【現物給与評価#01】都道府県単価とは何ですか?勝手に決められますか?
― 借上社宅で使われる「都道府県単価」の考え方をやさしく整理 ―
※本記事は現物給与評価Q&Aシリーズの一部です。
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【ご留意事項】
本記事は、借上社宅制度に関する一般的な情報提供および制度理解を目的として作成しています。記載内容は、一般的な制度上の考え方や実務上の整理を説明するものであり、特定の状況に対する税務・法務・労務上の判断、助言または保証を行うものではありません。
実際の運用にあたっては、会社ごとの制度設計・契約内容・運用実態等によって取扱いが異なる場合があります。個別案件については、必ず税理士、社会保険労務士、弁護士、または管轄の行政機関等へご確認・ご相談ください。
また、制度改正や行政解釈等により、将来的に取扱いが変更される可能性があります。最新情報については、国税庁・厚生労働省等の公表情報をご確認ください。
内容の正確性には十分配慮しておりますが、本記事に基づいて生じたいかなる損害等についても責任を負いかねます。
■ はじめに
なぜ今、「現物給与評価Q&Aシリーズ」を始めたのか
2026年10月から、社会保険における住宅の現物給与評価方法が見直されます。
今回の改正では、住宅現物給与価額の算定方法が変更されるため、
借上社宅制度を運用している会社では、評価額や社会保険料への影響を
確認する必要がある場合があります。
一方で、改正内容を調べていると、
「そもそも現物給与とは何か」
「住宅はなぜ現物給与になるのか」
「住宅現物給与価額とは何か」
「都道府県単価とは何か」
といった
制度の基本部分で疑問を持つ方も少なくありません。
制度の仕組みが理解できていないまま改正だけを追っても、内容を正しく
理解することは難しい場合があります。
そこで、このシリーズでは、
現物給与評価の基本から実務上の考え方までを、Q&A形式で一つずつ整理
していきます。
改正対応だけでなく、
その後の実務にも役立つ知識として活用いただければ幸いです。
Q1. 都道府県単価とは何ですか?
都道府県単価とは、
社会保険における住宅の現物給与で使用される「計算要素(基準の一つ)」です。
借上社宅では、会社が従業員へ住宅を提供している場合、
一定の条件では、その住宅による経済的利益を「現物給与」として評価することがあります。
その際に使用される計算要素の一つが都道府県単価です。
これは、
実際に支払っている家賃や会社が独自に決めた金額ではなく、社会保険上の評価を行うために用いられる公的な基準(計算要素の一つ)です。
そのため、次のような点を押さえておくことが重要です。
・実際の家賃そのものではない
・会社が自由に設定・変更できる金額ではない
・社会保険上の現物給与を評価するための計算要素として用いられる
つまり、都道府県単価は「家賃を決めるための金額」ではなく、「社会保険上の評価を行うための計算要素」と考えるとイメージしやすいでしょう。

[参考]そもそも借上社宅制度を理解したい方はこちら
▶【Q&A:借上社宅制度(借り上げ社宅制度)とは何ですか?】
― なぜ会社は社員の家を借りるのか?制度の目的と仕組みをやさしく解説 ―
[参考]借上社宅制度とは?企業の福利厚生・採用戦略として
注目される理由はこちら
▶【第1回:手取りが増える可能性と所得税法の仕組みを解説】
[参考]制度全体の仕組みや、借上社宅が福利厚生として活用される理由を 体系的に学びたい方は、こちらも参考になります。
▶【借上社宅制度の教科書(初級編)】
👥 制度の全体像を順番に理解したい方へ
Q2. 都道府県単価は会社が決めるのですか?
いいえ。
都道府県単価は、会社が自由に決められるものではありません。
都道府県単価は、
社会保険における住宅の現物給与評価で使用される公的な基準(計算要素)であり、国が定める考え方に基づいて公表されます。
そのため、各企業が独自に金額を設定したり、任意に変更したりすることはできません。
例えば、
・「今年は単価を低くして評価しよう」
・「自社独自の単価を採用しよう」
・「地域に関係なく全国一律の単価を使おう」
といった運用は認められていません。
会社は、
公表されている都道府県単価を前提として、社会保険上の現物給与を評価
することになります。
一方で、
借上社宅制度そのものの設計については、会社が決める事項もあります。
例えば、
・借上社宅制度を導入するかどうか
・利用対象者をどのように定めるか
・従業員負担額をどのように設定するか
といった
制度設計は会社が検討・決定します。
つまり、
「制度の設計」は会社が決めますが、「都道府県単価」は公表された
基準(計算要素)に従って用いるという点が重要です。
[参考]制度設計で会社が決められる事項について詳しく知りたい方は、
こちらをご覧ください。
▶【Q&A:社宅の家賃は何%負担(社宅使用料)なら妥当ですか?】
― 会社が決める「社宅使用料」の考え方を整理
Q3. 都道府県ごとに違うのはなぜですか?
地域によって住宅事情や住居費の水準に違いがあるためです。
日本全国を見ると、住宅事情は地域によって大きく異なります。
例えば、
都市部では住居費が比較的高い傾向がある一方で、地方ではそれより
低い水準となる地域もあります。
そのため、
全国で一律の基準を用いるのではなく、地域ごとの実情を一定程度考慮
できるよう、都道府県ごとに単価が設定されています。
このような仕組みにすることで、住宅の現物給与評価を行う際にも、
地域差を踏まえた評価ができるようになっています。
ただし、
都道府県単価は実際の家賃相場や個々の物件の家賃をそのまま表している
ものではありません。
あくまで、
社会保険上の現物給与を評価するための基準として用いられる単価
(計算要素)である点を押さえておくことが重要です。
Q4. 借上社宅の家賃も都道府県単価で決まるのですか?
いいえ。
借上社宅の実際の家賃と、都道府県単価は別の考え方です。
借上社宅では、似たような「金額」がいくつか登場するため、
混同しやすいポイントの一つです。
例えば、次の3つは、それぞれ役割が異なります。
・大家へ支払う実際の家賃
→会社が賃貸借契約に基づいて貸主へ支払う家賃です。
・従業員が負担する社宅使用料
→借上社宅を利用する従業員が会社へ支払う負担額です。
・社会保険上の現物給与評価
→住宅という福利厚生を、社会保険上どのように評価するかを判断する
ためのものです。
このうち、
都道府県単価は住宅現物給与価額を算定する際に使用される計算要素の一つであり、実際の家賃や社宅使用料を決めるものではありません。
つまり、大家へ支払う家賃が都道府県単価で決まるわけでもなく、
従業員負担額が都道府県単価と同じ金額になるわけでもありません。
それぞれ目的や考え方が異なるため、
「契約上の家賃」と「社会保険上の評価基準」は分けて考えることが重要
です。
Q5. 2026年10月改正と関係がありますか?
はい。
都道府県単価は、2026年10月に予定されている社会保険の現物給与評価方法の見直しと関係があります。
2026年10月からは、
住宅に関する社会保険上の現物給与評価方法が見直される予定です。
この見直しでは、
都道府県単価の考え方も変更されるため、住宅の現物給与評価額が
これまでとは変わる可能性があります。
その結果、企業によっては次のような項目に影響が生じるケースも
考えられます。
・従業員が負担する社宅使用料の見直し
・社会保険上の現物給与額の変動
・社会保険料への影響
・借上社宅制度全体の運用や制度設計の見直し
ただし、すべての企業で同じ影響が生じるわけではありません。
実際に影響があるかどうかは、
・借上社宅制度の内容
・従業員負担額の設定方法
・利用している住宅の状況
などによって異なります。
そのため、借上社宅制度を運用している企業では、
改正内容を確認したうえで、自社制度への影響を整理しておくことが重要
と考えられます。
[参考]2026年10月改正で企業実務にどのような影響があるのかは、
こちらで詳しく解説しています。
▶【2026年10月改正・実務担当者編】
👥 現物給与評価改正で実務担当者が困るポイントを把握したい方
■ ポイント
都道府県単価は、会社が自由に決める家賃の基準ではありません。
社会保険上の住宅の現物給与を評価するために用いられる公的な基準の
一つであり、企業は公表される基準を前提として制度を運用します。
また、
実際に大家へ支払う家賃や、従業員が負担する社宅使用料とは目的が異なるため、それぞれを混同しないことも重要です。
2026年10月には、住宅の現物給与評価方法の見直しが予定されており、
都道府県単価の考え方にも変更が予定されています。
そのため、借上社宅制度を運用している企業では、
改正内容を確認するとともに、自社制度への影響があるかをあらかじめ
整理しておくことが望ましいでしょう。
📌 補足
なお、
都道府県単価だけで住宅の現物給与価額が算定されるわけではありません。
実際には、都道府県単価は住宅現物給与価額を算定する際に用いられる
計算要素の一つです。
住宅現物給与価額や標準価格との関係、実際の評価の流れについては、現物給与評価Q&Aシリーズで順番に解説していきます。
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借上社宅制度の実務で迷いやすい疑問を、テーマ別に整理しています。
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■ このテーマで判断に迷った方へ
借上社宅制度は、税務・社会保険・規程設計が複雑に関係するため、
個別事情によって最適な対応が異なります。
本記事は一般的な考え方を整理したものですが、
実務では会社ごとの状況に応じた判断が必要になるケースも
少なくありません。
現在は情報発信を中心としていますが、
今後は制度運用に関する実務上のコミュニケーションの場も
広げていければと考えています。
なお、記事テーマに関するご質問やご感想があれば、
コメント等でお寄せいただけますと、
今後の発信の参考にさせていただきます。
著者
Yoshihiko Tagawa|借上社宅制度の研究家
借上社宅制度について、制度運用や社宅管理の観点から
情報整理・発信を行っています。
毎月3000戸超の社宅運営に携わる中で、
借上社宅制度の運用面・管理面に関する情報整理を行ってきました。
本noteでは、借上社宅制度に関する一般的な仕組みや運用上の考え方を
情報整理を目的としてまとめています。
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