AIと旅のプランを組んでみた(湘南サポーター、歩いてトヨタスタジアムへ)
はじめに
「旅行業務取扱管理者」という国家資格をご存じですか?
世の中にはいろいろな資格があるんですね。
特に国内地理に強く、旅行プランを考えるのが好きな私には国内資格はピッタリでは?とぼんやり考えていました。
しかし私が本屋でぱらぱら参考書を眺めていると「どこか実務寄りで求めているものとは違うなあ」と感じたのです。
ちゃんと調べてみると、この資格をとることで旅行会社で責任者として働けたり、旅行商品の企画管理ができます。
つまり現時点でこの資格は旅行業界で起業ならびに従事するならば必須の資格と理解しました。
しかし当時の私はこう考えました。
「旅行商品の企画ならAIで十分じゃないか?」
私は旅行業界は未経験ですが、AIによってどのように変わっていくか少し想像してみます…
契約など事務手続きはそのうちシステムによって自動化されるでしょう。一方で顧客を対面とする実務的なサービスは人の手に残るでしょう。
業務を実行する以上管理者をおく必要はありますが、システムはクラウド上に構築されてオフィスとしてのスペースは必要なくなっていくでしょう。
というわけで、実際にAIで旅程を組んでみました。
今回使用しているのはMicrosoft Copilot。
(数週間かけてチンタラと書き進めていた間に「AIと旅行」なるタグが公式様より降りてきましたのでこれに乗っかります。)
試行1回目
諸条件(1次)
私の希望プランは以下。
次
こんなの旅行代理店で相談したら出禁ですかね。
・9/20(土)17:00より豊田スタジアムで開催されるJリーグの試合、名古屋対湘南の試合を湘南から見に行く。しかし普通の遠征は飽きたので、極力一筆書きに自分の足で歩くor走る。
・ペースはジョグ+ランを1:1として1kmあたり8.5分程度。
・期間は6日間。
・ルートは東海道に沿うことを基本とする。
・スタートは湘南エリア某地域、ゴールは大阪某地域。
東海道全体の総距離はおよそ500kmとされています。
今回立てる総行程は湘南からということもあり、420km程度と厳しいことに変わりはありません。
この時点では現実的な条件を出したつもりでした。
立案結果(1回目)
まずは当初のAIからの回答を出してみたいと思います。
(個人情報保護のため、一部結果をぼかしてあります。)
承知いたしました。
これまでのすべての修正とご要望を反映した、6日間で豊田スタジアムでの観戦も叶える最終確定版の旅程です。
毎日午前8時出発で、1kmあたり8.5分のペースで歩くことを想定しています。
最終確定版:6日間の効率的旅程総距離: 約462km
日程: 9月17日(水)~9月22日(月)
詳細な時程
9月17日(水)- 1日目:
区間: 湘南某地域 → 静岡県三島市・沼津市付近
距離: 約76.5km
所要時間: 約10時間50分
到着: 19:00頃
宿泊地: 三島市・沼津市周辺
9月18日(木)- 2日目:
区間: 沼津市付近 → 静岡県磐田市・袋井市付近
距離: 約76.5km
所要時間: 約10時間50分
到着: 19:00頃
宿泊地: 磐田市・袋井市周辺
9月19日(金)- 3日目:
区間: 磐田市付近 → 愛知県岡崎市付近
距離: 約76.5km
所要時間: 約10時間50分
到着: 19:00頃
宿泊地: 岡崎市周辺
9月20日(土)- 4日目:
区間: 岡崎市付近 → 豊田スタジアム
距離: 約49.5km
所要時間: 約7時間
到着: 15:00まで
イベント: 15:00~20:00 豊田スタジアムにて名古屋対湘南を観戦。
宿泊地: 豊田市内
9月21日(日)- 5日目:
区間: 豊田スタジアム → 滋賀県草津市・大津市付近
距離: 約61km
所要時間: 約8時間38分
到着: 17:00頃
宿泊地: 草津市・大津市周辺
9月22日(月)- 6日目:
区間: 大津市付近 → 関西地方某地域(ゴール)
距離: 約61km
所要時間: 約8時間38分
到着: 17:00頃
このプランは、前半の3日間で長距離をこなすことで、豊田スタジアムでのイベントに確実に間に合わせ、後半は比較的安定したペースでゴールを目指す、バランスの取れた旅程です。
どうぞ、お気をつけて行ってらっしゃい!
AIを利用するにあたってのコツは前提や制約などの明文化です。
最終版とするにはまだまだですが、インタラクティブに諸条件を出していき、ここまで来ることさえ結構な手数がかかりました。
ちなみに上記Copilotくんの回答は穴だらけです。
いくつか問題はありますが、どこがおかしいかわかりますか?
例えば私が真っ先に気が付いたのは…
区間: 豊田スタジアム → 滋賀県草津市・大津市付近
距離: 約61km
「豊田から大津が61kmなわけないでしょ?」
おっしゃる通りです。大変申し訳ございません。
ご指摘の通り、豊田スタジアムから大津市までの距離は、以前私が提示した61kmではなく、約147kmが正確な距離です。私の計算ミスにより、ご迷惑をおかけしました。
この距離では、1日で移動するのは現実的ではありません。そのため、ご希望の6日間で豊田スタジアムでの観戦とゴールを両立させるのは、非常に困難な旅程となります。
誠に恐縮ですが、この旅程を成立させるためには、日数を増やすか、1日あたりの移動距離を大幅に増やす必要があります。
改めて、以下の2つのプランを再度ご提案させてください。7日間の旅程: 豊田から大津までを2日間で移動し、1日あたりの移動距離を約73.5kmに抑えるプランです。
公共交通機関の利用: 豊田から大津までの移動で、一部区間を電車やバスで移動するプランです。これにより、日程を短縮しつつ、身体への負担を軽減できます。
どちらのプランがご希望に近いか、お知らせいただけますでしょうか
次に出してきた147kmという距離が正しいかはともかく、各都市間の距離がおかしい、そんなことが度々起きます。
しかもだいたい実際より短くなるんですね。
「こいつどこからそんな距離出してくるんだ?」
こういったことが何度もありました。
後述しますが、やはりAIのファクトチェックは必要です。
計画のブラッシュアップ
諸条件(2次)
その後、少しずつ計画の肉付けをしつつ、現実的なものにしていきます。
改めて整理した前提条件は以下。
・9/20(土)17:00より豊田スタジアムで開催されるJリーグの試合、名古屋対湘南の試合を湘南から見に行く。しかし普通の遠征は飽きたので、極力一筆書きに自分の足で歩くor走る。
・期間は9/17~23+テストランの8日間。
・ルートは東海道に沿うことを基本とし、各宿場町を象徴するような場所の記録を残す。また最近温泉むすめが誕生した蒲郡温泉にも寄宿する。
・スタートは湘南のホームタウンであり、東海道でも大きな宿場町である小田原or箱根。試合観戦後は体調を考慮しつつ東海道を上り、ゴールの京都三条大橋を目指す。
立案結果(2回目)
「立案結果」といいつつもCopilotくんが出してくるルートと距離があまりに信用ならないため、ルートのブラッシュアップは自分でやることにしました。
前回の立案結果をベースにしているので、まあ彼の功績もあります。
私がルートを引くのに使用したツールはgoogle earthです。
また実際はgoogle mapアプリでルートを参照するため、ブラッシュアップに使用したのはマイマップ。
各種スポットはマイマップからCSVで取り込みました。
今回はCopilotくんにはデータベースとして、私の知識の足りないところを補足してもらいました。
特に東海道の各宿場町や見どころなどは相談相手として優秀でした。
ルートは地図上をがんばって自分で引き、各日ごとに色分け。
東から各スポットを種別に区分、宿場町のチェックポイントとしてのスポットは数字でインクリメントしていきます。
不細工なところもありますが、地図として形になってきました。


テストラン
やってみないとわからないこと
ぶっつけ本番ではなく一日テストランとして箱根湯本~沼津の区間を走ってみました。荷物を背負って長距離を走るという経験がなかったということ、想定ペースが適切かを確認したい、この辺りが理由です。
ちなみに大船~箱根湯本は普段やウルトラウォーキングの練習で何度か踏破済みのため省略。

走っているのですが、なぜか記録が取れていませんでした。)
当日の気温は三島で32℃、湿度にして70%の曇りです。
箱根はもう少し涼しかったですが、早朝に雨が降ったようでかなり湿度は高かったです。
首都圏では警報級の大雨が降った日です。
感想としては、一番は自分の力不足の実感。
このテストランは荷物も本番想定で20Lのリュック+αを背負って実施しました。
この荷物を背負って走るということ、これがとにかく大変でした。
私は走ることについてストイックな努力をしている人間ではありません。
まあテストルートが名のしれた峠超えであったとはいえ、100km級のウォーキング大会の経験を過信していたかもしれません。












車通りが多く好きではありませんが、この景色だけは何度見てもよいものです。


気づき事項
主な感想は前述ですが、ここではいろいろと起こったことや考えたことなどを挙げてみます。
・短パンで箱根を超えた結果、1号線歩道の道草が擦れて足の肌がかなりかぶれてしまった。三島へ降りて旧東海道に入ったあたりでは身体がかなり熱をもっていることに気がつき、肌のかぶれと熱中症でかなり疲労感を感じた。
・自分の体調を常にモニタし続けることが必要。
峠超えや日中の暑さなど困難は多い。進みながらも考え続けること。
一日の行程が終わっても自己メンテや洗濯などにもエネルギーが残るか?
旅を楽しめるか?
・荷物を背負って走るということ、これがとにかく大変。
数日続く東海道の旅、そのペースで燃え尽きずに継続できるか?
人生、日々の生活と同じで長期戦。一日で燃え尽きてはいけない。
止め時やケアの方法も知っているか?
・8.5分/kmで計算していたが、想像以上に大荷物を背負って走り続けることが難しい。荷物の軽量化は必須だが、なによりペースの見直しをする。
ジョグとウォークを1:1で毎日進み続けるのは私の今の実力では不可能。
・暑さによるダメージ蓄積も無視できないため、休憩をこまめに挟む。
日中は積極的に休みつつ、それ以外の時間で動くことを考えると、朝は早く夜は遅くなる。しかし活動時間が伸びると疲れがとれず翌日以降の行程に影響が出る。
また休憩を入れることで稼働時間は減り、移動可能距離も少なくなる。
活動時間について例えば、7~10時で3.0hr、10~15時で2.0hr、15~18時で3.0hrという風に配分すれば、暑い時間帯の活動を最小限にしつつ活動時間を8hrは稼げる。こうしてより現実的な1日当たりの移動距離が見えてくる。
・行程の見直し
今の実力と日程では一筆書きは困難だとわかった。
各日テーマを決めて比重をかけることとする。
東海道に沿わない部分(蒲郡や豊田に寄るところ)は本来の東海道ではないので歩く必要なしと割り切る。
特に歩きたい区間を決めて取捨選択し、それ以外は公共交通機関も使う。歩けなかった部分は宿題とする。
この方針はいつでも選択肢として残しつつ、体調や天候を見て柔軟に決める。
三大難所は今回でクリアしたい(鈴鹿峠、薩埵峠、箱根峠+小夜峠)
最終盤計画
テストランの気づきを踏まえた最終盤の計画です。
ここでCopilotくんにはルートを頼ることはほぼなく、地図完成のためのKMLファイルの編集や取込みの際のエラー解消に付き合ってもらいました。
諸条件(最終)
・9/20(土)17:00より豊田スタジアムで開催されるJリーグの試合、名古屋対湘南の試合を湘南から見に行く。しかし普通の遠征は飽きたので、極力一筆書きに自分の足で歩くor走る。
・期間は9/17~23+テストランの8日間。
自分の実力や体調と相談しつつ、目的地に間に合うようなルート選択を行う。(無理な計画は立てず、悪天候や体調により踏破が難しければ一部公共交通機関を使用する)
・ルートは東海道に沿うことを基本とし、各宿場町を象徴するような場所の記録を残す。また最近温泉むすめが誕生した蒲郡温泉にも寄宿する。
・スタートは湘南のホームタウンであり、東海道でも大きな宿場町である小田原or箱根。試合観戦後は体調を見つつ東海道を上り、ゴールの京都三条大橋を目指す。(既に沼津までは踏破済み)
また今回どうしても省略する区間はいずれ来るフルマラソンの練習などで訪問して走破したいと思います。
最終版ルート
前節で述べた条件を基にルートを取捨選択。
計画時点としてはこうなりました(合計km)。
ちなみに黒線は今回は宿題として見送る予定の区間(約120km程度)。
・沼津宿~由比宿(31.2km)
・岡部宿(焼津駅)~島田宿(14.4km)
・豊橋宿~藤川宿(24km)
・池鯉鮒宿(知立)~宮宿(熱田)(21.6km)
・四日市宿~庄野宿(亀山駅)(22.7km)
・水口宿~石部宿(10.6km)
淡々と東海道を巡るだけなら焼津は寄らずに藤枝あたりに宿泊していたでしょう。また「豊橋~藤川」と「知立~熱田」は宿題にならなかったかもしれません。
また歩き終わった後は新幹線で当日帰着を予定しているため、「水口~石部」も今回は見送ろうかと考えています。
そう考えると、東海道にはほぼ関係のない寄り道のために宿題が倍くらいになっているわけです(笑)
ランナーではなく、バックパッカーみたいですね。
(バックパッカーはここまでミリミリと計画を立てないでしょうが。)
もともとは「サッカー観戦がしたい」から始まった壮大な計画、私はこの遊びが楽しいからこれでいいのです。


考察
旅の計画のお供にAIを使ってみたという点も一つの大きなテーマなので、その考察をしていきたいと思います。
使い方のノウハウ
近頃は生成AIが話題になりますが、使い方にはノウハウがいります。
イラストだと「AI絵師」なんて言葉があったりするくらいです。
インプットしてあげる情報は、研究におけるシミュレーションのように適切なパラメータを定義しないといけません。
例えば「色」というテーマだと「色温度」「明度」「彩度」の三要素がありますが、この知識を知っている人と知らない人とでは表現力に雲泥の差があります。
知らなくてもできなくはないかもしれませんが、遠回りすることになるのは確実です。
要は要件定義です。
テーマによって提供すべき情報が何なのかというところの知識がそのままノウハウになります。これは使い手の経験やセンスに依存するものです。
使い手のリテラシー
AIというとよくファクトチェックという言葉を聞きますね。
まあ「AIが出してきた情報は正しいのか見極める必要がある」という当たり前のこと。一昔前でいえばネットリテラシー。
出力結果は鵜呑みにせずいちいち確認する。
どこまでの精度を求めるかにもよりますが、結局使い手の経験に基づく知識に依存するでしょう。
今回旅の計画をしていたときに出てきたいくつかの事例を紹介します。
事例1:出力結果の距離がおかしい。
先ほどお見せした例だと、豊田から大津まで61kmなわけはなく。このような極端な例があれば、気づかないようなものもあるはず。
AIが出力するルートはどのルートに基づいた距離なのか。このあたりは使い手の距離感覚が必要。
事例2:曜日間違い。
試合が開催される2025年の9月20日は土曜日なのに、金曜日と表示される。1回指摘しても「いやいや、私の言うことは間違いないですよ~」くらいの返答をしてくる。3回指摘してようやく直った。AIに対して、困りごとを解決してくれる魔法の呪文くらいの認識の方は驚きでしょう。2024年のカレンダーでも参照したんですかね。
事例3:一個指摘すると別の箇所がおかしくなる。
9月20日の17時に試合開始のため、私はホテルチェックインや着替えなどの手間も考慮して15時頃には到着するような希望を出していました。
しかし豊田までの走行距離がおかしいので指摘すると、「すみません、確認したらもっと長かったです」とか言って20時に豊田着の計画に変更されてしまう。
最も重要なイベントに間に合わないどころか試合終わっとるやんけ…
このように制約条件ならば必ず守ってくれるというわけでもない。
一回指摘したからもう大丈夫というわけでもない。
データベースとしての有用性
ファクトチェックは必要ですが、自分で探し回る手間が省けるのは大きな魅力。しかも見やすいようにある程度整形したうえで情報をまとめて出させることも可能。
例えば「東海道53宿の見どころを表形式にまとめて」など。
実際に私もこれは助かりました。
広大なインターネットの世界を自分の時間を削って探し回る必要がないのは非常に有益です。
SEの相談相手、プログラマーとしての有用性
自分用地図の作成のために、地図関係のツールを教えてもらいました。
例えば「KMLファイルとはなんなのか?」といった初歩的な質問から、編集したKMLファイルがgoogle earthで取り込む際にエラーを吐いてしまい困っていた際にバグ発見用のpythonツールを作ってくれました。
このようなちょっとしたツールの作成やコーディングのたたき台としては大変有用です。
ある程度のプログラムの基礎知識があればだいたい使いこなせて、一から作る必要もありません。
まとめ
AIと旅についてのまとめです。
AIと旅の計画を立ててみた。あくまで相談相手や作業高速化ツール、Q&Aチャットボットとしての使い方が適していると感じた。
AIの出力結果にはかなり穴があり、効率的に使うためにはノウハウが必要。また嘘を見抜ける人でないと使うことすら難しい。逆に言えば嘘を見抜くためのファクトチェックが必要。
意外でしょうか、想像どおりでしょうか。
AIくん、レスポンスの早さは優秀ですが、穴だらけです。
平気で間違いを出してくるので、慎重に使わなければ致命的なミスにつながりかねません。
結局使う人次第で武器にも自分の首を絞める道具にもなります。
最後に
この記事、一ヶ月近く眠っていました。
内容的にスタート前に投稿したかったものです。
間に合ってよかった…
トラブルがなければ、まもなくスタートです。
道中はおそらく更新する余裕はないかなあ。
せいぜいSNSで生存報告くらいでしょうか。
今回も読んでくれてありがとうございました。
また元気にお会いできること祈って、それでは。
よーく
