「ま、いっか」を手放したら、夫まで動き出した話
完全在宅テレワークで働き始めて3年弱。痛切に感じているのは、いい意味でいかに自分を管理できるか。時間や環境、働き方の柔軟性などのメリットが多くある一方で、何もかも自分次第。
業務委託の形態で契約している私の場合、期限さえ守れば、自分の裁量でタスクを進めることができる。
オンライン会議でも原則顔出しなし。きっちり作業をこなしつつ、時々お茶目な冗談を言って笑わせてくれる同僚は、私の中で、サザエさんに出てくるマスオさんに変換されている。
当然、どんな格好でPCに向かっていても誰にも文句は言われない。こうなると、ダラダラのほうに引きずられてしまう弱い私がいる…。
「ま、いっか。誰にも見られていないし。」
私の中の小悪魔はそれを聞いて、満面の笑みを浮かべている。
冬はざっくりセーターにあったかスウェットパンツが日常。そのくせ、SNSで気になるのは、小ぎれいでセンスのいい服を上品に着こなす同年代の女性たち。ステキだなー、欲しいなーと思って見続けているだけ。
買い物かあ。近所のスーパーに行くぐらいだし。出かける用事もないし…。
「違う違う。違うよ、今を見て、自分を見て、あなたはここにいるよ。」
ちっちゃい天使のささやき声に、今日は耳を傾けてみた。
ふと視線を落とすと、洗い立ての靴下が目に入る。濃いグレーの生地に白いダマダマ毛玉がいっぱい。「ま、いっか」でスルーしてきた結果がここにある、まさにズボラの勲章。
まずはここからかな。
引き出しの奥にしまいこんでいた毛玉取りをとりに行き、早速ジージー動かしていく。
ガリっという音とともに消えてなくなる毛玉の感触はなんだか心地いい。あれよあれよという間に小さくて白い無数の丸い毛玉たちは消えて、きれいなグレー一色になった。気分爽快。一件落着。
こういう、見て見ぬ振りの積み重ねが、「ま、いっか」の塗り重ねが、自分自身で私の価値を下げていくんだな。毛玉取りよ、ありがとう。
きれいになった靴下を履くと、心も軽くなってなぜか急にスキップしたくなった。朝ドラの「ばけばけ」の影響か?
急にぴょんぴょん飛び跳ねだした私の足音に、何事かと不思議に思った主人が部屋から顔を出す。一瞬あたりを見回し、リビングテーブルの上に置きっぱなしにしていた毛玉取りを見つけた。
そして久しぶりの毛玉取りとの再会に、思いもよらぬ行動に出たのだ。洗濯物の山から自分のセーターをとり出し、ジージーやってるではないか。やった!作戦成功!
普段あまり家事にかかわらない主人を「見えない家事」に自然と引き込みたい。その野望が図らずも今日またひとつ、クリアされた。毛玉取りよ、ありがとう。
毛玉取りのおかげでふたつの収穫があった日の話。
「ま、いっか」の道を選んだほうがいいときもあるけれど、手放したほうがいいときもある。これまでは「ま、いっか」ばっかりだったから、しばらくはそれを手放して身軽になっていこうと決めました。
小さな一歩がやがて大きな心地よさにつながるように。
昨日より今日を、今日より明日を、ほんの少し愛おしくするために。
