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「キボリがつないでくれたもの。【キボリノコンノさん エッセイ】」

お菓子を食べる時間をもっと豊かにしてくれるエッセイシリーズ「おかしな物語 by ヨックモック」

今回の「おかしな物語 by ヨックモック」は、ヨックモックとも関係の深いキボリノコンノさん。
元々公務員としてお仕事されていたコンノさんがSNSに投稿した一本の木彫りのシガール。それは、驚くように広がりをみせ、コンノさんの人生を思わぬ方向に変えたと言っても過言ではないはず!

それ以来、コンノさんとはゆるやかに関係を築いてきました。

「企業」「個人」という枠組みを超えて対話をし、つながること。そしてコミュニケーションの中から、生まれるアイデアと新しく紡がれる物語。

今回はコンノさんにヨックモックとの出会いから、木彫りや創作活動に込める思いまで、綴っていただきました。



木彫りを始めたきっかけは、本当にふとしたことだった。

2021年の秋、コロナ禍のおうち時間で何かできることはないかと考えながら、コーヒーを飲むためにコーヒー豆を挽いていた。

何気なくコーヒー豆を眺めていると、「硬くて、ざらざらしてて、茶色くて…、コーヒー豆ってなんか木の質感に似ているな」と思った。

そして、「木でコーヒー豆を彫ったら、そっくりになるんじゃないか」と考え、小学校の頃に使っていた彫刻刀と、学生時代に近所のクラフトフェアで「木の端材の詰め合わせ」を買ったことを思い出し、小さな茶色い木を彫って木彫りのコーヒー豆をつくり始めた。

夢中になって彫り進めると、なかなかリアルなコーヒー豆が完成した。

それを何気なくSNSに投稿してみると、数人の友人から「いいね」やコメントが届いた。コロナ禍で直接友人に会うことが難しいなか、失いかけていたコミュニケーションが少し戻ってきたような感覚になったのを覚えている。

「また何か作ったら、みんなとやり取りができるかも。」

そんな思いから、気がつけば木彫り作品をつくってはSNSに投稿するようになっていた。

気づくと木彫りは、「作品づくり」であると同時に、自分と誰かをつないでくれるコミュニケーションの手段になっていた。


そういえば、子どもの頃から、僕にとってヨックモックもまたコミュニケーションのきっかけだった。

手土産でいただいたときの、あのワクワク感が大好きで。

紙袋から箱を取り出し、包装紙を破らないように丁寧にテープをはがして開いていく。青い缶に巻かれたテープもくるくるとほどき、そっとフタを開ける…。

「何が入っているんだろう」と、期待に胸を膨らませながら開けていくあの時間は、一つの物語を味わっているようだった。


中学生になる頃には、そのワクワクを自分でもつくって誰かに贈りたいと思うようになっていた。家族や友人へプレゼントを贈るときには、箱やラッピングを自分でデザインして作ることもあった。中身だけではなく、プレゼントを渡して中身を取り出すまでの時間までも特別なプレゼントにしたいと思っていたからだ。

そんな思い出があったからか、木彫りを始めて半年が経った2022年の春、妹から「シガールを木彫りで作ってみたら?」と提案されたときは、迷わずつくり始めた。
せっかくなら透明なパッケージまで木でつくって驚かせたいと思い制作した『木彫りのシガールと袋』をSNSに投稿すると、大きな反響をいただき、その作品がヨックモックの方々の目にも留まった。


木彫りのシガール


さらには、「社長がキボリノコンノさんにお会いしたいと申しております」という、信じられないようなご連絡をいただいた。ヨックモックの藤縄社長と数名の社員のみなさんにお招きいただき、直接『木彫りのシガールと袋』をお見せして、お話しする機会をいただくことになったのだ。

そしてお会いした時に、藤縄社長がおっしゃった「キボリノコンノさんの作品は、誰かに見せたくなりますね」という一言が、今でも心に残っている。

それまで僕は、作品を見た人を驚かせたり楽しませたりして、作品を見てくれた誰かと僕自身がつながることばかり考えていた。

しかし実際には、僕の作品を見てくれた人が「ねぇ、これ見て!」とほかの誰かに見せたくなり、僕の知らないところでも新しい会話が生まれていた。

僕の作品は僕と見る人をつなぐだけではなく、見る人同士もつないでくれていたことに気づかされたのだ。

その言葉をきっかけに、僕は自分の生み出す木彫り作品を「美術作品」ではなく、「コミュニケーションツール」にしたいと考えるようになった。

そして2023年の春、当時勤めていた地元の市役所を思い切って退職し、プロの木彫りアーティストとして活動を始めた。
だが、木彫り作品は一切販売していない。

作品を売ることではなく、展覧会や絵本、ワークショップ、講演会などを通して、作品をきっかけに人が集まり、驚いたり笑ったり、感想を語り合ったりする場をつくること。それが今の僕の仕事である。

面白いことに、作品を生み出すアイデアも、一人で考えているときより、誰かと話しているときのほうが浮かぶことが多い。

例えば、仕事で出会った人や展覧会に来てくれたお客さんと会話をしているとき、「自分とは好みも性格もまったく違うこの人に、どんな作品をつくって見せたら驚いてくれるだろう?」と考えてみる。

すると、一人でお風呂の中で考えているときよりも、よほど斬新で、みんなが驚いてくれるような面白いアイデアが浮かんできたりする。

人とのコミュニケーションは、僕にとって創作の最も大切な材料である。
僕の木彫り生活は、人との交流が9割、創作が1割といったところだ。笑

そんなふうに考えると、僕はただ木彫りだけをしていたいわけではない。

木彫りは、僕にとって数ある表現方法の一つに過ぎず、本当にやりたいことは、木彫りをきっかけに「ワクワク」を生み出すこと。

そして、そのワクワクが人から人へと伝わり、新しい会話や笑顔につながっていく。それが僕にとって一番の喜びである。

子どもの頃、家族みんなでヨックモックの缶を囲みながら味わっていたワクワクも、コロナ禍でSNSを通じて人とつながることができた喜びも、振り返れば、僕がずっと大切にしてきたものだったのかもしれない。

人と人をつなぐこと。

コミュニケーションを求めてつくるようになった木彫りは、今では人と人をつなぐ木彫りになっている。



【プロフィール】キボリノコンノ
東京都出身。静岡県浜松市在住。1988年生まれ。
2021年に趣味で木彫りを始め、「あっと驚くもの」をテーマに身近な食べ物や生活雑貨を木彫りで再現。
「溶けかけの氷」や「シガールと袋」、「注がれるコーヒー」など数多くの作品がTVやSNSなどで話題となり、2023年からプロの木彫りアーティストとして本格的に活動を開始。
全国各地で展覧会やワークショップなどのイベントを開催。

Instagramアカウント▶https://www.instagram.com/kibori_no_konno/
Xアカウント▶https://x.com/kibori_no_konno


「おかしな物語 by ヨックモック」いかがでしたか?

ヨックモックの公式Podcast「ヨックモックpresents おかしなおしゃべり。」では、さまざまなゲストをお迎えして、お菓子にまつわるお話をお伺いしています。今回のエッセイとあわせて、ぜひチェックしてみてくださいね!

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(おわり)

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