梅雨占い(毎週ショートショートnote)
梅雨の間だけ、植物園に占いの館が現れると言う噂がある。
盛りが過ぎた薔薇が覆うパーゴラの下、乾燥した蓮の葉をお茶にし、飲み干した器に残った茶殻の形で運勢を読み解く占い師。その蓮葉茶はいただくだけで幸せな気分になるという。
温室の脇の青紫の三角形のテントの中、花弁を模ったカードで抱える悩みを解きほぐす占い師がいる。テントに落ちる雨粒と占い師の声が心にじわりと広がるという。
そして、植物園の奥、古代ギリシャ神殿を模した白い柱に取り囲まれた盆に、水差しを抱えた占い師が水を注ぎ入れ、未来を覗き見させてくれる。
恋に恋する乙女達に、いつか訪れる雨上がりの陽光を一足早く届けてくれるという。
だけど、梅雨が終わると同時に、占いの館は跡形もなくなってしまう。そして乙女達は、その噂を梅雨の訪れと共に思い出す。
お題はこちらの「梅雨占い」から。
