《第六章》おわりに ― たかが一記事、されど一記事
この改善案を書こうと思ってから、実際に発信するまで約8か月かかりました。
現場で働いていた頃から、「もっとこうすれば良くなるのではないか」と考えることは何度もありました。
実際、現場では1人で解決するには難しい場面が多々あり断念せざるを得ないのです。
このもどかしさを文章にして世の中へ発信する勇気がなかなか持てませんでした。
私は物流の専門家ではありません。
コンサルタントでもありません。
だから、「素人が何を言っているんだ」と思われるかもしれない。
そんな不安が、ずっと心のどこかにありました。
それでも、物流業界で働いていた日々を思い返すたびに、一つだけ確信していることがあります。
物流は、人が支えている。
どれだけAIやロボットが進化しても、現場では今も多くの人が汗を流し、荷物を運び、社会を止めないために働いています。
私が現場で出会った方々は、決して不満ばかりを口にする人たちではありませんでした。
きつい仕事でも、暑い日も寒い日も、黙々と目の前の仕事をこなし、背中で仕事を教えてくれる人がたくさんいました。
だからこそ私は、その人たちの負担を少しでも減らしたいと思いました。
147cmの私でも感じた積み替え作業の大変さは、年齢を重ねれば、もっと大きな負担になるはずです。
今後さらに人手不足が進めば、若い世代は「きつい仕事」と分かっている業界を選びにくくなるかもしれません。
だから私は、働く人が長く安心して働ける物流を考えたいと思いました。
今回提案した内容が正しい答えだとは思っていません。
物流は非常に複雑で、多くの事情や歴史が積み重なって今の形があります。
だからこそ、この文章は「答え」ではなく、一つの「問い」です。
現場から見えた景色を、一人の元作業員として言葉にしただけです。
もし、この中に一つでも専門家の皆さんのヒントになる視点があれば、これほど嬉しいことはありません。
私は、一枚のパレットから物流を見つめました。
しかし考え続けるうちに、その先には林業があり、エネルギーがあり、環境があり、そして何より、人がいることに気付きました。
荷物とパレットは、いつも一緒に動いています。
そして、その荷物を最後に届けているのは、機械ではなく人です。
物流は、すべての産業を支える「縁の下の力持ち」です。
だからこそ、そこで働く人が少しでも働きやすくなる未来を願っています。
たかが一記事。
されど一記事。
この文章が、未来の物流を考える小さなきっかけになれば幸いです。
