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「SHIROBAKO」で学ぶ日本アニメ斜陽の危機

スタジオジブリが日テレの子会社として傘下に入った、という話は皆さんもご存じの通り。
ことの発端は、今年の春にそれまで代表取締役社長兼会長だった星野康二氏が退任したことだろう。
この星野氏は創価大学出身で、ことあるごとに「池田大作先生」の名を出すキナ臭い人物。
とはいえ、元ウォルトディズニージャパンの社長であり、そっちの分野では経営のプロだった人だ。
そういう彼の退任がその後に名誉会長になるとか顧問になるとかもなく、すっぱり社長兼会長を辞めるというのも、何やら「訣別」っぽくて妙な経緯を匂わせている。
何かあったんだね。
で、今回の日テレ傘下入り。
意外と、星野氏の後をやれる人物は見つけられなかったというオチじゃないかな。
で、経営を外部に託すのが一番現実的だった、と。
今回の件で「ジブリ経営不振か?」と誤解する人も多いだろうが、案外そうでもない。
割と健全経営だよ。
ただ、この会社はあまりにも作家性が強すぎて、基本的に寡作である。
それでもドル箱の宮崎駿が生きてるうちは何とかなるにせよ、彼も仙人じゃないんだから、いつかは必ず死ぬ。
その後のジブリはどうなるのか、そこは意外と未知の領域である。

さて、少し話題を変えよう。
まずは次の資料を見てくれ。

小中学生が将来なりたい職業アンケート結果(ニフティ調査)

この内容、びっくりするでしょ?
今は小中学生の将来なりたい職業1位が、漫画家・アニメーターという時代である。
そして同率2位が声優。
そう、いまどきの小中学生はアニメ業界に憧れてるんだよ。
「ジブリに入りたい」って子も大勢いるだろう。
しかし、その一方で現実は厳しい。
次の資料を見てくれ。

アニメ業界の年収一覧

これはアニメ業界をリアルに描いた、P.A.WORKS不朽の名作「SHIROBAKO」に出てくる登場人物たちの年収シミュレーションである。
まず注目してほしいのは、左端の「アニメーター」だね。
年収が110万になっている。
こりゃキツイな~。
ディレクタークラスでまずまずといったところだけど、それでも全体としては決して高いといえない。
一番右端の「超有名声優」だけ7000万という別格だけど・・。
一応、この業界は2700億ほどの市場である。
問題は、その富の配分なんだ。
その配分においてネックになっているのが、製作委員会システムだといわれている。
それは何かというと、アニメというのは作るのにおカネがかかるので、まず製作委員会というのを作って資金集めをするのね。
もしアニメがヒットしてDVD&Blu-rayがたくさん売れたとして、その売上は委員会への出資比率で出資者たちに配分されるわけだ。
つまり、たくさん出資したところほど取り分が多い。
逆に、もしもアニメの制作会社が僅かしか出資してなければ、いくら円盤が売れたところで彼らの取り分は少ないわけさ。
で、実際のところ制作会社というのはさほど資金力がないので、あまり出資できない⇒円盤が売れても取り分がない、というのが現実らしい。
変な話だよね。たとえヒットしても儲からないなんて。
結局おいしい目を見るのは、資金力あるメーカーや代理店ということになってしまうらしい。
おかしな話、現場で一番苦労してる人たちのところには売上の還元があまりないってこと。
これは業界の仕組みの問題であって、なかなか改善できないらしいけどね。
このままいくと、アニメ業界そのものが地盤沈下するかもしれん。

「SHIROBAKO」に出てくるアニメーターは死にそうな顔で仕事してる

そのへんでいうと、まだアニメーターよりは声優の方が夢のある職業といえるだろう。
今まさに声優ブームだし。
おそらくこのブームの発端は、「エヴァンゲリオン」が社会現象になった頃かと。
このあたりで深夜アニメが一気に市民権を得た。
特に綾波レイを演じた林原めぐみ、およびアスカを演じた宮村優子の人気が凄かったと思う。
ここから声優のアイドル化が始まり、なぜか声優がアニメのOP曲やED曲を歌うようになってきた。
これらのダメ押しになったのが「涼宮ハルヒ」「けいおん」といった京アニ作品のブレイク。
「涼宮ハルヒ」の「ハレ晴レユカイ」でキャラクターが踊って歌うスタイルに火がつき、「けいおん」ではそれをさらに発展させて社会現象にまでなった。

「けいおん!」

さて、ここで声優さんたちの年収がどのくらいか見てみよう。

<声優年収ランキング>
【1位】林原めぐみ・・・7000万
【2位】野沢雅子・・・4000万
【3位】堀川りょう・・・3000万
【4位】山寺宏一・・・2000万
【5位】水樹奈々・・・1600万
【6位】花澤香菜・・・1500万
【6位】神谷浩史・・・1500万
【6位】田村ゆかり・・・1500万
【9位】皆口裕子・・・1400万
【10位】南条愛乃・・・1300万

こうして見ると、林原さんの7000万はダントツだね。
そう、冒頭のアニメ業界年収一覧の中にいた「超有名声優」って、林原さんのことだったんだよ。
しかし、おかしな話である。
ここ最近の林原さんは「コナン」の灰原哀と「ポケモン」ぐらいしか仕事をしてないはず。
あと、「VIVANT」の音声アプリの声とか。
じゃ何でこんなに年収が高いのかというと、どうやら印税収入っぽい。
この人は歌ってたのもあるけど、実は作詞もやってたみたいで、あとは本も出版してて、そこそこ売れてるみたい。
要は声優以外の収入じゃないか。
しかし印税生活ができて、ちょっと暇を見ては効率よく声優の仕事もたまにして、これこそ勝ち組の人生そのものだよ。
冒頭の「将来なりたい職業」2位声優ってのは、今の小中学生が林原さんのようなサクセスの形を目指してるという解釈でOKだろうか。

林原めぐみライブ
林原めぐみのCD売上記録は依然声優界で1位

しかし、現実には日本にいる声優の76%が年収300万以下だそうだ。
厳しいね。
確かに、海外では声優など売れない俳優の副業でしかないらしいし、むしろ専業で成立させてる日本がガラパゴスなんだよ。
ものすごいスキルを持ってるのは事実にせよ、世界で通用するかといわれりゃ、なんせ日本語の職業だからねぇ・・。
もし息子や娘が「私は声優になる」「俺はアニメーターになる」と言い出してきたら、世の中のお父さんお母さんは頭を抱えるに違いない。
「海賊王に、俺はなる」とか言い出されるよりはマシだけど、辛い現実を知ってるオトナとしては「頑張りなさい」と素直に言えないだろう。
でもさ、息子や娘がアニメファンを自称してるなら、絶対に「SHIROBAKO」ぐらいは見てるはずだよね。
あれは結構厳しいアニメ業界の現実を描いてたと思うし、あれを見てもなおやりたいっていうなら、最後は認めてあげざるを得ないんじゃないだろうか。
というか、世の中のお父さんお母さん全てが反対してしまったら、それこそ日本のアニメ業界は間違いなく沈没していきますよ。

「SHIROBAKO」はアニメ会社がアニメ会社の現実を描いた名作である
納期に間に合わせる為、監督を地下牢に監禁して絵コンテを完成させたという名シーン

今回は日テレがジブリを、というパターンだったけど、いずれネットフリックスのような海外資本が日本のアニメ会社に食指を伸ばすような気もするよ。
それが望ましいこととは言わんけど、アニメーターが年収110万で耐えなきゃいけない既存システムをぶっ壊すには、おそらく海外から侵略を食らうぐらいしかほとんど可能性がないでしょ。
こういう奴隷のように扱われるアニメーターたちの犠牲の上に成り立つ業界なんて、どっちにせよ先がないと私は思うんだよね。
せっかく今の小中学生が「アニメーターになりたい」「声優になりたい」と言ってくれてるんだから、夢をもつ彼らが普通にメシを食える業界の仕組みを再構築することこそ、実は最優先事項じゃないだろうか。
急がば回れ、ですよ。

漫画家なんて、普通に放っておけばいいさ。
その多くがバイトしなきゃ食っていけない立場だろうと、上を見れば年収が何十億という人がちゃんといるわけで、そういうのを夢見ればどんな苦しくても耐えられるもんだよ。
しかし、アニメーターはどうだ?
今の苦しみに耐えて、その苦しみの先に年収何十億というサクセスが具体的にあるのか?
おそらく、それこそがジブリ、宮崎駿というイメージだったんじゃないだろうか。
しかし、尾田栄一郎の年収が約30億というのに対して、宮崎さんの年収が
せいぜい6000万程度だということを知ってるかい?
これは声優の方にもいえることだが、神谷浩史や花澤香菜といったスーパースターですら年収1500万。
一見華やかに見える今のアイドル声優にしても、実は年収がそのへんのOLと変わらなかったりする人もいるわけです。
夢があるようで、実は夢がない。
この業界の仕組みを一度ぶっ壊さない限りは、必ずいつかアニメ業界は沈没していくと思う。

今回のジブリ日テレ子会社化が、何か新たなビジネスモデルを生むキッカケになればいいんだが。

私は今後もジブリを応援します

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