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2025年確定申告:株式投資における総合課税と申告分離課税の選択

AIを活用して、具体的なケースでどちらを選択するのが良いか、検討してみました。
所得税控除は、毎年のように改正があるので、e-Tax作成システムなどで試算して、確定申告資料を作成することをお勧めします。


まず、給与収入から各種控除と税率等の基礎情報を整理してみます。
また、所得により社会保険料も変わりますので、どのように影響するのか社会保険料も整理します。

所得税=(給与収入−給与所得控除−各種の所得控除)✖️所得税率−控除額



所得税率

以下の表に示すように、所得税は累進課税です。

所得税率と控除額

給与所得控除

給与所得者の「必要経費」に相当する控除です。
給与収入に応じて自動的に計算されます。
なお、2025年に給与所得控除は改正されています

給与所得控除


改正給与所得控除

主な所得控除

人的・生活事情を考慮して、給与所得から、個人の事情に応じて差し引かれる控除です。
なお、2025年に基礎控除、特定親族特別控除は改正されています。

主な所得控除(2024年時点)


改定後の基礎控除額

以下のとおり所得税の基礎控除の見直し等が行われました。
この改正は、原則として、令和7年分以後の所得税について適用されます。

改正基礎控除

特定親族特別控除の創設

特定親族とは、居住者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族(配偶者、青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます。)で合計所得金額が58万円超123万円以下(注)の人をいいます。なお、親族には児童福祉法の規定により養育を委託された、いわゆる里子を含みます。

特定親族特別控除


扶養親族の所得要件改正

基礎控除の改正に伴い、次の表のとおり、扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件(注1)が改正されました。
また、上記(2)イの給与所得控除の改正に伴い、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額が65万円(改正前:55万円)に引き上げられました。

所得要件改正
親族の範囲


医療費控除

1. 医療費控除とは

1年間(1/1〜12/31)に支払った医療費が一定額を超えた場合、
所得税・住民税が軽減される制度です。
※会社員でも確定申告が必要です。

2. 控除額の計算方法(基本)

医療費控除額は次の式で計算します。
(実際に支払った医療費・交通費)−保険等で補填−自己負担限度額

自己負担限度額

  • 所得が 200万円以上10万円

  • 所得が 200万円未満所得の5%

👉 控除の上限は 200万円


3. 対象になる医療費(主なもの)

医療費控除の対象

  • 医師・歯科医師の診療費、治療費

  • 病院・クリニックへの通院費(公共交通機関)

  • 入院費(食事代含む)

  • 処方薬代

  • 治療目的の歯科治療

  • 出産費用(分娩費・入院費)

  • 介護保険サービスの自己負担分(一定条件あり)

  • あん摩マッサージ・鍼灸(治療目的)

本人だけでなく、生計を一にする家族分も合算OK


4. 対象にならないもの(注意)

  • 健康診断・人間ドック(※治療につながらない場合)

  • 美容整形

  • サプリメント

  • 自家用車のガソリン代・駐車場代

  • 予防接種(原則)


5. 保険金等で補填されるもの

以下は医療費から差し引きます。

  • 健康保険の高額療養費

  • 民間医療保険の入院給付金

  • 出産育児一時金 など




社会保険料の全体像

日本の社会保険は大きく 5種類 あります。

社会保険

・医療健康:保険病気・ケガ・出産
・介護保険:40歳以上の介護
・厚生年金保険:老後・障害・遺族
・雇用保険:失業・育児休業
・労災保険:業務中・通勤中の事故

※ 一般に「社会保険料」と言うと、健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険を指します(労災保険は全額会社負担)


計算の基本ルール(会社員)

  • 標準報酬月額 × 保険料率

  • 健康保険・厚生年金・介護保険は 会社と折半

  • 雇用保険は 本人負担と会社負担が異なる

各社会保険料の算出方法

① 健康保険料
標準報酬月額 ✖️健康保険料率 ➗2

  • 保険料率:協会けんぽは都道府県ごとに異なる

    • 例)東京都(2025年頃):約 10.0%

② 介護保険料(40歳以上)
標準報酬月額 × 介護保険料率 ÷ 2

  • 全国一律

  • 2025年頃:1.82%


③ 厚生年金保険料
標準報酬月額 × 18.3% ÷ 2


・全国一律
・上限:標準報酬月額 65万円

④ 雇用保険料

実際の給与✖️雇用保険料


  • 2025年頃(一般事業)

    • 本人負担:0.6%

    • 会社負担:0.95%


⑤ 労災保険料

  • 全額会社負担

  • 本人の給与天引きなし


社会保険料の合計イメージ(会社員)

標準報酬月額50万円・40歳以上・東京都の場合(概算)

本人負担健康保険約25,000円
介護保険約4,550円
厚生年金約45,750円
雇用保険約3,000円
合計約78,000円/月




申告分離課税(原則・多数派)

税率固定:20.315%

  • 所得税 15%

  • 住民税 5%

  • 復興特別所得税 0.315%

特徴

  • 他の所得と合算しない

  • 税率が一定で分かりやすい

  • 株の利益と損失を通算可能

  • 損失の3年間繰越控除が可能

👉 中~高所得者はほぼこれ一択


総合課税(選択制)

給与・年金などと合算

  • 所得税:5〜45%の累進課税

  • 住民税:10%

メリット

  • 配当控除が使える
    → 上場株式なら 配当金の10%(所得税)+2.8%(住民税)

デメリット

  • 所得が増えると税率が急上昇

  • 国民健康保険料・介護保険料が上がる

  • 株の損失を他の所得と相殺できない


配当金がある人の分岐点(超重要)

▶ 給与所得が少ない人(目安:課税所得330万円以下)

  • 所得税率:10%以下

  • 配当控除:10%

👉 総合課税にすると所得税がほぼゼロ
👉 住民税も軽減されるケースあり

📌 **年金生活者・主婦(扶養外れない範囲)**は特に有利


給与所得が多い人(課税所得695万円超)

  • 所得税率:23%以上

  • 配当控除を使っても税率が高い

👉 申告分離課税(20.315%)が確実に有利



 売却益がある場合の考え方

内容選択株の売却益申告分離課税のみ配当金総合課税 or 申告分離課税

※ 売却益は総合課税にできません


実務でのおすすめ判断フロー

  1. 自分の課税所得を確認

  2. 配当控除を使った場合の実効税率を計算

  3. 20.315%と比較

  4. 住民税・国保への影響を確認

  5. 有利な方を確定申告で選択

👉 配当は銘柄ごと・年ごとに選択可能


 NISAとの関係

  • NISA口座
     → そもそも課税されない

  • 特定口座(源泉徴収あり)
     → 申告しなければ申告分離課税で完結

👉 NISAを使い切った後の話が、総合課税/分離課税の選択


モデルケースの試算

給与収入700万円、配当150万円、売却益損失なし条件を整理します。

  • 給与収入:700万円

  • 配当金:150万円

  • 株の売却益・損失:なし

このケースは結論がはっきり出ます。


結論:配当は「申告分離課税」が有利

① あなたの税率ゾーンの確認

給与収入700万円の場合(独身・一般的な控除想定)

  • 給与所得控除後の給与所得:およそ 510万円前後

  • 課税所得:概ね 450〜480万円

👉 所得税率:20%
👉 住民税:10%


② 配当を「総合課税」にした場合

▶ 税率

  • 所得税:20%

  • 住民税:10%

  • 合計:30%

▶ 配当控除

  • 所得税:▲10%

  • 住民税:▲2.8%

  • 控除後の実効税率:約17.2%

▶ 税額

  • 150万円 × 17.2% ≒ 25.8万円

📌 ただし重要な副作用あり

  • 課税所得が600万円超に押し上がる

  • 住民税・国民健康保険料・介護保険料が上昇

  • 所得税の限界税率が将来23%ゾーンに近づく


③ 配当を「申告分離課税」にした場合

▶ 税率(固定)

  • 20.315%

▶ 税額

  • 150万円 × 20.315% ≒ 30.5万円


④ 数字だけ見ると?

課税方式配当の税額総合課税約25.8万円申告分離課税約30.5万円

👉 差額:約4.7万円(総合課税が安い)


それでも「申告分離課税」をすすめる理由

このケースでは、税額差よりデメリットが大きいのがポイントです。

❌ 総合課税の隠れコスト

  • 住民税増加

  • 国保・介護保険料が数万円単位で上がる可能性

  • 所得制限(配偶者控除・各種給付)の判定に影響

  • 将来、所得税23%ゾーンに入りやすくなる

👉 これらを含めると
実質的な負担は申告分離課税の方が軽くなるケースが多い


例外的に「総合課税」を検討してよいケース

  • 国民健康保険ではない(会社員のまま)

  • 住民税・保険料増加を許容できる

  • 単年度だけ税額を最小化したい

この場合のみ
👉 **「今年だけ総合課税」**という選択肢はあり


前提条件変更(医療費控除)

  • 給与収入:700万円

  • 配当金:150万円

  • 売却益・損失:なし

  • 配偶者あり

  • 健康保険:会社員(社保)

  • 医療費控除:100万円


結論(ここが重要)

👉 配当は「総合課税」が有利
👉 しかも今回は 安心して総合課税を選んでOK


なぜ結論が変わったのか(ポイント3つ)

① 医療費控除100万円が非常に強力

医療費控除は 総合課税の課税所得を直接圧縮します。

  • 控除前の課税所得:およそ 460〜480万円

  • 医療費控除:▲100万円

  • 課税所得:360〜380万円程度

👉 所得税率は20%ゾーンのまま
👉 23%ゾーンに押し上がらない


② 配当控除がフルに効く

上場株式の配当(想定)

  • 所得税控除:10%

  • 住民税控除:2.8%

  • 合計:12.8%


③ 会社員なので「国保・介護保険」の心配なし

  • 社会保険料は 給与ベース

  • 配当を総合課税にしても 保険料は増えない

👉 これが自営業・国保と決定的に違う点


税額を比較(概算)

🔹 配当を申告分離課税にした場合

  • 税率:20.315%

  • 税額:
    150万円 × 20.315% ≒ 30.5万円


🔹 配当を総合課税にした場合

  • 所得税率:20%

  • 住民税:10%

  • 配当控除:▲12.8%

👉 実効税率:約17.2%

  • 税額:
    150万円 × 17.2% ≒ 25.8万円


▶ 差額

約4.7万円 → 総合課税が有利

しかも今回は

  • 社保なので副作用なし

  • 医療費控除で税率上昇も抑制

👉 ほぼ純粋に得


配偶者控除への影響

  • 配偶者の所得が一定以下なら
    👉 配偶者控除・配偶者特別控除は維持

  • 配当はあなたの所得なので影響なし


注意点

  • 住民税の配当控除(2.8%)を確実に受けるため
    👉 住民税も「総合課税」に統一


最終まとめ(このケース)

会社員+高額医療費控除がある年は
👉 総合課税がベストな選択

これは「教科書的に最適」なケースです。