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『千年かけても逢いたい人がいます』


姿を変え、形を変え、現れる。
何度も、何度も。
その人は一体、誰なのか。
私たちは一体何に、焦がれているのか。



映画『千年女優』をご存知だろうか。
2002年に日本で公開された、今敏監督によるアニメーション映画である。

キャッチコピーは「その愛は狂気にも似ている」。

第5回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞受賞、その他にも数々の賞を受賞し国内外で高い評価を得ている。スティーヴン・スピルバーグ率いるドリームワークスによって、全世界に配給された。

2024年、国内最大級の映画・ドラマ・アニメのレビューサービス Filmarks主催のリバイバル上映プロジェクトにて、2週間限定で再上映された。



物語は、かつて一世を風靡した伝説の女優・藤原千代子が、引退後に初めてドキュメンタリー取材を受けるところから始まる。インタビュアーの前で語られる彼女の半生は、彼女が「ある一人の男」を追い続けた想いと重なり、彼女が演じてきた数々の映画のシーンと実人生が融合しながら、時代を超えて展開して行く。

千代子の記憶と想像、現実と虚構が入り混じる独特な構成で進行し、観る者を夢と現実の狭間へと引き込む。戦争、時代劇、SF、恋愛ドラマなど、映画のジャンルを横断しながら、千代子の人生が「女優」として、また「一人の女性」として描かれて行く。

記憶と夢、現実と虚構、愛と執念。『千年女優』は、ただ一人の想い人を追い求める彼女の情熱と純粋さ、そして「演じること」に生きた人生の深さを、美しい映像と音楽で描き出した傑作である。


私はこの作品が、狂おしいほどに好きだった。
この作品を初めて観た当時、あまりの衝撃に私はただひたすらに圧倒され、熱狂した。何度も観た、と言いたいところではあるが、実際に観た回数は2、3回ほどだったかも知れない。観ることに、何か”覚悟”が要るような、私の中ではそんな作品であった。

エンドロールで流れるエンディングテーマ、「ロタティオン [LOTUS-2]」の幻想的で叙事的な響きが、余韻を深め、観る者と主人公・千代子の時空を超えた終わらない旅を加速させる。


私はこの作品の中に、何を見たのか。
この作品の一体何に、狂おしいほどの想いを感じたのか。
私がこの作品を観た時に感じた、”この感覚を知っている”ことの正体を、私の半生と共に、紐解いて行きたい。
私が人生の中に見たものは、何だったのか。
そこには甘美な恋の話に留まらない、そのもっと奥、根底に流れるものの姿が、垣間見えてきた。



私がこれから書くことは、現実なのか、虚構なのか。
本当の記憶なのか、想像なのか。
私がこれを書き残したいと思うのは、
自らの意思なのか、それとも何かに”書かされて”いるのか。

あなたの目で、確かめていただけたら幸いである。








その人は名を「茜」といった。
本名はのちに知ることになる。

歳は私よりも3つほど若く、知り合った当時は大学生だった。
彼は絵を描いていた。私たちを繋いだものは、”絵を描く”ことだった。


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