類は絶滅に瀕する。
それにしても、今までずっと感染者を迫害してきた者たちは、自分が感染者になったらどうするつもりなんだろう。
社会の為、おとなしく迫害を受け入れるんだろうか?
戦時中ゆえ、そんなことを考える余裕すらないんだろうけど。

この物語の主人公は理想主義者で、戦争を止める為に戦うが敵を殺さない、という甘い考え方である。
それゆえ、いつも戦局はグダグダになるし、戦争はいつまで経っても終わりが見えない。
「相手も話せば分かる」と思ってるようだが、実は1期も2期も相手を殺すことでしか決着をつけられなかった。
まあ、そういうもんだろう。
相手を殺さず、被差別者が権力者に勝った例なんてインドのガンジーぐらいだろうが、ガンジーのやり方は敵にたくさんこっちを殺させて、それを国際社会に見せつけるという、自分たちがたくさん殺されることありきのやり方だったでしょ。
やり方として、それは本当に正しかったんだろうか?
私には、分からない。

差別意識は、おそらく人間の本能である。
異分子を排除して群れの秩序を維持するのは、野生動物にもプログラミングされた生物としての原始的本能だとされている。
自然の摂理は、種の均質性を優先してるということだろう。
それは食欲や性欲にも近く、ようするに人間はもともと異分子を排除したい
生き物なのさ。
通常、その本能を法や倫理が縛ってるんだが、もし為政者が「やっちゃっていいよ」と言えばどうなるか、それはナチスの例でもよく分かるよね。
本能に裏付けされた衝動にはパワーがあるよ。
実際、全国の学校でイジメは今でも衰えることなくあるし、それは精神未熟な子供だけならまだしも、いいオトナが集う会社にだってイジメがあるんだからね。
みんな、異分子認定されないように生きるスキルだけは学校で身につけてるもんだから、誰しも表向きおとなしいキャラクターではあるけど。
ただ「アークナイツ」の場合、主人公のアーミヤがとても聖女っぽくて好感もてるキャラである一方、この子は学校にいたら絶対イジメられそうだな、と感じたんだよね。
戦時中なのにあまりにも綺麗ごとばかり言ってて、もう異分子臭がぷんぷんするのよ。
キツイこと言ったらすぐ期待通りのリアクションくれるし、こりゃイジメる側としては格好の餌だな・・。

戦争は本来なら問題解決の手段だっただろうに、もはや手段そのものが目的と化し、みんな何の為に戦ってるのか分からなくなってるという泥沼状態。
この鬱展開の中で、やはりアーミヤのウサ耳は妙にイラっとする(笑)。
とはいえ、アニメの出来としてはかなりの高水準であり、もし3期があれば私は絶対見ると思う。
ゲーム販促アニメには駄作が多いが、こうしてゲーム会社自らアニメを作るとなると、やはり世界観の表現とか完璧になるよね。
ちなみに中国のゲーム会社にとっては、世界市場の中で日本が一番儲けさせてくれる太客らしい。
Yostar Picturesみたいなアニメ制作会社、今後増える可能性もあるんじゃないかな?
「アークナイツ」レベルのものを作れるというなら、それは大歓迎である。



