WordPressの限界から3日でSanity教材を完成させ、イケハヤさんにDMするまで
「細かいことはよく分からないから、とりあえず一番有名なWordPressで作っておけば安心だよね」
お客さまからその言葉を投げかけられるたび、私は言葉にならない違和感を抱えていました。
当時の私は、5〜10人規模のチームで中小企業のWebサイトを開発・保守する仕事をしていました。忙しいときは毎日16時間以上働く現場です。今はやめてクリエイターとして活動していますが、あの頃は「社会に馴染めない自分」に悩みながらも、必死にエンジニアとして居場所を探していました。
しかし、そこで目にしたのは、新しい技術を学ぶことを避け、過去のやり方にしがみつく組織の姿でした。
当時必要だと提案したGitですら、ディレクターの上司に「難しいから」と見送られてしまう環境。ソースコードのバージョン管理という、エンジニアにとっての基本インフラが「難しそうだから」で却下される。そんな空気の中で、自分のスキルを積み上げていく姿が見えませんでした。
「このまま古いやり方のしわ寄せを現場が被り続けるなら、いつか自分も潰れてしまう」
私には、その未来がはっきりと見えていました。
3日間のハードワークと「自分だけの武器」
「嫌なことはやめて、自分らしく生きていきたい」
そう心から願ったとき、私は腹を決めました。今の自分に必要なのは、組織の遅い歩みに合わせることではなく、圧倒的なスピードで「自分ならこれができる」という実績を作ることでした。
目標にしたのは、Sanity(最新の技術と相性が良いヘッドレスCMS)の教材を3日間で完成させること。かつての私は完璧主義に縛られて動けなくなることもありましたが、この時は違いました。
・「最小限の機能」に絞り込む:すべてを網羅しようとせず、相手が本当に求めていることだけを逆算しました
・ 「初心者向けの具体的な手順」に特化する:自分が確実に理解でき、相手に刺さる範囲だけに集中しました
結果として、以下のような構成でまとめました。
・なぜ今「脱WordPress」なのか(背景と動機の整理)
・Sanityの基本操作(セットアップから記事投稿まで)
・フロントエンドの構築手順(Next.jsとの連携)
・ デプロイの方法(Vercelへの公開手順)
・サイトのカスタマイズとセキュリティ対策
・SEO設定
また、読者特典として「AIエージェントに読み込ませるスキルファイル」も用意しました。セキュリティ監査、フロントエンド制作、バックエンドのエラー対応——この3つのファイルをプロジェクトに配置するだけで、AIが専属サポートのように動いてくれる仕組みです。
教材をすぐ書けた理由は、もうひとつあります。お客さま自身に「考える力」をつけてほしかったからです。
WordPressを「なんとなく」で使い続けることは、仕組みがブラックボックス化したまま誰かに依存し続けることを意味します。一方、Sanityのようなモダンなツールは、最初に少し学習が必要です。しかし、「なぜそれを選ぶのか?」を自分で考えるようになることで、情報発信の主導権を取り戻し、変化に強い力を養うことにつながります。
誰かに丸投げして済ませるのではなく、自ら学び、使いこなす。そんな人を増やしたいという気持ちが、この教材には込められています。
一点突破の提案
完成したばかりの教材を抱え、私はイケハヤさんに直接DMを送りました。
それは決して、勢いに任せた無謀な行動ではありません。事前に氏の発信を読み込み、「今、何が課題なのか」「どんな提案なら喜んでもらえるか」を、私なりに分析した上での挑戦でした。
AntigravityといったAIのツールを味方につけ、自分だけの仕事の流れを構築する。そして、高速で改善を繰り返しながら、直接世の中に価値を届けていく。
お家で静かに暮らしながらも、自分のスキルを武器に力強く生き延びる。これが、私が信じている「これからの個人の歩き方」です。
WordPress は「敵」ではなく「道具」
ここまでWordPressに対して厳しいことを書いてきましたが、誤解しないでいただきたいのは、WordPressというシステム自体が悪いわけではない、ということです。
世界中の膨大なサイトを支えてきた実績、情報の多さ、そして誰でもすぐに始められるハードルの低さ。これは今でも唯一無二の価値です。
私が苦しかったのは、その「便利さ」を、考えないことの言い訳にしてしまう姿勢のほうでした。「とりあえずこれ」と盲信して、目の前のお客さまにとって本当に最適な選択肢を検討しなくなること。それが一番恐ろしいと感じていたのです。
今の私なら、こう考えます。
・拡張性やスピード、自由な表現を求めるなら → Sanityのようなモダンな技術を
・コストを抑え、誰もが更新できる汎用性を重視するなら → WordPressを
大切なのは、技術に振り回されるのではなく、目的のために「自分の意志で道具を選ぶ」こと。これからも、最適な選択肢を自分で考え続ける姿勢を大事にしていきたいと思っています。
