スタンディング腹
【スタンディング腹】
立腹と同意。
腹を立てること。
怒ること。
“メロスは激怒した。”
↓
“メロスは大変にスタンディング腹。”
“スタンディング腹”は私が某ハンバーガーの店でアルバイトをしていた時に唐突に降ってきた言葉です。
空腹は生命維持の観点からすると死活問題なので殺気を帯びた客というのは一定数いるんですね。
入店した段階でブチギレているような方。
(“腹が減っては戦はできぬ”とはよく言ったものですが、
むしろ空腹は戦闘力にバフをかけますし、
満腹の方が動く気力もなくて戦にならない気がするのは私だけでしょうか。)
詰まるところ私自身が短気で
(逆鱗でない部分が行方不明)
初登場シーンから雄叫びをあげているようなタイプの敵には鉄槌を下したくなってしまうのですが、さすがにそれはまずいので我慢するじゃないですか。
でも煮えくりかえっているんです、はらわたどころではなく全身が。
血だって騒いでしまいますし、
交感神経フルスロットルです。
この時私の副交感神経は休暇に出てのんきに小籠包食べ放題していると思います。
で、口の中火傷しているはず。
レジでブチギレし客の対応をしていたところ、
案の定私のはらわたの温度はじわじわと上昇。
沸点はもう間近です。
その時です。
心の中の太宰治がぼそっと呟いたのです。
「客は大変スタンディング腹。よもぎも大変スタンディング腹。」と。
沸点間近だったはらわたの温度が急激に下がっていくのを感じました。
なんなら目の前の客がセレヌンティウスとさえ思えてきたではありませんか。
客も私も“スタンディング腹”という共通項を持っている、今同じ感情を共有していると
謎の連帯感を覚えた私は語りかけました。
「生きていると、腹立たしいことが起こるものですね。今日、何かございましたか?よろしければ聞かせてください。」と。
すると客のはらわたの温度も急激に低下したようで穏やかに
「そうなの、実はね…」
と“スタンディング腹”の原因を穏やかに語り出したのです。
レジは2つ存在していますが、片方がカウンセリングコーナーと化してしまったので残りの1つのみでハンバーガーの店としての役割を果たさねばならぬというとんでもない試練を巻き起こしてしまいました。
さぞ店長は“スタンディング腹”だろうと思いきや、
「よもちゃん、いいからそのまま話聞いといて(小声)」
とカウンセリングコーナー開設を容認。
【
セレヌンティウスお客さんの怒りの原因】
1.朝、旦那が自分でコーヒーこぼしたくせにあたかもセレヌンティウスお客さんのせいのような言い方をして逆ギレしてきた。
2.自宅の階段に足の小指をぶつけて激痛。
3.スーパーのレジで知らないおじさんに順番を抜かされた(3分前)
4.空腹
5.鼻詰まり
聞いてみてわかる、確かにそれは
“スタンディング腹”にもなるわなという状況。
それを無関係な人に当たり散らすのはいかがなものかとは思いますが、まあ気持ちもわからなくはない。
特に3分前に知らないおじさんにレジで順番抜かされてますからね。
3分経てばカップ麺も仕上がるように、スタンディング腹も仕上がっちゃったんでしょうね。
うんうんと聞いているうちにようやくセレヌンティウス客がメニュー表に視線を落としたのです。
(店長が売切でもないのに貼った売切シールをこっそり剥がす私)
セレヌンティウス「辛いものが食べたい。」
私「それでしたらこちらハラペーニョが入っておりますのでおすすめです。」
セレヌンティウス「じゃあこれ。」
店長「(小声)ハラペーニョ増量できるよ、今日だけ」
私「(小声)ハラペーニョ増やします?」
セレヌンティウス「(小声)いいの?」
私「(小声)今回のみで」
セレヌンティウス「(小声)よろしく」
この日からセレヌンティウスは常連と化し、
最低でも2回/週の頻度で来店するように。
私がシフトに入っていない時に来店すると、
「なに、よもぎさんいないの?!」
とスタンディング腹発言をした後
アップルパイを注文していたそうです。
私がいる時はなぜかアップルパイを注文しないという徹底ぶり。
このアップルパイのくだりをセレヌンティウス本人にして、注文されてもいないのに
「アップルパイにハラペーニョ乗せますか?」
と調子こいた発言をしてみましたが
爆笑されて終わりました。
…ほんの少しセレヌンティウスの“スタンディング腹”に期待している自分に気付きました。
ご自宅で私の元バイト先を味わうならこちらです。
モスバーガー×よもぎ
あたかもコラボ商品みたいな書き方をしていますが
私とは関係ありません。
「よもぎボール粒あん」
期間限定らしいのでお急ぎください。
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