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やはり線路ですか

 『煮詰まる』という言葉は本来、考えたり、トライ&エラーを繰り返したのちに、それが『答え』だ!というモノが出た時に使う表現。だが、どうも考え尽くしたのに、どうにもこうにも答えが分からなくなり、『あー煮詰まったな、ちょっと休憩いれてから、やり直そう。』というような誤用が横行している。今回もそんな横行する誤用パターンで、気分転換しに行くことにする。元はと言えば、コミュニティFMの商店街担当番組。会長の惣菜屋の鶴の一声、宣伝の一環で番組を持つことになったはいいが、深夜ラジオ好きの会長には困ったもので、各店が週替わりにエピソードトークをすることに。そりゃ客商売、何かと相手してれば面白いことも起こるでしょう。でもですよ、ウチは古本屋ときたものだから。古本屋の鉄板接客マニュアルは『話しかけず』です。何も起こりゃしませんよ。そもそも客足閑古鳥なんだから。だからね、こうやって昼間っからnoteに投稿してるんですって。空き時間アリアリですよ、本当に。それに素人店主のエピソード番組って誰が聴くんですか?もはや、商店街の身内マウント合戦と化してますよ。とはいえねぇ、何かハナシをまとめないと格好つかないし、、嗚呼、嫌だ嫌だ、と言ってみても始まらない。ということで、これも空き時間に読んだ店の商品、コラムニストの泉麻人著『地下鉄の友』に書いてあったようにエピソードネタが浮かばない時には、実際に電車に乗ってみる。それを実践して山手線を何周もしてみたが(←これキセル、違反行為なので実際にはやらないで!)、特別コレといって何も浮かばない。嘘ついて間違えて埼京線に乗って気がつけば大宮でしたって言ってみても、リアリティ出ないし面白くもない。ああいうのはマジで間違えて焦るっていうのがいいワケだし。高輪ゲートウェイの名前がどうも、なんてのも掘り尽くされてるし。品川の駅ナカで小腹を満たそうとするも、人だらけで満員。どこも入れやしねぇ。そんな時には隣の大崎まで一駅行けば、こじんまりとしてるけど駅ナカは案外空いてるとか、、。こんな程度の話でお茶を濁すしかないか。そんなこんなを考えながら、吊り革持って窓の外をひたすら眺めてた。吊り革って革じゃないのに、何で『革』って言うんだろ?昔は革製だったのかなあ?なんてふと思った時、不意に
「やはり線路ですか」
声をかけられた。反射的に、思ってもないのに「ええ」と返事をしてしまう。ひたすら、窓を眺めており、視線も下を向いていたので、線路を見ているように見えなくもない。相手は青みがかったグレーのカジュアルジャケットにスラックス。薄めの茶色のサングラス、今時珍しいポマードがかった整髪の頭髪。かなり怪しく映る老年男。「昔は枕木もあって、継ぎ目なんかもいいテンポでリズム打ってましたよねえ。今はそんな風情もなくなりましたが、それを差し引いてもやはり線路です。」饒舌にしゃべりかけてくる。警戒態勢のワタシはこわばるのみ。無言が続き、現代のステンレス車の線路音のリズムが、その間を埋めていく。次の駅で降りよう、そんな考えがよぎった時、またもや相手が口を開いた。
「どうです?10万で。線路一本」
って誰が買うか⁈!どんなセールスだよ!!
と思ったと同時に

あっ!エピソードできた💡
(了)

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