見出し画像

【ドラム人生】第2話|「洋子、不整脈なの?」って先生に言われた話。

わたしは昔からリズム感が終わっている。
いや、
「ちょっと苦手」とかやない。
終わっている。
完成形で終わっている。

歌を歌っても、
みんなが
「タン・タン・タン♪」
って歩いてる横で、
わたしだけ
「タ……タン?……タン……タ?」
ってなる。
なんでやねん。
自分でも分からん。

音符が書いてある場所と、
わたしの体が思う場所が、
毎回ちょっとだけ違う。
絶妙にズレる。
惜しい。
めちゃくちゃ惜しい。
でも、
惜しいが一番腹立つ。

そんなある日。
バイオリンのレッスン中に、
先生が真顔で聞いてきた。

「洋子、不整脈なの?」

……
え?
心臓?
急に?
健康診断始まった?
と思ったら違った。
もちろんリズムの話である。

どうやらわたしのリズムは、
脈拍みたいに規則正しくなく、
毎回自由奔放だったらしい。
自由すぎるやろ。

その頃のわたしは本気で悩んでいた。
音楽は大好き。
でも、
リズムだけはどうにもならへん。
歌ってもズレる。
バイオリン弾いてもズレる。

そんな時だった。
ひとりのドラマーに出会った。

あの人は、
どんな曲でも自然にリズムに乗っていた。
力んでる感じなんて一切ない。
音楽と一緒に呼吸してるみたいだった。

「うわ、かっこええ。」
心の底からそう思った。
そして思った。
「わたしも、あんなふうにリズムに乗れる人になりたい。」

リズム感を良くしたい。
もちろんそれもあった。
でも、
一番の理由はそれだった。
憧れた。
だからドラムを始めた。

そして現在。
ドラム歴1年9か月。
……
うん。
普通にリズム感は修行中である。

なんなら今でも先生に
「そこ走ってる!」
「今度は遅れてる!」
と言われる。
忙しい。
走ったり止まったり。
リズムだけマラソン大会である。

でもね。
昔と違うことがひとつある。

リズム感がない自分を、
前ほど嫌いじゃなくなった。
できないから笑える。
できないから練習する。
できるようになった時の嬉しさも知れた。

だから今日もわたしはドラムを叩く。
たぶん明日もズレる。
でも、
昨日の自分より、
ほんの少しでも前に進めたらそれでええ。
……
知らんけど。

いいなと思ったら応援しよう!