少佐のご冥福、心よりお祈り申し上げます。
さる8月20日、「攻殻機動隊」草薙素子役等で知られる声優・田中敦子さんが亡くなられたそうです。
心より、ご冥福をお祈り申し上げます。
まだ61歳という早すぎる逝去で、どうやら何か御病気を患っていたらしく、その闘病生活は約1年にも及んでいたという。
その割に、ちゃんと声優としてのお仕事をされてたんだよね。
闘病といいつつ、それは寝たきり系の類いではなく、職場に行くことも一応は可能な類いのものだったんだろう。
最近のお仕事で目立ったところを挙げるなら
「葬送のフリーレン」のフランメ

フランメはヒロイン・フリーレンの師匠であり、故人ではあるが作中最強のキャラといえるだろう。
掘っても掘っても底が見えない、非常に奥深い人物である。
「名探偵コナン」のメアリー世良

メアリー世良は年齢53歳、しかしカラダは幼女という、その筋の人たちにはもうタマらんキャラである (;゚∀゚)=3ハァハァ
その正体は英国MI6のエージェントであり、作中でも最強キャラのひとりといえるだろう。
打倒・黒の組織という目的がコナンと一致してるので仲良くすりゃいいのに、なかなか馴れ合おうとしない鉄の女キャラがまたいい。
「呪術廻戦」の花御

花御はハナミと読むし、オンナノコなんだろう。
草木を愛する特級呪霊で、森ガールやガーデニング女子っぽいのをイメージすればいいのかもしれない。
割と無口。
目から出てる枝みたいなやつは、いわば付けマツゲ、意外とオシャレ。
さて、こうして見ると田中さんは近年、なかなか濃いキャラをやってるよね。
どのキャラにも共通していえるのは、「強い!」ということだ。
もはや周りが「田中敦子=強い」というイメージを固めてしまってる感じ。
そうはいっても、田中さんだってオンナノコだぞ?
虎杖から黒閃を連発で食らえば、そりゃダメージも蓄積するって。
今回、田中さんサイドから公式には死因が発表されてないようだが、個人的にはやっぱり、あの時の黒閃が無関係とは思えないんだが・・。

いやいや、田中敦子にとってフランメより、メアリー世良より、花御より、最も重要といえるのがやはり、草薙素子ですよ。
「GHOST IN THE SHELL」なんて1995年、今から30年ぐらい前の作品だし、この当時はまだ田中さんも中堅声優のひとりに過ぎなかっただろう。
決して名指しで草薙役オファーが彼女にあったわけでなく、オーディションによって彼女が押井守に選ばれたという経緯である。
以来、約30年間、ずっと草薙役は田中さん固定でここまできている。
「ARISE」だけはなぜか坂本真綾が草薙をやったんだが、あれは「若い頃の草薙」という意味での変化球だろう。
その後の「2045」では、また正規の田中さんに戻ってたわけで。
で、その「2045」劇場版公開の際、田中さんは初日舞台挨拶で泣いたんですよ。
これ、2023年11月23日の映像である。
そう、「闘病中」の田中さんの姿だね。
この時の舞台挨拶、田中さんは涙ながらにこう発言してます。
「どうか、忘れないでください。
皆さんがネットにアクセスする時、 『攻殻機動隊』にアクセスする時、 私たちは、・・私は、いつでも皆さんのそばにいます。
どうか、忘れないでください」
この時の彼女の言葉、闘病中ってことを知らない我々からすると「??」という感じでしかなかったが、「あるいはこの頃、既に死期を悟っていた」という前提で捉えると、この言葉の意味がズシンとくるよね・・。
田中さんは、これはご本人も言ってることだが、めっちゃ「考えるタイプの声優」みたい。
当然、彼女のライフワークというべき草薙素子のことも、それこそ約30年、ずっと考えて続けてきたと思うのよ。
1995年「GHOST IN THE SHELL」で草薙は現世を捨て、「人形使い」と融合して「あっちの世界」に行き、そして2023年、今度は「2045」でまた草薙はポストヒューマンと融合し、またしても「あっちの世界」に行っちゃったんだよね。

この28年越しのループ、田中さんは色々考えたと思うのよ。
自身が現世にあまり長くいられないことも予期してただろうし、草薙と自分のシンクロを実感してたんだと思う。
その上で、「あっちの世界」って何だろう、と。
まぁ、あっちの世界=ネット世界という言葉での解釈はできても、その概念までを真に理解している人は世の中にそれほど多くはいない。
そもそも、ネット世界ってどこにあるか、その正確な住所を説明できる?
パソコンの中?
違うよね。
どこかのサーバ?
違うよね。
正直、その住所ははっきりしたものじゃないし、でも、どこかにそれがあるのも確かなことである。
存在はする、でも存在しない。
存在はしない、でも存在する。
それってゴーストじゃん。
田中さんは、まさに今、そういう世界にいらっしゃるんだろう。

さて、田中敦子という声優について、もう少し突っ込んでみようか。
彼女って、実はアニメと実写吹き替えの両方をやってた人なんだよね。
私は声優にさほど詳しくもないのでよく分からんのだが、
アニメと実写吹き替え、声優としてはどっちの方がグレード高いと考えてるの?
今はアニメ声優の立場がやたら向上し、ライブやるようにまでなってきてるから【アニメ>実写】といえるのかもしれんが、昔は逆に【アニメ<実写】だったような気がするのよ。
たとえば野沢那智のアランドロンとか、山田康雄のクリントイーストウッドとか、石丸博也のジャッキーチェンとか、ささきいさおのスタローンとか、そういうハリウッドスターの声を専属でやる声優って、やっぱり別格の扱いをされてたと思うんだ。
ちなみに田中敦子さんは、特に多かったのがニコールキッドマンみたいだね。
じゃ、彼らの中で実写とアニメの貴賤はどうなのか?ということだが、それはね、以前、野沢那智が「スペースコブラ」コブラ役を降ろされそうになった時、めっちゃキレたという話があったのさ。
洋画吹き替えのレジェンドともいうべき野沢さんが、まさかアニメのコブラ役ごとき程度でキレるとか、正直、そんなの関係者も想定してなかったんだと思う。
「野沢さんにとってアニメは余興でしょ?」と、周りは勝手にそう思ってたんだよね。
ところが、野沢さん自身はそうじゃなかった。
ぶっちゃけ、彼は原作者の寺沢武一先生に年賀状で毎年「コブラ役を他の人にやらすな」と書いてたらしく、それを聞いてみんな「えぇ~?」と驚いたらしい。
そう、洋画吹き替えのスター声優といえど、決してアニメを下に見てなんかいなかったんだよ。


多分、それは田中敦子さんもそうだと思う。
彼女もどっちかというと洋画吹き替えのスター声優だと思うけど、その一方でアニメの仕事をとても大切にしてくれてた人だと思う。
彼女の中で、ニコールキッドマンと花御の位置づけはイーブンなものだったと思うよ。
多分、ニコールキッドマン=花御だったと思う。
というか、ニコールキッドマンは花御だと思う。


是非、実写版「呪術廻戦」花御役は、 ニコールキッドマンでお願いします。
さて、ここで大きな問題がひとつ。
田中さんがやっていた「名探偵コナン」メアリー世良役、まだ物語は継続中であり、取り急ぎ後任を決めねばなるまい。

しかし、田中さんほどの強度のある声を出せる声優もなかなかいないものである。
よって、私なりに4人ほど候補者を絞ってみた。
候補者①榊原良子

やはり「強度のある声」といえば榊原良子さんである。
彼女は田中さん同様、押井守のところで揉まれた経験(パトレイバー南雲)のある人だし、きっとうまくこなせるだろう。
ハマーンカーンっぽくやればいい。
候補者②坂本真綾

田中さん以外に草薙役を経験したのは坂本真綾しかおらず、そういう意味では大本命かもしれない。
メアリー世良の中身はオトナ、見た目は幼女という設定も、「化物語」忍野忍役で経験済である。
候補者③甲斐田裕子

「強度のある声」といえば、やはり甲斐田裕子を避けて通ることはできないだろう。
彼女も田中さん同様、洋画の吹き替えを数多くこなしてきた人で、タイプ的にほぼ同系統である。
個人的に、彼女の声質が好きなのでイチオシ。
候補者④ニコールキッドマン

田中さんがキッドマンの声をやれた以上、逆にキッドマンが田中さんの声をやれないはずがないんだ。
しかもメアリー世良はMI6の人間であり、英語が堪能なキッドマンの持ち味を十分に発揮できる役柄だと思う。
なにか問題でも?

まあ、そのうち「コナン」サイドから公式に後任の発表があるだろうし、
それを楽しみに待つことにしようか・・。
それにしても、今後「攻殻機動隊」の方は一体どうなるんだろうね?
一応、押井版も神山版も黄瀬版も全部完結してるっぽいし、これ以上は誰も手をつけない可能性が高いのかも。
つまり、田中さんの逝去をもって「攻殻」は完全に封印?
草薙はあっちの世界にいき、今後はあっちから我々のことをずっと見てくれてますよ、という締め方。
うん、そういうことだね。
田中敦子さん、今まで本当にありがとうございました。
あなたの声は、これからも絶対に忘れません。


