見出し画像

自認と周りの冷ややかな目のズレが露わになる瞬間 | 4月の読書記録

ネタバレ注意です⚠️

21冊目:利他・ケア・傷の倫理学/近内悠太

体調不良も重なって1ヶ月かかって読み切った。1作目の「世界は贈与でできている」がとても優しく、自分の考え方を書き換えられた感覚があったので、購入。

今まで僕が利他だと思ってやってきたことは全然利他じゃないんだなと、感じた。自分が変わらないままで、他者の大切なものを大切にするのは自己犠牲であって、利他ではない。相手の傷に導かれ、自分が変容した部分もきっとあるにはあるけど、気持ち的には自己犠牲感が強かったような気がする。

自分はしてあげたいことを押し付けるのは当たり前のように利他じゃない。与える願望が先走ってはいけないのは今の仕事にも通ずる部分。教育って与える願望が先走りすぎる部分もあるよね。
かといって何も教育しなかれば、人間は社会的な生き物になれるかどうかわからないから難しい。

また、利他とは愚行であり、規範から外れることでありだからこそ自由であるという終盤の記述はとても心当たりがある。かといって社会生活を営むには規範も大切。ただ今の僕の仕事(ユースセンタープロジェクト)は社会的に見たらまだまだ愚行と捉える人が多いかもしれない。社会が今持っている言語ゲームとは違う言語ゲームを作っている感覚もある。愚行だからこそ自由な仕事という見方もできるなと感じた。

こんな仕事だからこそ、繰り返しになるが、他者の大切なものを大切にしたい。そのために自己変容を厭わない気持ちにならないといけないと思った。

22冊目:スピノザの診察室/夏川草介

続編である、エピクロスの処方箋を先に読んでしまったので、慌てて購入。
南が最初はマチ先生に懐疑的だったのはびっくりだった。エピクロスの最後ではいい感じだったじゃん。ジャンプのラブコメって感じ(言い過ぎ)

肝心の内容も良かった。個人的には花垣の言葉に痺れた。マチ先生に向けた「野心はなくても矜持はある。そうだろ?」の一言は痺れる。野心と矜持は向上心を持つための言葉としてはひとくくりに思える。野心がないと向上心がないように思われることもあるかもしれないけど、矜持だけであれば十分じゃないかと思った。良い言葉。

そして「俺の立場を天秤にかける必要は一切ない」の一言も痺れる。こんな上司がいたら一生ついていくに決まってる。マチ先生も素敵だけどより花垣を好きになった一作かもしてない。

花垣を賞賛しまくったけど、マチ先生のスピノザの哲学の解釈も大好きだし、スピノザについての本も読みたくなった。3作目が出ることを期待して待ちたいと思います!

23冊目:「学力」の経済学/中室牧子

パラパラとめくってみたら読みやすそうだったので購入。いろいろ思うところはあるが、某教育評論家ママよりは十分納得する内容。自分も数字が好きなだけあって、印象だけで語られがちな教育界にエビデンスの概念を持ち込んでくれるのは嬉しい。

ただ、本書の最後でも言われている通り、多くは米国の実験であって、日本の実験ではない。外部妥当性の問題があることは筆者も重々承知しており、そもそもこの分野に対して日本が寛容にならないと、日本におけるエビデンスを持つことが難しいことが悲しい。
この本の出版は2015年なので、状況が改善しているのか、気になる。

また、現在進めらられている少人数学級は、子どものためというよりも、教員の負担感を減らすためのような気もすうるので、教育政策は子どもの都合だけでなく働く大人が生きていくために、行われているんじゃないかということも頭の片隅には入れておきたい。人数が2〜3人増えるだけで増える事務仕事の量が尋常じゃないことは現場にいるときに痛感した。

本書の影響なのか、幼児期からの習い事をしている家庭が増えている印象もあり、それが今の日本の教育にどれだけの影響を与えているのかが気になる。気になってばかりだね。最近は教育の本をあまり読んでいなかったので、もう少し読んでいきたい。その際に大事にしたいのは本書で学んだ、エビデンス。特にエビデンスの階層については意識して読んでいきたいと思った。

24冊目:25年、フリーランスで食べてます 隙間産業で生きていく/雨宮処凛

めっちゃ仕事を辞めたいとかそういうわけじゃないけど、漠然と、フリーランスへの憧れがあり購入。フリーランスってなんの保証もなく大変だって感想と「フリーランスでも入れる労働組合ってあるんですか!?」とびっくりした章も。またアマゾンの配達員もフリーランスといえばフリーランスなんだけど、そんなことまったく考えてなかった視野の狭さにも気づかされる。

非正規ではあるが、有給もボーナスもある雇用されている状態はやはり素晴らしい。反面育休とかはないから正社員ってもっとすごい。教員の福利厚生ってすごかったんだなと(使えるかはまた別の話し)

あと、営業が嫌なのか嘘をつくのが嫌なのか論も良かった。営業の仕事なんて縁のないことだなーって思ってたけど、自分が好きだと思える活動を広めることは立派な営業。ONE BALL JOURNEYという活動を手伝っている。奈良クラブの試合でいろんな人に声をかけて、説明をしてっていうのは、立派な営業だったんだなーって思おうと、良い経験してると捉えられる。

25冊目:アフター・ユー/一穂ミチ

三宅町図書館のスタッフおすすめ本にあったので、借りました。とにかく重い。ミステリーなんだけど、謎が解き明かされていってもより悲しくなる。読後感は良いと言えない。少しのファンタジー要素は必要だったのか。それともファンタジーに見せかけた幻覚?子どもと共に人生を歩める沙都子と青吾を対等してあげた作者の優しさ?難しいね。

ハルのお父さんがクズ中のクズで、スクールデイズの伊藤誠が大人になったらこんな感じで巻き込んでいたのかなと、少し思った。

沙都子も青吾もほどよい距離感で違いを助け合って生きてほしい。それぐらいの救いはあってほしい。そんな物語。

26冊目:俺ではない炎上/浅倉秋成

映画の予告を見てからずっと気になっていた本。三宅町図書館で借りる。
一番心にぐさっときたのは、主人公の自認と周りの冷ややかな目のズレが露わになった瞬間。グロい。この設定だからこそ書ける冷酷さがあった。反面主人公の頑なさが、犯人ではないと信じてもらえる証拠にもなっているんだから、もうこうなるしかなかったやんと思う。本人も自覚していたけど。運命的なものがある。

唯一残念だったのが犯人の動機が弱いところ。でもこの弱さも連続殺人事件っぽくて、リアルなのかもしれない。

トリックにはほとんど気づかず読んでいたし、読み進めるうちに自分の中の容疑者がコロコロ変わっていって面白かった。記憶をなくしてもう一度読みたい小説。

2026年読書記録


いいなと思ったら応援しよう!

横田 健人 Kento Yokota 買ったばかりのmacをスタバでカタカタさせたいです😂よろしければサポートお願いします!