新しいNo Codeについて
こんにちは。chef+(シェフプラス)の米澤文雄です。
すでにプレスリリースなども出していますが、西麻布で紹介制ダイニングとしてやってきた「No Code」が、2025年6月12日より、メキシカン・フレンチをコンセプトとして、新たなスタートを切ることになりました。
このタイミングで、 Jean-Georges Tokyo(ジャン・ジョルジュ・東京)時代から8年共に走り続けてきてくれたアキノリこと久松暉典(ひさまつ・あきのり)がシェフに就任。

そして僕はNoCodeのブランドを世界展開を目指し、今年の夏からサウジアラビアに移住します。
決意を新たにした今、僕の想いを書いてみようと思います。
そもそも「No Code」とは

No Codeは、僕が2021年に創業した会社でもあり、店は2022年にオープン。
店の営業日は月の10日前後というちょっとわがままな(笑)スタイルで当初からスタートさせましたが、おかげさまで、毎日たくさんの予約をいただき「いつか伺いたいです!」と言ってもらうことが多かったですね。(ご予約なかなか取れなかった皆さん、すみません……!今回からTabecheckやOMAKASEで予約が取れるようになっていますので、ぜひ!)
イノベーティブレストランだとか、ニューヨークフレンチ、時にアメリカ料理レストランなんて表現されることもありましたが、そもそも会社名でもある「No Code」には“規則や枠組みに縛られず、新しい価値を創る”という意味を込めています。

既存の価値観にとらわれずに、食で新しい価値創造をする。僕の仕事に対する理念であり、信念、そしてやりたいことです。
今回の発表も、急な方向転換に見えて戸惑われた方もいるかもしれませんが、むしろ逆。
既存の枠組みを手放すことも、店が僕の手から離れることも、前々から計画していた前向きな決断。それを形にしたもののひとつが、今回のメキシカン・フレンチへのジャンル変更です。
可能性だらけの「メキシカン」
実はすでにPOPUP形式で粛々とスタートさせてきたNo Codeでの「メキシカン・フレンチ」のコース。

早々にお召し上がりいただいたお客さんからは「美味しいです!」と共に、必ず聞かれるのが「そもそもメキシカンって、なんですか?」という、ちょっと哲学的な質問。
これこそが、僕らが新しい方向の中心に「メキシカン」を据えた理由です。
日本でのメキシカンのイメージは、まずタコス。そこにサルサソースとか、チリソース、ハラペーニョみたいなイメージが続くかと思いますが、考えてみると、メキシカンって他のジャンルに比べて幅が狭く感じませんか?
メキシカンレストランの立ち上げを経て感じた「不足感」

僕とアキノリは、2020年から、NYで一ツ星を獲得したメキシコ料理店「OXOMOCO(オショモコ)」の日本店の立ち上げに関わってきました。
きっかけはOXOMOCOのオーナーであるJustinと僕がNY Jean Georges時代の盟友だったこと。そしてアキノリはここでシェフもやってます。
日本にいながら、世界で評価される星付きのメキシカンレストランに触れる機会を得て、強く感じた課題。それは、日本におけるメキシカンの物足りなさ。
これには大きく2つの理由があって、ひとつは日本において、メキシカンという食文化が部分的にしか伝わっていないこと。
和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたのは2013年だけど、実はメキシコ料理はその3年前の2010年に登録されていることを考えると、その文化的背景の壮大さの想像がつきやすいかもしれません。

7000年以上の歴史があるメキシコの食文化だけれど、その複雑さゆえに断片的にしか浸透していないのが現状。
もうひとつは、本場のメキシカンの食文化をそのまま日本に持ってきても、受け入れられにくいだろうというところ。
ここ数年メキシカン・フレンチを追究してきた僕らの見解を少しだけ書くと、酸味や辛味を特徴としたメキシカンは確かに美味しいんだけど、これをそのまま日本に持ってきてもなんだか物足りない。これは使う食材や水の違い、土地や気候風土の違いにもよると思います。
これだけ見れば「じゃあなんで日本でメキシカンに挑戦するんだよ!」と思われるかもしれないけれど、僕らが期待しているのは、だからこその可能性。

そのまま持ってきた時に感じる「違和感」を、日本の四季折々の食材や、発酵の文化、果物の甘味、そして僕たちが得意とするスパイスなどの香りづかいでととのえていくことで、NoCodeからメキシカンの既存概念を打ち破っていけると思っていて、ここ数年は、そのチューニングをしてきました。

僕は、東京という新しい物を受け入れるのに少し時間がかかるマーケットにおいて、かなり早い段階からヴィーガンを取り入れて価値創造をしてきた自負がありますが、メキシカンに対しても、同じような仕掛けができると考えています。
すでに来てくださっている皆さんが「メキシカンってなんだっけ?」ってなるのは、僕たちが課題に感じていた"日本的メキシカンへの先入観"が崩れた証拠だと思っていて、こういう価値観のアップデートを目指しています。
もちろん、美味しいことは大前提です。
厳格かつ自由な「フレンチ」

そんな無限の可能性を秘めたメキシカンにフレンチを掛け合わせたのは、フレンチのJean-Georges Tokyoで出会った僕とアキノリになじみがある分野であることはもちろん、フレンチには、メキシカンのような未知の可能性を、無限に広げるための「基礎」と「自由さ」があるからです。
フレンチと聞くと、重厚だったり堅苦しいイメージを持つ人もいるかもしれないですが、それは側面の一つにしか過ぎません。僕は、基礎をしっかり押さえれば、フレンチが一番自由だと思っています。その自由さや創造性は、もはやアートに近い。
それに、フレンチは日本でもすでに受け入れられていて「フレンチ」と聞くと頭の中で色々な料理が自然と浮かんでくる人も多いのではないでしょうか?
料理というのは自由すぎてもぼやけるから、そこを縁取るような意味合いで、フレンチの要素も盛り込んでいく。
ここを、Jean-Georges Tokyoでフレンチを、OXOMOCOでメキシカンを、そしてThe Burn、No Codeでそれらの融合を図り、独自のアイデンティティを僕と一緒に築いてきたアキノリが、しっかり形にします。
アキノリのこと
No Codeのシェフに就任する、アキノリこと久松暉典(ひさまつ・あきのり)についても改めて紹介させてください。

アキノリは1993年生まれの31歳。大阪出身です。
僕がJean-Georges Tokyoで料理長をしていた時に、アルバイトで入ってきました。当時彼はまだ23歳。当時はフランス留学を目指していて、昼はうち、夜は別の店で働く生活をしていたタフな奴。
当時から仕事ができる子で、掃除とか発注とかの雑用仕事も丁寧、料理の下拵えをさせても丁寧。その手つきや包丁遣いから、料理がすごく好きなんだろうなということが伺えました。

視座が高くて、目の前に落ちてるチャンスははすべて学びに変えたい熱心さがある。僕が店の営業日の合間を縫ってヴィーガンレシピ本の撮影をしながら目を白黒させている時も、休み返上で全部手伝いに来てくれました。
そしてこれが、目先の評価とかそんなもののためではなくて、シンプルに自分のためにしようとしているのがわかるくらい、自己研鑽に貪欲。
一方で、いわゆる料理人あるあるとも言われるけれど、自分のことを表に出したりするのは少し苦手かも。(少なくとも僕よりは。笑)
シャイだけれど、だからこそ皿の上での雄弁さは人一倍。
そして学びはすぐに料理で表現したがる料理人としての創意工夫やガッツは、No Codeに食べに来てもらえたら一発でわかってもらえるはずです。
インスタ見てもらうとわかるけれど、休みの日は食べ歩きや生産地巡りに費やしてます。(@hisamatsu12)
食以外の趣味はプロレス観戦。今はなんと髪の毛を緑色に染めていて、これは世の中へのアンチテーゼ的な意味合いもあるらしい(笑) 詳しくはカウンターでぜひ聞いてやってください(笑)
そんな彼も、僕について8年、年齢も31歳。さらに高みを目指すタイミングだし、目指せると思ってます。
僕もそれくらいの歳でたくさんの壁にぶつかったけれど、他の記事でも書いた通り、自分のキャパシティを超えたところでの挑戦が一番人を成長させるし、それが挑戦だと思う。
ご来店予定の皆様、食べて気になったことはたくさん質問してやってください。とにかく現地に足を運べ!と教えてきたこともあり、食に関しての引き出しの多さは、僕のお墨付きです。
5月はメキシコ現地へ答え合わせに
No Codeらしいメキシカン・フレンチのイメージが確立してきた中で、今年に入って2回、ついに現地メキシコへ足を運びました。
1回目は本田直之さん、大越基裕さん(ソムリエ)と3人で。その時に圧倒されて、その2ヶ月後に今度はMUSHROOM TOKYOの桜井さんと、そしてアキノリも連れて、再び訪れました。

もちろん行ってよかったんだけど、何よりも、このタイミングで行ってよかったなと、思いました。
文字や聞くだけでは想像できなかった、ネットには落ちていない、リアルな質感のメキシコ。圧倒的な情報量。「こうあるべき」「こうでなければいけない」という発想を軽々と超える、伸びやかな料理の世界。
正直、自分たちのやりたいメキシカンを考えないまま手放しで来てたら、更に迷いだけが増してたと思います。
でも、ちゃんと準備してきたので、僕たちの目指していることは間違いじゃないなという確信を得られた。

現地で五感を使って味わった“本物のメキシコ”は、僕もだし、アキノリの想像もはるかに超えていたようで、帰国後の料理への向き合い方がまた更に変わったように思います。
僕は彼のこの辺りの感受性の高さと素直さをすごく評価してる。
No Codeという場所は、常に変化する社会に対して高くアンテナを張りながら、その中での価値を都度定義して、そのタイミングでの「最高」を、食を通して表現し続ける場所でありたい。
新しいNo Codeを、ぜひ体験しにきてください。
ご予約について
ご予約は下記サイトから承っています
Tablecheck
OMAKASE
店名:No Code
営業時間:(2部制※各回一斉スタート) 17:00~ / 19:45~
料金:料理 おまかせコース 13,500円(税込サ別) ドリンク ペアリング 10,000円(税込サ別) ※ファーストドリンク別 ※ドリンクはグラス、ボトル共にアラカルトオーダー可能、ノンアルコールペアリングは御座いません。料理:メキシカン-フレンチ
予約:電話、ネット予約※テーブルチェック推奨
座席:8席(カウンターのみ)
ドレスコード:スマートカジュアル
キャンセル料:~1週間前30% / 前日50% / 当日100%
※2025年6月時点の情報です。最新の内容は予約ページなどをご確認ください。
次回は「どうして僕がサウジアラビアに移住するのか?」について書こうと思います!
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(arranged by 菅原きこ)
