【エッセイ】AIの進化と人間の退化

AIが進化をし続けていくうちに、退化する人間がかなりの割合ででてくる。この事実は皮肉なものだ。正確に言うと、スマホ×SNS×AIみたいな複合的な要素で退化し続ける人間が増えていくと私は予想している。

スマホが出た当初は、SNSは今ほど当たり前ではなかった。初期のiPhoneなどのスマホを握りしめたユーザーがすることは、Google検索などのインターネットサーフィンが主流だった。この時はまだ、ネット上に転がっている記事を「読む」のがメインの体験だったと思う。

時代は進み、次第にインスタやTikTokなどのショート動画が流行り、短時間で高濃度の栄養をユーザーは摂取するようになった。人間のレベルという目線での転換点はこの辺りだと私は思う。

短い時間で満足感を得る経験をし続けると、何かにじっくり向き合うという胆力、そしてゆっくりと読み込むという読解力が欠け始めていく。この胆力と読解力という人間にとって大事な要素は、角砂糖を舐めるような経験を続けていると、次第に薄れ、元に戻すのに非常にたくさんの時間を要する。

芸能人やインフルエンサーのしょうもない発言を自己解釈し、勘違い発言をして、それがきっかけで大炎上を起こす。かわいそうなものだ。ちゃんと読めば意図が明確に掴める発言もあるだろうし、その人がその発言をした背景などを考える胆力があれば、現代においてここまで炎上騒ぎは多くならなかったと思う。そもそも、勘違いをされて、その勘違いが発端で炎上をしたとして、真意を説明しても理解されないのが一番かわいそうだ。それくらい、人間の我慢強く、冷静に話を聞くという行為、つまるところ胆力や読解力の能力は極端に落ちている。

さらに時代は進み、GPTなどの生成AIが普及してきた。これは人間界においては最高のニュースであり、最低のニュースである。というか、人間を極端に2極化させていくだろう。

最低のニュースという側面に触れよう。まず、政治家の発言や芸能人の発言にいちいち反応して感情的になっている人間の層。この人たちは間違いなく、AIの登場は最悪だったと後々気づくだろう。

スマホとSNSという2つの悪党により、人間を人間たらしめている能力が極端に落ちた状態になっている。そこに、聞けば音速で回答をくれる生成AIが登場した。何が起こるかというと、何も自分で考える必要性がなくなり、全てをAIに頼るようになる。そして、問題が起きても自力で解決方法に辿り着けなくなり、事故物件級の寒い冬を一生過ごすことになるかもしれない。大体、そういう人たちは他責に考えるから、周りの人の印象も良くないしね。

AIの悪いところは、こういう人たちに対しても、「肯定」をし続けることだ。思い浮かべてほしい。全て自分が正しいと思っている化け物級の人間が生まれるのはなぜだろうか。私は、その人たちを否定というか、正しく批評する人間が周りにいないからだと思う。皮肉なことに、いたとしても話を聞かず、肯定してくれるAIを話し相手に選ぶ。スマホやSNSに奪われてきた客観的に物事を見る能力は枯渇しており、ただ肯定されることを心地良く思う。そうやって化け物は生まれ続ける。

長くなったが、私は別に社会批評をしているわけではない。こういうことを毎日考え、創作のネタにしようと躍起になっている。皮肉なことだが、社会問題や人間が退化していく様子などは、話を作る上で非常に参考になる。創作のメモ書きとして、これを残しておく。たぶん人間は、退化していく過程を娯楽として楽しむしかないのだろう。

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