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夏オンナの書き入れ時|ショートショート #シロクマ文芸部

夏休みと世間では言うけれど、ワタシにとって夏休みは夏休みではない。
なぜなら、一年を通じて「一番の繁忙期」だからだ。

「みかんちゃん、今回はどんな写真用意したの~?」
「これ、どうかな~?」
「えっ、これどこで撮ったの!?メチャクチャ映えてるね!!」
「フフン」

親友の安室がプロフィール写真をまじまじと見ている。
海沿いの小さな町を背にして、ワタシが振り返っている写真の反応は上々のようだ。これなら今年もイケる。

那津なつみかん』。
これがワタシのフルネーム。

生まれた日が八月八日、朝の八時八分。
母が大の夏みかん好きで、毎年この時期になると狂ったように何個も貪っている。その表情はあたかも餓鬼のように醜いものだ。そんな狂気の夏みかん好きが高じて、ワタシの名前が決まった。

夏みかんに関してはこんなエピソードがある。

まだ幼稚園に通っていた時のこと。「お前んち、夏みかんばっかり食ってんだろ~そのうち全員みかん色になるんだろうな~」と近所のアホな男の子にからかわれたときに、あまりに腹が立ったので、その男の子を捕まえて馬乗りになるなり、持っていた夏みかんを口の中に突っ込んだ。泣き叫ぶ男の子にさらに両目に夏みかんの汁を垂らしてとどめを刺してやった。


成長していくにつれて、夏の季節を強く意識するようになり、いつの日からか、「夏休みはワタシの季節」と言わんばかりに、世間では連日の猛暑でげんなりしている中、ワタシのテンションはうなぎ登りだ。

夏に関すること全てインスタやXで毎日投稿するのはもちろんのこと、noteでは『人生を無駄にしない充実した夏休みの過ごし方』なんていう大層なタイトルを付けた夏関連記事をこれでもかというほど投稿している。

とにかく夏はワタシ、ワタシが夏なのだ。


そんなワタシにとって今年最大の目標が、毎年八月の盆踊り大会の締めに開催される、ここ、八津奈市やつなし最大のイベント、


『ミス・やつな』。


『八津奈市らしい美しさをめざして』と、ミス日本コンテストのコンセプトまるパクリのキャッチフレーズのこのコンテスト。

容姿や性格、特技の披露はもちろんのこと、八津奈市の特産物である、夏みかんを「誰よりも上品に食べられるか」といったこのコンテストならではの審査もあり、最後はその場にいる観客の投票結果で決まる。

後ろから読んだら『夏休み』というツッコミを入れるくだらない輩が多くいるようだけど、そんなことしか言ってこない輩には興味はない。

ワタシは一昨年から二年連続で『ミス・やつな』に選ばれている。
今年も選ばれれば殿堂入りとなり、特産物の夏みかんが一生分もらえる大一番。

ここまで健康に育ててきた母に恩返しをしたい。
『自称・夏オンナ』のワタシにとって、絶対に負けられない戦いなのだ。


過去の二大会以上に気合を入れたプロフィール写真を見ていた安室が、視線をワタシに移してきた。


「『ミス・やつな』って聞くと、何だか『三ツ矢サイダー』飲みたくなるよね~」







■今回のショートショートは以下のマガジンに収めています😌

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この作品は、小牧幸助さん企画【シロクマ文芸部】参加作品です。
今回のお題は、【夏休み】でした🎐

今年の夏休みは長女が来年中学受験を控えているため、家族旅行もお預けです🥲

いつもスロースターターで勉強が全然捗らない長女なのですが、この夏休みは毎日塾に通っています。授業後も自習室に残って勉強している姿に、妻が「同じクラスに好きな男の子がいるんだよ、絶対そう!!」と決めつけていました(笑)

でも、そういったことってありますよね。
自分が公務員試験勉強でビジネススクール通っていた時に惹かれていた女の子がいたことがモチベーション維持になっていましたからね。その子とは最終的に付き合いましたが、一年もたずにフラれてしまいました…🥲




ここまで読んでいただきありがとうございました🍀



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