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勇者

 『葬送のフリーレン』という漫画がある。アニメもある。大好きで、どちらもよく見ている。


 エルフであり1,000年以上の時を生きるフリーレン。かつての旅仲間、ヒンメルが亡くなるところから物語は始まる。フリーレンはヒンメルとの別れを迎えて、後悔をする。

 「人間の寿命は短いってわかっていたのに。なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう。」

 この場面は、何度見ても泣いてしまう。


 読み進めていくと、ヒンメルの気持ちがわかってくる。フリーレンへの思いが、言動にすべて出ていた。
 「いつか故郷の花を見せたい」と言ったり。鏡蓮華(花言葉は“久遠の愛情”)の指輪をフリーレンにプレゼントして、プロポーズのようなこともしている。
 なのに、どうしてフリーレンは、ヒンメルの気持ちに気付かなかったんだろう?
 あれだけの猛アプローチに気付かないなんて。

 亡くなって後悔するくらいなら、生きているうちに気持ちに応えたらよかったのに。と、少しモヤモヤしていた。
 それに、今更人間を知ったところでヒンメルにはもう会えないのに、って。




 20年前に亡くなった、友達のこと。


 私はこの年末年始に、彼のことをたくさん思い出していた。なぜ今だったのかは、わからない。最期の会話を何度も思い返して、また自分をひとしきり責めて、泣いて。彼への思いがなんなのかをまた考えて。答えのない苦しい時間。

 あれ?もしかして私もフリーレンと同じなのかなって思ったら、また涙がたくさん出た。

 ふと思い出して、彼のブログを見に行ったらら、なんとまだ残っていた。20年も経っているのに。
 そこには、私と飲みに行った日のことも書かれていた。久しぶりに楽しく酔っ払えたのだと。その日記にコメントをつける私、返事をつける彼。他の日記でも、ぽつぽつとやり取りをする二人がいた。
 人の気持ちのことだから、相手のことはわからない。ただ、残された文章からは、“なかよし”さが伝わってきた。色気のあるやり取りではない。でも、力が抜けてほわほわとした、とても“なかよし”。
 “なかよし”としか言いようがない。

 なんだ、“なかよし”じゃん。

 飲んだ日のこと、私もよく覚えてる。楽しくて、優しくて、あったかくて。


 人間の寿命が短いってわかっていたのに、知ろうとしなかったフリーレン。
 彼の寿命がこんなに短いなんて知らなかった私。私も彼のことを知ろうとしてなかったのかもしれない。


 全然違うんだけど。

 違うんだけど。

 フリーレンってもしかしてこんな気持ちで旅してるのかなとか。

 鏡蓮華の指輪も、ヒンメルが街に残した銅像も羨ましいなと思うし。

 私も気付けなかったり見落としてるものが、あったりするのかな。


 私の彼への思いは、恋ではない。親友
だったしね。
愛?
…愛情、慈しみと言った意味では愛に近いかもしれない。

 でも、私たち“なかよし”だったよね。


 フリーレンのように「人間について知りたい」旅ではない。
旅でもない。
ただ、20年も経って未だに、あなたを探すのをやめられないのはなんなんだろうって。

思いながら生きてるよ。



ゆづ



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