『サイレント・ウィッチ』を読んで——人見知りが生み出す最強の工夫|宵町観賞録
「喋らなくても魔法が使えるようになればいい」
モニカの人見知りから生まれた発想は、やがて無詠唱魔術という最強の力になる。今年の「このライトノベルがすごい!」で単行本部門1位になった『サイレント・ウィッチ』を読んで、創作者として心がつかまえられました。
どうしても喋りたくない
人前で話すのが得意じゃない。そういう気持ちから出発する話って、地味だけど強い。モニカは人見知りを理由にダメなわけじゃなくて、そこから逆算して「無詠唱でいこう」と決めてしまう。この<逆算の力>が面白い。
書いている身として、自分もよく「キャラの弱さをどう使うか」で悩みます。弱さを弱さのままにせず、戦略に変える。その手本がここにあります。モニカの人見知りは設定じゃなくて、彼女が何をするかを全部決めている。
無能に見えて、実は最強
七賢人に選ばれた少女が、学園では目立たず、静かに、王子の傍で護衛をする。一見地味なポジションから、ときどき本当の力を見せる。このギャップの使い方が上手です。
読者も最初は「大丈夫かな」って思うんです。でも、モニカが動く瞬間——その洗練された力の使い方が描かれると、ああ、この子は本気なんだ、と心が揺らぐ。無能に見えることの強さってこんなに説得力があるんだ、と。
創作側として拾っていきたいこと
モニカのような登場人物をつくるには、いくつか大事な要素がありそうです。
ひとつは「制約から逆算する」こと。弱さや人見知りといった<できない理由>を、逆に<強さの根拠>に変える思考。
もうひとつは「見守るポジションの価値」を信じること。目立つキャラより、静かに場を支えるキャラの方が、のちに爆発したときの印象は何倍も大きい。
読みながら「このラノベ、創作の教科書だ」と思いました。次の執筆で、モニカのこの構造を頭に置いて書いてみたいです。
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