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【Vol.1】なぜアカウントプランが必要か?「ありがとう」と言われる営業の裏側

自己紹介

新卒でBiprogy(旧日本ユニシス)に12年間勤め、Salesforceに転職、複数の大手小売エンタープライズ企業の成功を3年間ほど支援し、現在はGoogle Cloudに在籍をしています。Google Cloudでは、国内トップの大手小売コングロマリット企業を担当していました。エンタープライズ営業歴は、15年間ほどで、SIer、SaaS、Cloud/AIというITフルラインナップの視点からアカウント戦略を立案し実行をしています。
そんな私は、新たなキャリア形成のために2025年12月より新たな環境にチャレンジする予定ですが、節目としてアカウントプランの重要性について整理し発信することで、エンタープライズセールスがうまくいかなくて辛いと思ってる方々が、こうすれば楽しくなるんだと思っていただけると嬉しいと思い、本noteを書きました。

1. 「引き継ぎ挨拶」で起こった奇跡

Google Cloudを2025年9月末日に退職することを決め、現在、まさに後任者を連れて引継ぎの挨拶に回っているのですが、ご挨拶先を厳選しても100名以上の数になりました。改めて大きな企業様を任せて頂いて感謝でいっぱいなわけですが、メールや部署単位でのご挨拶で済ませるのではなく、細かく1人から2人単位で短い時間でもお会いするということをやらせて頂きました。中には遠くまでご足労頂けるお客様もおりました。
「辞めるのだから、纏めてやった方が楽じゃないか」という声も聞こえてきそうですが、後任者のためにという気持ちと同時に、その方たちと思い出話を共有したくなる自分がおり、その結果、困った時助けあえる、一人一人との強固なリレーションが、最後まで生きていたことを肌で感じました。

「Yoppyが来てくれなかったら、プロジェクトは進まなかった。本当に感謝してるよ」
「あの提案は良かった。利用のコストは高かったけど、ROIは当初想定より高いよ」
「導入反対派だったけど、更新してもらえるよう業務側をフォローするから」

ああ、真剣にお客さんと向き合って本当に良かったな、と心の底から思うわけです。この感謝の言葉こそが、私たちエンタープライズセールスが目指すべき究極のゴールではないでしょうか。
そして、この成果は単なる「個人の頑張り」ではなく、「アカウントプラン」を戦略的に描き実行した結果として、自分自身にもきちんと返ってきたものだと確信しています。

2. アカウントプランって結局なんなの?

さて、その「アカウントプラン」について、会社から書いてと言われるけど、結局はなんなのか、多くの時間を割いてまで書くべきなのかと、疑問に思っている方も多いでしょう。
アカウントプランは、「お客様と末長くハッピーになるための航海図」です。
アカウントプランは、単なる目の前の商談をまとめた資料ではありません。それは、「お客様の未来の成長戦略と、我々のソリューションが交差するロードマップ」こそを指します。
ここで大事なのは、「主語」です。主語はお客様であるべきです。
例えば、「お客様が今後3年で新規事業を立ち上げ、市場でトップシェアを取りたい。だから、我々は、そのゴール達成のために、〇〇ソリューションと××コンサルティングを提供し、共に成長するんだ。」といったようなものです。

アカウントプランは、エンタープライズ営業として、お客様との関係を「点」ではなく「線」と「面」で捉え、戦略的にマネジメントするための最重要なものです。

3. アカウントプランの真の価値:「点」から「線」へ、そして「面」へ!

なぜ、この「航海図」が私たちエンタープライズセールスにとって不可欠なのでしょうか?
アカウントプランを描かない営業活動は、「地図のない航海」であり、非常に危険で非効率です。

❌ 地図のない航海=「点」の営業がもたらすリスク

1. 「点」のリスク:目の前の商談という「点」しか見ていないため、提案が単発で終わってしまい、単価が上がらない。
2. 「線」のリスク:特定の担当者という「点」との関係しか「線」として繋がっていないため、長期的なエンゲージメント(線)の継続性が脆い。
3. 「面」のリスク:お客様の組織全体(面)で信頼関係を築けていないため、キーパーソンが異動・交代した途端に、関係が一瞬でリセットされ、競合にひっくり返されてしまう。

✅ アカウントプランの価値=「線」と「面」で組織を動かす

アカウントプランは、これらのリスクを解消し、真のWin-Winをもたらします。

1. 「線」として捉える:目の前の商談という「点」から解放され、顧客とのエンゲージメントを長期的な「線」として捉え、未来からの逆算で戦略的な提案が可能になる。
2. 「面」で把握し、強固なリレーションを築く:顧客の組織図全体(財務、現場、IT、事業責任者など)の「面」を把握し、多角的な接点を持つことで、特定の個人に依存しない強靭な関係を築く。
3. 社内メンバーの意識統一(チーム力):アカウントプランという共通の「地図」があることで、関わる全ての社内メンバー(エンジニア、サポート、経営・マネジメントなど)が、「お客様のゴール」と「我々が今すべき行動」を瞬時に理解できます。最高のチーム力でお客様に貢献するために、この意識の「面」を合わせることが欠かせません。

✨ お客様観点で嬉しいこと:なぜ信頼するのか?

アカウントプランは、実はお客様自身にとっても非常に価値あるものです。私たちが明確な「航海図」を持つことで、お客様はメリットを享受できます。特に、各社のポジションや想いを把握いただけることにも価値があります。

• 1. 組織としての時間短縮:
お客様は、来るたびに同じ説明をする必要がなくなります。私たち側が常に最新の顧客情報と課題、過去の経緯を共有できているため、打ち合わせの度に「そもそも論」に戻ることがありません。
• 2. 一貫した提案と成果:
担当者が代わっても、私たちからの提案の方向性や品質がブレません。プランが会社の資産となっているため、常に一貫した戦略で、お客様のゴール達成をブレずにサポートできます。
• 3. 安心して私たちを巻き込める:
「この会社は、私たちのことを長期的に、組織全体で考えてくれている」という安心感が生まれます。これにより、お客様は重要な新規事業や社内の深い課題についても、私たちを安心して巻き込んでくれるようになるのです。

4. アカウントプランを構成する3つの要素

この最強の「航海図」を完成させるためには、以下の3つの要素が有機的に繋がっている必要があります。これらは、私たちが描くアカウントプランの土台です。

1. 顧客理解=お客様を深く理解する
• 社内課題、社外課題(投資家の声など)、組織、決裁権者、KPI/KGIなど、現状の徹底的な把握。
・この顧客理解が最重要です。特に足で稼いだ情報が大切です。
2. 課題定義と未来像
• 顧客の現状と、あるべき姿の間のギャップを明確に定義する。(営業を「提案屋」から「戦略家」に変えるステップです。)
3. 提案戦略と実行ロードマップ
• 課題解決に向けた自社のソリューションと、いつ、誰に、何を、どう提案するかの具体的な行動計画。

5. まとめと次回予告

アカウントプランは、あなたの営業活動を「地図のない不安な航海」から「成果と、お客様からの感謝が約束されたハッピーな航海」に変えるための羅針盤です。
次回の第2回では、『描き方』」にフォーカスします。ぜひ、次回の実践編もご期待ください!

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