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【AI千本ノック法律相談 #069 】 移りゆく スキルの価値と 春の風

AIから人間の弁護士(私吉川淳)に毎日法律相談してもらうことにしてみた

【AI千本ノック法律相談 #069 】 移りゆく スキルの価値と 春の風

弁護士吉川淳:
今日は、ジョブ型雇用への移行期に生じやすい配転命令のご相談です。
近年、AIの進展に伴い、従来の事務部門を縮小し、他の部署(例えばIT部門やカスタマーサクセス部門)へ人員を再配置しようとする動きが加速しています。しかし、中途採用時に「専門職」として職種を限定して募集・雇用した労働者に対し、会社がどこまで一方的な配転命令(職種変更)を行えるかは極めて繊細な問題です。特に、本人の同意がない場合、命令の有効性が争われると、業務上の必要性と労働者の不利益のバランスが問われる厳しい戦いになります。
Today’s consultation focuses on personnel transfer orders and job-specific employment agreements, a common issue during the transition to job-based employment. With the advancement of DX, companies are increasingly moving staff from shrinking administrative departments to growing IT or customer success roles. However, the extent to which an employer can unilaterally order a change in job function for a mid-career hire with a "job-specific" contract is a delicate legal issue. If the employee does not consent, the validity of the order will be strictly scrutinized based on the balance between business necessity and the employee’s disadvantage.


1 AI(Gemini)による相談

吉川先生、株式会社デジタル・メトリクス(仮名、従業員数120名、データ分析支援・マーケティングツール開発会社)の人事担当、佐藤(仮名)です。
当社では、5年前に「経理財務経験者」として中途採用した高橋さん(仮名、42歳)の処遇について悩んでいます。現在、AIツールの導入に伴い当社ではバックオフィスの徹底した自動化を進めており、経理部門の業務量が激減しました。一方で、クライアントへのツール導入支援を行う「カスタマーサクセス部門」の人員が慢性的に不足しています。
そこで会社は、高橋さんに対し、カスタマーサクセス部門へ異動するよう内示を出しました。しかし、高橋さんは「求人票に経理と書いてありましたし、私は経理のプロとして採用された。契約書に限定文言がなくても職種限定の合意があるはずだ。未経験の営業的な業務への異動は契約違反であり、拒否する」と強く反発しています。
会社としては、①採用時の雇用契約書に明確な職種限定の文言がない場合でも、実態として「経理のみ」を行ってきたことで職種限定合意が成立してしまうのか、②業務効率化・生産性向上という経営上の理由があれば、本人の同意なく職種変更を強行できるのか、③もし拒否し続けた場合に、懲戒解雇や普通解雇を検討することは可能なのか、アドバイスをいただきたいです。

My name is Kenichi Sato (pseud.), and I am in charge of HR at Digital Metrics Co., Ltd. We are facing a challenge with Mr. Takahashi (pseud.), who was hired five years ago as a "Finance & Accounting Expert." Due to office automation, our accounting workload has decreased, while our Customer Success department is understaffed. We issued an internal notice for him to transfer, but he refused, claiming his contract is job-specific. We would like to know: (1) whether a job-specific agreement can be implied through years of consistent practice even without an explicit clause, (2) whether we can enforce a transfer based on business necessity, and (3) if continued refusal can justify dismissal.


2 AI(Gemini)による時系列整理

2021年 高橋さん入社「経理・財務担当」として中途採用。年俸制を適用。2024年~ 社内DXの推進・AIツールの導入により、手作業の経理業務が約7割削減される。
2026年3月 高橋さんへ異動の内示。給与維持を条件として、経理からカスタマーサクセス部門への配置転換を提示。
2026年4月 高橋さんの拒絶。「職種限定」を理由に異動命令への不服を申し立て。
現在 協議継続中。会社は命令かあるいは退職勧奨も含めた検討を開始。


3 人間の弁護士吉川淳の回答

① 人事担当の佐藤さん「明確な契約書がなくても、職種限定合意とみなされることはあるのでしょうか」

人間の弁護士吉川淳:
「あり得ます。契約書に『職種を限定する』と明記されていなくても、中途採用(求人票の必須条件欄に経理経験者と明記)で特定の高度なスキルを前提に高額な給与で雇用された場合や、長年その職種のみに従事してきた実態がある場合、裁判所は『黙示の職種限定合意』を認める可能性があります。特に今回の高橋さんのように経理経験者の募集に応募し経理部配属で採用され、約5年間一貫して経理に従事してきたケースでは、会社が一方的に職種を変更する権利は制限されている可能性が高いと考えるべきでしょう。」

② 人事担当の佐藤さん「経営上の必要性があれば、本人の同意なしで強行できるのでしょうか」

人間の弁護士吉川淳:
「黙示の職種限定合意があると判断される場合、原則として本人の同意がない配置転換は無効になります。たとえ「AI導入により業務を効率化・生産性を向上」、「経理部門の業務が減った」という経営上・業務上の必要性があったとしても、それが直ちに職種限定合意を打ち破る根拠にはなりません。無理に強行すれば、異動命令無効の訴えを起こされるだけでなく、命令に応じないことを理由とした処分もすべて無効になるリスクがあります。まずは、現在の職務を継続させることがなぜ困難なのかを高橋さんに丁寧に説明し、新職務でのキャリアパスを提示して同意を得る努力が不可欠です。」

③ 人事担当の佐藤さん「拒否し続けた場合の解雇は、法的に認められますか」

人間の弁護士吉川淳:
「懲戒解雇は極めて困難です。異動命令自体が無効であれば、それに従わないことを理由とした懲戒解雇は認められません。
また、懲戒ではなく業務減少・人員余剰・経理ミス等を理由とする普通解雇(または整理解雇)を検討するにしても、解雇を回避するために他の職種への転換を打診し、教育指導等の努力を尽くしたかどうかが厳しく問われ普通解雇は無効になりやすいです。今回の場合も、解雇回避努力を尽くしたものの高橋さんが『経理以外の仕事は絶対にしない』と頑なに拒否し、かつAI導入後に社内に他に提供できる経理業務が存在しないという状況を積み重ねて初めて解雇の有効性が認められる可能性がありますが、お互いに非常にしんどい道のりです。
感情的な対立を避け、話し合いにより条件面(給与維持・キャリアパスなど)を含めた着地点を探るべきでしょう。」

吉川弁護士:今日の相談の関連で、配置転換チェックリストを作ってみましょう。
・・AIツールで配置転換チェックリストを作ってみよう編に続く・・

お読みいただき、ありがとうございました。
ほぼ毎日続けるつもりです。1000回目が終わるまでお読みいただけますと幸いです。
※本記事の内容は執筆時点の情報です。

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弁護士 吉川淳

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