華のないふたり|ショートショート #アマノ文筆クラブ
あるSNSで妙な噂をキャッチした咲耶は、親友の翔子にLINEでメッセージを送った。
「ねえねえ、面白い噂があるよ!」
「どんな?」
「夜中の二時に男の幽霊が花占いをやっていて、花びらが最後の一枚の時に必ず「嫌い」になり、そこまで見届けるとあの世へ連れ去られるらしい」
「怖っ」
「しかも場所が、ワタシ達の中学校!」
「一中!?そんな噂あったっけ」
「わからんけど、とにかく行ってみない?イケメンらしいから」
「イケメン」という言葉に心が躍った二人は早速夜中の二時に「一中」こと第一中学校の体育館裏に出るという幽霊を見に行った。
「スキ、キライ、スキ、キライ…」
物陰から覗いてみると、本当に男の幽霊らしき姿がバラの花で花占いをやっていた。噂どおりの「イケメン」だ。
「お嬢さまの傍であれこれ指南するイケメン執事っぽいね」
「ああ、あの方なら天国に連れて行ってもらってもいい!」
イケメン幽霊に心を奪われた二人は、それから毎晩行っては花びらがなくなる直前まで見届けていたのだが、幽霊だから大丈夫だとばかりにいつしか幽霊の目の前で堂々と観ていた。
数日経った晩のこと。
いつもどおり観ていたのだが、あまりのイケメンぶりに見惚れてしまい、
「キライ…」
うっかり花びらが全てなくなるまで見届けてしまった。
「ああ‼」
二人は同時に大声を上げてアワアワしていると、イケメン幽霊は胸のポケットからサッと新たなバラを取り出し、
「スキ、キライ、スキ、キライ…」
花占いを始めたではないか。
最初は呆然としていた二人だったが、二本目の花びらが終わっても何も起きず、さらに三本目を取り出して花占いを始めた。
二人はこれ幸いとその後ずっと見惚れていたのだが、十本目が終わったところでイケメン幽霊がこちらを見つめて話しかけてきた。
「あの~」
「しゃ、しゃべった!」
「いや~!貴方様となら天国でも地獄でもどこでも参ります!さあ、遠慮なくワタシ達を連れてって!」
「いや、ちょっと聞いてくれるかな」
イケメン幽霊は申し訳なさそうな顔をしながら、言葉を続けた。
「私が連れ去るのは「華のある人」であって、「華のないふたり」は連れ去り対象外ですから安心してください」
「よし!」
仕事の昼休み中に暇つぶしに頭の中で思い浮かんだ物語を、スマホでササっと書いて、そして投稿ボタンをタップした。
「そろそろ仕事に戻らないと」
今日も華のないワタシが華のない物語を綴り、華のない仕事に戻っていった。

(1,000文字)
■今回のショートショートは以下のマガジンに収めています😌
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この作品は、甘野充さん企画参加作品です。
今回のタイトルは、【華のないふたり】でした🎵
「オチのついた物語を書くなら落語を知ることが一番」とある方から言われて、落語本を読んでいる最中です📖
今回の話は「皿屋敷」という噺から連想した物語でした。
古典落語は侮れませんね。オチの付け方が秀逸でとても勉強になります。
落語は以前から興味があり、寄席にも過去に数回行ったことがありますが、創作者としてご無沙汰にしていた落語に一から触れていこうと思います🙂
今日のサムネはいつもお世話になっているひいろさんからお借りしました😌
そんなひいろさんが11月よりメンバーシップを始めました✨️
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11/3(月)までですので引き続きご応募お待ちしています😌
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