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天孫族vs出雲族 最終闘争

一部歴史研究家の間では、卑弥呼=アマテラスとする説があるんだそうだ。
なんか詳しくは知らんけど卑弥呼が亡くなったという西暦248年、天文学的にはちょうどその年に皆既日食があったみたいで、それが日本神話の「アマテラスの岩戸隠れ」と符合する、という話らしい。
ちょっと無理があるよね。
もしこの論でいくなら、神武天皇の東征はおそらく3世紀後半から4世紀前半にかけての出来事ということで、時系列が少しおかしくなってしまう。
ま、いいか。
面白いから、今回はこの論を採用することにしよう。

アマテラス

まず日本神話ではアマテラスの弟スサノオが天界を追放され、下界の出雲に降り立つこととなる。
確かに卑弥呼にも弟がいたので、この部分は符合するわな。
この弟が邪馬台国を追放されたという話はあまり聞いたことがないんだが、ここは無理やりこじつけるとして、仮に狗奴国との戦争中にクーデターが起きて卑弥呼が暗殺され、弟が出雲へ逃走したことにしよう。
弟は、そこでヤマタノオロチという大蛇を退治する。
出雲神話ではなぜかよくヘビが出てくるわけで、どうも縄文時代からの土着の蛇神信仰があったみたいだね。
確かに出雲大社を見ても、ひと際目をひくのが異常に太いしめ縄であり、あれはどう見ても大蛇がモチーフだよな。
つまり国津神=ヘビであり、決して国津神=オオクニヌシではないと思うのよ。
オオクニヌシは、おそらく実在した人間である。
実際神話を見ても彼は神らしいスーパーな力をほとんど発揮せず、ピンチになるたびになぜか助けてくれる女性が出てきてギリギリ窮地を脱する、という妙に人間くさいキャラなんだ。
俗にいう「人たらし」というやつで、おそらく武力よりむしろ政略結婚を含めて人脈を広げることで王になった政治家タイプだね。

オオクニヌシ

やがて出雲に一大勢力を築いたオオクニヌシの話を聞きつけ、そこに食指を伸ばしたのが邪馬台国である。
当初、邪馬台国側は武力制圧でなく穏便な形の恭順を期待して、使節団を派遣したようだ。
卑弥呼の弟の一件があり、敢えて武力は控えたんだろう。
ところが、いつまで経っても送り込んだ使節団が帰ってこない。
気になって調べてみると、派遣した連中はみんな出雲族に転職していて「オオクニヌシさんサイコーっす」とかいってゴキゲンなのよ。
こいつら自由だな、と呆れて第二陣の使節団派遣を決定。
しかし、またしても使節団が帰ってこない・・・。
いや~な予感がして調べてみると、案の定「僕、オオクニヌシさんの娘さんと結婚しました!サイコーっす」とかいってゴキゲンである。
このへんはさすがオオクニヌシ、「人たらし」の政治家としての本領発揮である。
で、邪馬台国もキレて最終手段、遂に大軍を送り込む形で脅すことになった。
ただ、それでもオオクニヌシは「え~と、そうだな~、息子の意見も聞かなくっちゃな~」とかいってのらりくらりとしている。
これ、どう見ても時間稼ぎだよね。
もう降伏は避けられないと踏んだ彼は、一族の出雲脱出のための時間稼ぎに入ったんだ。
道はほとんど邪馬台国軍の検問があるので、やむなく一族は船に乗って海から脱出。
日本海をぐるりと回って、彼らの行き着いた先はヤマトである。
ヤマトの地元民たちは「天磐船に乗って神がいらした」と勘違いしてくれている。
しめしめ、これに乗じて神のフリしとこ。
という感じで、出雲族のリーダー格のひとりがニギハヤヒという神になったんだね。
また、彼らはヤマトの三輪山をご神体とし、出雲の蛇神・大物主を祀ったんだよ。

ニギハヤヒ

しばらく彼らは出雲の青銅加工技術を使って銅鐸を作るなど平和に暮らしてたんだが、ある日突然、神武と称する九州から来た軍勢がヤマトに攻めてきたという。
うわっ、やっべ、うちらがここに潜伏してるの、もうバレたのか?
いいか、みんな、うちらが出雲ってことだけは絶対言うんじゃないぞ。
俺は神だから、ニギハヤヒだから、出雲関係ないし。

神武「私は神だ」
ニギハヤヒ「・・・私も神だ」
神武「そなたが神であるという証拠はあるのか」

うっわ~、証拠とか言ってるよ~。
あ、そういや、オオクニヌシさんの娘さんと結婚したやつ、あいつも向こうでは神とか言ってたっけ。
あいつに貰った矢みたいなやつ、これをイチかバチかで見せてみようか。

ニギハヤヒ「これが証拠だ」
神武「うむ、これは確かに本物である」
ナガスネヒコ「・・・さっきから聞いてりゃ、お前、偉そうだな」
ニギハヤヒ「ナガスネヒコ、やめなさい」
ナガスネヒコ「いいか、よく聞け。うちの旦那はなぁ、天磐船で降臨された神なんだ。もともといらした天界は出雲って所で・・・ギャッ!」
神武「・・・なぜ殺した?」
ニギハヤヒ「先ほど、そなたに失礼な口をきいたからだ」
神武「その男、さっき出雲って・・・」
ニギハヤヒ「家来にしてください!」
神武「いや、あの」
ニギハヤヒ「家来にしてください!!」

という流れがあり、ニギハヤヒは神武の配下になって物部氏と名乗るようになったのね。
仕事は主に祭祀の担当にしてもらい、卑弥呼系の太陽信仰を少しずつ封じて三輪山信仰の方を全面プッシュしていった。
また、皇后にはオオクニヌシの血脈の女を選ばせるなど、非常に地味だがジワジワと出雲族の逆襲を果たしていったんだ。

まぁ出雲族の俺たちからしてみればさ、天孫族の連中なんぞ肉体言語しかもたない武闘派ばかりで、戦争さえ避ければこっちはオオクニヌシさん仕込みの政治手腕でいくらでも懐柔できるわ。
先日なんてさ、「疫病が流行ってるのはアマテラスの祟りですよ」って言ったら天皇信じちゃって、神器の鏡を焦って宮中から出してやんの、マジうけるわ~。
で、疫病が鎮まりそうな時期を見計らって「三輪山を丁寧にお祀りしたら疫病鎮まりますよ」って言ったらまた信じちゃって、「お前の言う通りにしたらイケたわ~」って感涙してやんの、マジうけるわ~。
もういっそのこと、あんな無能な天孫族の血脈なんて一掃しちゃおっか?
うちの若手で仁徳ってのがいるんだけど、こいつを次の天皇候補ってことにして、とりあえず神器だけ持ち出してヤマト出ちゃおうぜ。
大丈夫大丈夫、仁徳の嫁は天皇の娘なんだから、いわば義理の息子、絶対いけるって。
大阪あたりに新しい宮を造って、うちの一派は全員速攻でそっちに移るから、もう勝手にそっちで政治を始めちゃおうぜ。

というような流れはもちろん全部私の妄想なんだが、あながち大きくは外してないと思う。
縄文と弥生、出雲と天孫、こういう旧と新が複雑に絡み合ったのが日本というクニの本質であり、当然反発と和解を何度となく繰り返して今日まできたんだよ。


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