だんごむしと夏の空
朝にいつも通り家を出ると、地面にだんごむしが歩いているのを見かけた。
小さい頃は毎日のように転がして遊んでいたのに、しっかり見たのは何年ぶりだろうか。
だいじな試験が終わって気分も少し軽かったので、よく見てみると、なんと足の多いことか。
いきものというのは、大変申し訳ないが 足が多ければ多いほど不気味さが増してくる。
よく指の上を這わせて遊んでいた幼少期を思い出しながら、簡単にそんなことができなくなってしまった自分に、不思議な気持ちになる。
つついてみると、くるっとすぐに丸まった。
彼らは変わっていない。あのときと同じ。
大人になると、いろんなものが怖くなる。
だんごむしに触るのだってちょっと怖いのだから、世の中は怖いものだらけだ。
未来のこと、お金のこと、勉強のこと、友達のこと、家族のこと、みんなちょっとずつこわい。
でも、だんごむしのほうが本当はこわがっているはず。
みんな私を襲おうとしているわけではない。
こちらが勝手にこわがっているだけ。
夏は空が高い。空が明るい。
むくむくと白い壁が立ち上がって たまに夕立ちを降らせてくるけど、雨上がりには虹がかかる。
だんごむしはもう、丸くなるのをやめて歩き出していた。
