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『あんぱん』は、顔をちぎるヒーローが生まれるまでの夫婦と戦争とパンの話


この記事を一言で言うと:『あんぱん』は、アンパンマンが生まれるまでに、夫婦の人生と日本の時代が何回もトースターで黒焦げになる朝ドラである。



🤖鈴木:今回のテーマは、NHKの朝ドラ『あんぱん』です。


🎃佐藤:2025年度前期の連続テレビ小説ですね。


🤖鈴木:はい。雑に言うと、「顔をちぎって人に食わせるヒーローが、なぜこの世に爆誕したのか」という話です。


🎃佐藤:言い方。


🤖鈴木:でも事実じゃないですか。


🎃佐藤:まあ、アンパンマンはそういうヒーローではあります。


🤖鈴木:普通のヒーローは敵を殴る。アンパンマンは自分の顔を配る。


🎃佐藤:炊き出し型ヒーローですね。


🤖鈴木:ヒーロー界の移動パン屋です。


🎃佐藤:急に地域密着。


🤖鈴木:しかもこのドラマ、ただの「アンパンマンできました」物語じゃないんです。


🎃佐藤:やなせたかしさんと妻の小松暢さんをモデルにしたフィクションですね。


🤖鈴木:ここ大事です。モデルにはしてるけど、そのまま実話ではない。


🎃佐藤:主人公は朝田のぶ。やなせたかしさんにあたる人物が柳井嵩です。


🤖鈴木:のぶと嵩。名前だけ聞くと、近所の和菓子屋の夫婦です。


🎃佐藤:実際は、戦前、戦中、戦後を生き抜くかなり重い物語です。


🤖鈴木:朝ドラなのに、人生の難易度が初見殺しなんですよ。


🎃佐藤:ゲームで言うと?


🤖鈴木:チュートリアルが終わった瞬間、ラスボスが玄関で靴脱いでる。


🎃佐藤:家に上がってるじゃないですか。


🤖鈴木:しかも「お邪魔します」じゃなくて「滅ぼします」です。


🎃佐藤:最悪ですね。


この記事の全体像


🤖鈴木:この記事が結局何を言っているかというと、『あんぱん』は、アンパンマン誕生秘話でありながら、戦争で壊れた「正義」を、夫婦が人生をかけて作り直す話です。


🎃佐藤:もう少しやさしく言うと、「人を助けるって何だろう」を、パンと漫画と夫婦の人生で描くドラマですね。


🤖鈴木:そう。正義って、ビームじゃないんです。


🎃佐藤:ビームではないですね。


🤖鈴木:腹が減ってる人にパンを出すことなんです。


🎃佐藤:かなりシンプルです。


🤖鈴木:でもそれが一番強い。空腹の人に「希望を持て」とか言っても、「いいから米出せ」ってなりますから。


🎃佐藤:それはそうです。


🤖鈴木:まず食わせろ。話はそれからだ。


🎃佐藤:急に炊き出しの隊長みたいになりましたね。


ポイント1     朝田のぶ、元気すぎる


🤖鈴木:まず主人公の朝田のぶです。


🎃佐藤:高知県の御免与町で育ち、「韋駄天おのぶ」「ハチキンおのぶ」と呼ばれる少女です。


🤖鈴木:韋駄天って、要するに足が速い人です。


🎃佐藤:ハチキンは、土佐弁で勝ち気で元気な女性を指す言葉ですね。


🤖鈴木:つまり、のぶは小学生の時点で「体育祭のリレーで全家庭のビデオカメラを横に振らせる女」です。


🎃佐藤:速すぎて追えない。


🤖鈴木:「あれ? うちの子どこ?」と思ったら、もうゴールで麦茶飲んでる。


🎃佐藤:かなり活発ですね。


🤖鈴木:しかも、のぶの父・結太郎がまたいいんですよ。


🎃佐藤:「女子も大志を抱け」と言ってくれる父親です。


🤖鈴木:この時代にそれを言うの、かなりすごいです。


🎃佐藤:娘に広い世界を見せようとする人ですね。


🤖鈴木:今で言えば、娘に「自分の人生、自分でハンドル握れ」と言ってくれる父親です。


🎃佐藤:いい父親ですね。


🤖鈴木:ただ問題は、のぶの父が急死してしまうことです。


🎃佐藤:ここで物語が一気に重くなります。


🤖鈴木:早いんですよ。朝ドラのパンが焼き上がる前に、人生の釜が爆発してる。


🎃佐藤:比喩が物騒です。


🤖鈴木:父を亡くしたのぶは、悲しみをうまく出せない。


🎃佐藤:そこで転校生の柳井嵩が、のぶの父のスケッチを描きます。


🤖鈴木:これが、のぶの心を救う。


🎃佐藤:絵が人を救う場面ですね。


🤖鈴木:つまり嵩はこの時点で、「絵で心の骨折を添え木する少年」です。


🎃佐藤:うまいですね。


🤖鈴木:ただし本人の人生は、後で全身複雑骨折みたいになります。


🎃佐藤:急に不安にさせないでください。


ポイント2    朝田パン、始まる


🤖鈴木:次に、朝田パンが始まります。


🎃佐藤:祖父の釜次が大怪我をし、家業が厳しくなる。そこで風来坊のパン職人・屋村草吉の協力で「朝田パン」を開業します。


🤖鈴木:風来坊のパン職人。


🎃佐藤:はい。


🤖鈴木:肩書きがもう強い。


🎃佐藤:ドラマ的ですね。


🤖鈴木:履歴書に「風来坊のパン職人」って書いてあったら、人事部がざわつきますよ。


🎃佐藤:採用するか悩みますね。


🤖鈴木:「前職は?」


🎃佐藤:「風です」


🤖鈴木:「職務内容は?」


🎃佐藤:「パンです」


🤖鈴木:「志望動機は?」


🎃佐藤:「吹かれたので」


🤖鈴木:こんなの採用です。


🎃佐藤:採用なんですか。


🤖鈴木:だって面白いから。


🎃佐藤:会社は大丈夫ですか。


🤖鈴木:でもこの朝田パン、ただの店じゃないんです。


🎃佐藤:家族が生きるための仕事であり、後のアンパンマンの思想にもつながる象徴です。


🤖鈴木:つまり、パンが人生のテーマになる。


🎃佐藤:食べ物としてのパンだけではない。


🤖鈴木:はい。ここでのパンは、糖質であり、仕事であり、家族であり、正義です。


🎃佐藤:急にパンの背負うものが重い。


🤖鈴木:あんぱん一個に詰まりすぎなんですよ。あんこ、夢、生活、戦争、正義。


🎃佐藤:カロリーがすごそうですね。


🤖鈴木:カロリーどころじゃない。情念です。


🎃佐藤:怖いあんぱんですね。


🤖鈴木:でもアンパンマンって、まさにそうなんですよ。


🎃佐藤:空腹の人に自分の顔を差し出すヒーローですからね。


🤖鈴木:普通、顔は守る場所です。


🎃佐藤:そうですね。


🤖鈴木:人間、顔にニキビ一個できただけでテンション下がるんですよ。


🎃佐藤:わかります。


🤖鈴木:それを「どうぞ食べてください」ですよ。


🎃佐藤:すごい自己犠牲です。


🤖鈴木:僕なら無理です。


🎃佐藤:でしょうね。


🤖鈴木:唐揚げの最後の一個ですら、家族会議になります。


🎃佐藤:器が小さい。


ポイント3     のぶ、教師になる


🤖鈴木:次に、のぶは教師になります。


🎃佐藤:パン食い競争をきっかけに教師を目指します。


🤖鈴木:パン食い競争から教師。


🎃佐藤:なかなか珍しい進路の決まり方です。


🤖鈴木:普通は「パンうまかった」で終わるんですよ。


🎃佐藤:そうですね。


🤖鈴木:「先生、進路希望どうする?」


🎃佐藤:「パンを食べたので教師になります」


🤖鈴木:「ちょっと保健室行こうか」


🎃佐藤:でも、のぶにとっては大きなきっかけだったわけです。


🤖鈴木:のぶは高智女子師範学校に進みます。


🎃佐藤:師範学校というのは、簡単に言うと、先生を育てる学校です。


🤖鈴木:つまり教師養成所ですね。


🎃佐藤:はい。


🤖鈴木:そこでのぶは、愛国の精神を叩き込まれます。


🎃佐藤:戦争へ向かう時代の空気ですね。


🤖鈴木:ここが怖いんです。


🎃佐藤:本人は悪人ではない。


🤖鈴木:でも「これが正しい」と信じて、子どもたちに教えていく。


🎃佐藤:戦争中の教育ですからね。


🤖鈴木:今の感覚で見ると、「うわ、怖い」と思う。でも当時はそれが普通の空気だった。


🎃佐藤:空気に逆らうのは難しいです。


🤖鈴木:これ、会社でもありますよ。


🎃佐藤:会社?


🤖鈴木:「この資料、なぜ紙で出すんですか?」


🎃佐藤:「昔からそうだから」


🤖鈴木:「このハンコ、なぜ斜めに押すんですか?」


🎃佐藤:「気持ちが伝わるから」


🤖鈴木:「気持ち、PDFで送れませんか?」


🎃佐藤:やめなさい。


🤖鈴木:こういう謎文化も、最初は「何これ」と思うのに、三年後には自分が新人に教えてたりするんです。


🎃佐藤:時代や組織の空気に飲まれる怖さですね。


🤖鈴木:そう。のぶも、本人なりに正しいと思っていた。でも終戦後、その正しさが崩れる。


🎃佐藤:高知市の空襲を経験し、終戦を迎え、のぶは自分が子どもたちに誤った教育をしていたと苦しみます。


🤖鈴木:ここ、重いです。


🎃佐藤:教師を辞めることになります。


🤖鈴木:心の中に請求書が届くんですよ。


🎃佐藤:過去からの請求書ですね。


🤖鈴木:「あなたが信じていた正義、実は間違ってました。支払期限、本日です」


🎃佐藤:きついですね。


🤖鈴木:しかも夫の若松次郎も亡くなります。


🎃佐藤:のぶは見合い結婚をしますが、夫の次郎は病状が回復しないまま亡くなる。


🤖鈴木:人生が容赦ない。


🎃佐藤:朝ドラですが、かなり苦しい展開です。


🤖鈴木:朝ごはん食べながら見たら、味噌汁に涙と鼻水が混入します。


🎃佐藤:衛生的に嫌ですね。


🤖鈴木:しかも家族が「それ味噌汁? それとも感情汁?」って聞いてくる。


🎃佐藤:聞きません。


ポイント4 嵩も嵩で大変


🤖鈴木:嵩も嵩で大変です。


🎃佐藤:嵩は漫画が好きで、漫画家になりたい気持ちを持っています。


🤖鈴木:でも最初からスムーズに漫画家になるわけじゃない。


🎃佐藤:母や周囲の期待もあり、医学の道を目指そうとしますが、高校受験に失敗します。


🤖鈴木:漫画家になりたいのに医者を目指して、しかも受験に落ちる。


🎃佐藤:迷いの時期ですね。


🤖鈴木:人生のナビが「目的地周辺です」って言いながら田んぼに突っ込んでる状態です。

🎃佐藤:怖いナビですね。


🤖鈴木:その後、東京高等芸術学校に進みます。


🎃佐藤:芸術を学びます。


🤖鈴木:ここでようやく漫画っぽい方向に行く。


🎃佐藤:でも卒業後は製薬会社に就職します。


🤖鈴木:また曲がる。


🎃佐藤:そして兵役に就くことになります。


🤖鈴木:曲がるどころか、道路が爆撃されてる。


🎃佐藤:戦争ですからね。


🤖鈴木:嵩は戦地を経験します。


🎃佐藤:脚本の中園ミホさんは、やなせたかしを描くことは戦争を描くことだと考えていたそうです。


🤖鈴木:ここ、作品の心臓です。


🎃佐藤:第11週と第12週では、主人公ののぶをほとんど登場させず、嵩の戦地での経験を描いています。


🤖鈴木:朝ドラで主人公をほぼ出さないって、すごい判断ですよ。


🎃佐藤:それだけ嵩の戦争体験が重要だったということです。


🤖鈴木:つまり、アンパンマンは「かわいいキャラクターを思いつきました」じゃないんです。


🎃佐藤:戦争体験や飢えの記憶が背景にある。


🤖鈴木:そう。戦争って、「正義」がめちゃくちゃになります。


🎃佐藤:昨日まで正しいと言われていたことが、終戦後には間違いだったとされる。


🤖鈴木:正義が回転寿司みたいに回るんです。


🎃佐藤:嫌な回転寿司ですね。


🤖鈴木:「本日のおすすめ、昨日の正義です」


🎃佐藤:食べたくない。


🤖鈴木:嵩はそこで考える。「じゃあ、ひっくり返らない正義って何だ?」と。


🎃佐藤:その答えの一つが、空腹の人に食べ物を差し出すこと。


🤖鈴木:敵を倒すことじゃない。


🎃佐藤:困っている人を助けること。


🤖鈴木:めちゃくちゃシンプル。でも強い。


🎃佐藤:子どもにもわかります。


🤖鈴木:お腹すいた人にパンをあげる。
これはたぶん、校長が変わっても、政権が変わっても、上司が急に意識高い横文字を使い出しても、正しい。


🎃佐藤:最後だけ現代ですね。


🤖鈴木:「今期はパーパスをリブランディングして、ウェルビーイングをアジャイルに」


🎃佐藤:「とりあえずパン食べます?」


🤖鈴木:それが正義です。


🎃佐藤:だいぶ雑ですが、わかります。


ポイント5 戦後、のぶは記者になる


🤖鈴木:戦後、のぶは記者になります。


🎃佐藤:終戦後、のぶは生きる意味を見失っています。


🤖鈴木:教師としての自信も失い、夫も亡くしている。


🎃佐藤:そこで、復員した嵩との再会や、次郎が残した日記の言葉に励まされます。


🤖鈴木:さらに、次郎の日記に使われていた速記を独学で学びます。


🎃佐藤:速記は、話し言葉をすばやく記録する技術です。


🤖鈴木:会議で上司が「えー、あのー、つまりですね」と言ってる間に、全部メモする技術です。


🎃佐藤:そこは全部書かなくてもいいです。


🤖鈴木:いや、「えー」にこそ魂が宿る場合があります。


🎃佐藤:宿りません。


🤖鈴木:「えー」が多い上司は、だいたい結論を持ってない。


🎃佐藤:毒が出ましたね。


🤖鈴木:のぶはその速記をきっかけに、高知新報の記者たちと出会います。


🎃佐藤:そして1946年、高知新報に採用されます。


🤖鈴木:教師から記者へ。


🎃佐藤:大きな転身です。


🤖鈴木:戦時中は「教えられた正しさを子どもに伝える人」だった。


🎃佐藤:戦後は「自分の目で見て、書く人」になる。


🤖鈴木:ここ、めちゃくちゃいいですね。


🎃佐藤:自分の正しさを作り直していく感じがあります。


🤖鈴木:人生のOS再インストールです。


🎃佐藤:戦前版から戦後版へ。


🤖鈴木:ただし再起動中に何回もフリーズします。


🎃佐藤:人生ですからね。


🤖鈴木:その後、のぶは代議士・薪鉄子を取材するために上京します。


🎃佐藤:そこで速記能力などを買われ、鉄子の事務補助員、のちに秘書になります。


🤖鈴木:のぶ、どんどん職種が変わる。


🎃佐藤:教師、記者、秘書。


🤖鈴木:現代ならLinkedInが追いつかない。


🎃佐藤:確かに。


🤖鈴木:一方、高知に残った嵩も、昭和南海地震をきっかけに高知新報を退職し、のぶを追って上京します。


🎃佐藤:そして生活のために三星百貨店へ再就職し、のぶと結婚します。


🤖鈴木:ここだけ聞くと、ハッピーです。


🎃佐藤:やっと夫婦になります。


🤖鈴木:でも人生はここから「結婚生活編」に突入します。


🎃佐藤:結婚がゴールではない。


🤖鈴木:そう。結婚は、家賃と光熱費と洗濯物が合体した現実の開幕です。


🎃佐藤:夢がないですね。


🤖鈴木:あと、トイレットペーパーを誰が替えるか問題。


🎃佐藤:急に生活感。


🤖鈴木:夫婦の愛は、最後の一巻を替えるかどうかに出ます。


🎃佐藤:妙にリアルですね。


ポイント6     嵩、漫画家として苦しむ


🤖鈴木:嵩は漫画家として苦しみます。


🎃佐藤:嵩は銀座のカフェで手嶌治虫と出会います。


🤖鈴木:朝ドラの中ではドラマ上の人物名として出てきます。


🎃佐藤:その出会いをきっかけに、プロの漫画家として独立するため百貨店を辞めます。


🤖鈴木:会社を辞めて漫画家。


🎃佐藤:夢があります。


🤖鈴木:夢はあります。財布は死にます。


🎃佐藤:死なせないでください。


🤖鈴木:会社を辞めた瞬間、通帳が「聞いてないよ?」って顔しますからね。


🎃佐藤:通帳に顔はありません。


🤖鈴木:あります。残高欄に。


🎃佐藤:怖い。


🤖鈴木:しかも同じころ、のぶも秘書を解雇されます。


🎃佐藤:再就職先を失うなど、夫婦は何度も生活の不安に直面します。


🤖鈴木:夫婦そろって不安定。


🎃佐藤:かなり大変です。


🤖鈴木:家計簿がホラー映画です。


🎃佐藤:どんな映画ですか。


🤖鈴木:タイトルは『残高ゼロの叫び』。


🎃佐藤:見たくない。


🤖鈴木:嵩は「独創漫画派」に所属し、舞台美術、作詞、テレビ出演、詩集、ラジオドラマなど、いろいろな仕事をします。


🎃佐藤:多才ですね。


🤖鈴木:多才すぎて逆に不安です。


🎃佐藤:なぜですか。


🤖鈴木:「何でもできます」は、本人の中では「何者でもありません」に聞こえるときがある。


🎃佐藤:それは深いですね。


🤖鈴木:舞台美術できます。作詞できます。詩も書けます。テレビも出ます。漫画も描きます。


🎃佐藤:幅広いです。


🤖鈴木:でも本人は「で、俺のメインディッシュ何?」となる。


🎃佐藤:代表作がないことに苦しむわけですね。


🤖鈴木:そう。居酒屋で言えば、枝豆も唐揚げも刺身も出せるけど、看板メニューがない。


🎃佐藤:それは確かに悩みます。


🤖鈴木:しかも隣の店は大行列。


🎃佐藤:比較してしまいますね。


🤖鈴木:「うちは何屋なんだ?」となる。


🎃佐藤:嵩は長く迷い続ける。


🤖鈴木:でも、のぶに勧められて応募した四コマ漫画『ボオ氏』で大賞を受賞します。


🎃佐藤:少しずつ評価されていきます。


🤖鈴木:さらに映画『千夜一夜物語』のキャラクターデザインを依頼されます。


🎃佐藤:映画の成功を経て、自身が監督した『やさしいライオン』も評価されます。


🤖鈴木:来てます。


🎃佐藤:ただ、それでも「自分が本当に描くべきものは何か」という迷いは残る。


🤖鈴木:ここが大事です。


🎃佐藤:成功しても、迷いが消えるとは限らない。


🤖鈴木:仕事で褒められても、帰り道に「で、俺って何?」ってなることありますからね。


🎃佐藤:ありますね。


🤖鈴木:コンビニの明るすぎる照明の下で、急に人生がスンッとなる。


🎃佐藤:わかるような、わからないような。


ポイント7     アンパンマン、ついに出てくる


🤖鈴木:ついにアンパンマンが出てきます。


🎃佐藤:一度は不評だった「おじさんアンパンマン」が書籍化されます。


🤖鈴木:おじさんアンパンマン。


🎃佐藤:今のかわいいアンパンマンとは印象が違いますね。


🤖鈴木:名前だけ聞くと、休日の昼に競馬新聞持ってるアンパンマンを想像します。


🎃佐藤:やめなさい。


🤖鈴木:「僕の顔をお食べ」じゃなくて、「まあ一杯やれ」って言いそう。


🎃佐藤:別キャラです。


🤖鈴木:でも、この設定がすごいんです。


🎃佐藤:顔を食べさせるヒーローですからね。


🤖鈴木:初見はびっくりしますよ。


🎃佐藤:たしかに。


🤖鈴木:子ども向けヒーローって、普通は変身とか必殺技とか巨大ロボなんです。


🎃佐藤:わかりやすい強さですね。


🤖鈴木:でもアンパンマンは「顔、いきます」。


🎃佐藤:表現が雑です。


🤖鈴木:しかも自分から差し出す。


🎃佐藤:自己犠牲ですね。


🤖鈴木:僕なら絶対無理です。


🎃佐藤:さっきも言ってましたね。


🤖鈴木:だって、顔ですよ。


🎃佐藤:はい。


🤖鈴木:人間、前髪がちょっと変なだけで一日終わるんですよ。


🎃佐藤:大げさです。


🤖鈴木:それを食わせる。


🎃佐藤:強いですね。


🤖鈴木:もはやメンタルが仏。


🎃佐藤:でも、この「空腹の人に自分の一部を差し出す」ことが、嵩の考える正義につながるわけです。


🤖鈴木:戦争で正義がひっくり返るのを見た。


🎃佐藤:飢えも知った。


🤖鈴木:だから「人を救う」とは何かを考えた。


🎃佐藤:その答えが、アンパンマン。


🤖鈴木:悪をぶっ飛ばすだけじゃない。


🎃佐藤:困っている人に食べ物を届ける。


🤖鈴木:つまりアンパンマンは、「説教より先に炊き出し」のヒーローです。


🎃佐藤:いいですね。


🤖鈴木:会社にも必要ですよ。


🎃佐藤:会社に?


🤖鈴木:部下が疲れてるときに、「成長機会だよ」とか言う上司いるじゃないですか。


🎃佐藤:いますね。


🤖鈴木:まずパン出せ。


🎃佐藤:パン。


🤖鈴木:「君の課題は主体性だね」じゃないんです。


🎃佐藤:まず休ませる。


🤖鈴木:そう。まず飯。まず睡眠。まず有休。


🎃佐藤:現代にも通じますね。


🤖鈴木:アンパンマンの正義、労務管理にも効きます。


🎃佐藤:広げすぎです。


🤖鈴木:ただ、絵本『あんぱんまん』が出版されても、すぐ大ヒットしたわけではありません。


🎃佐藤:ここも誤解しやすいですね。


🤖鈴木:アンパンマンって、最初から国民的スターだったと思いがち。


🎃佐藤:実際には時間がかかっています。


🤖鈴木:最初から大スターだったら、話が薄いんですよ。


🎃佐藤:そうですね。


🤖鈴木:「描きました。売れました。終わり」ではない。


🎃佐藤:人生の積み重ねがあります。


🤖鈴木:それだと朝ドラじゃなくて、成功者の確定申告です。


🎃佐藤:何ですかそれ。


🤖鈴木:「いやあ、印税が多くて大変でして」


🎃佐藤:嫌なドラマですね。


🤖鈴木:でも現実は、すぐには受け入れられない。


🎃佐藤:顔を食べさせる設定も、最初は違和感を持たれたのでしょう。


🤖鈴木:でも、子どもたちは受け取っていく。


🎃佐藤:ミュージカル化され、やがてテレビアニメ化につながります。


🤖鈴木:1988年10月、『それいけ!アンパンマン』がテレビ放送されます。


🎃佐藤:長い道のりですね。


🤖鈴木:長すぎる。


🎃佐藤:人生の後半で大きく花開くわけです。


🤖鈴木:これ、勇気出ますよ。


🎃佐藤:そうですね。


🤖鈴木:若いうちに売れなくても、人生終わりじゃない。


🎃佐藤:嵩は長く迷い、いろいろな仕事をして、最後に自分の答えにたどり着いた。


🤖鈴木:ただし、その間の家計は普通に怖い。


🎃佐藤:現実も忘れない。


🤖鈴木:夢は美しい。でも請求書は毎月来る。


🎃佐藤:名言っぽいですね。


誤解しやすい点


🤖鈴木:誤解しやすい点を整理しましょう。


🎃佐藤:一つ目。『あんぱん』は完全な伝記ではありません。


🤖鈴木:やなせたかしさん夫妻をモデルにしていますが、ドラマはフィクションです。


🎃佐藤:実在の人物や出来事をもとにしつつ、朝ドラとして再構成されています。


🤖鈴木:「これ、全部そのまま史実なんだ」と思うと危険です。


🎃佐藤:モデルとフィクションは分けて見る必要があります。


🤖鈴木:二つ目。これはアンパンマンの誕生だけを描く話ではありません。


🎃佐藤:戦争、教育、仕事、結婚、生活苦、創作、正義を描いています。


🤖鈴木:要素が多い。


🎃佐藤:かなり詰まっています。


🤖鈴木:あんぱんの中にカレーも焼きそばもナポリタンも入ってるくらい詰まってる。


🎃佐藤:それは嫌ですね。


🤖鈴木:でもドラマとしては、それくらい人生が詰まってます。


🎃佐藤:三つ目。のぶは「偉人を支えた妻」だけではありません。


🤖鈴木:ここ重要。


🎃佐藤:のぶ自身が、教師、記者、秘書として時代と向き合う主人公です。


🤖鈴木:夫の横で「あなた、お茶です」って言ってるだけの人じゃない。


🎃佐藤:自分の失敗や後悔も背負っています。


🤖鈴木:のぶはのぶで、人生の主戦場を走っている。


🎃佐藤:四つ目。嵩は最初から成功した天才ではありません。


🤖鈴木:むしろ長い間、迷いっぱなしです。


🎃佐藤:進路に迷い、戦争に行き、仕事に悩み、代表作がないことに苦しむ。


🤖鈴木:めちゃくちゃ人間です。


🎃佐藤:だからアンパンマンにたどり着くまでが重い。


🤖鈴木:最初から「俺、アンパンマン描くわ」だったら、ただの発明家です。


🎃佐藤:人生の積み重ねがあるから意味が出る。


🤖鈴木:五つ目。「正義」はかっこいい言葉としてではなく、かなり生活に近いものとして描かれます。


🎃佐藤:空腹の人に食べ物を届ける。


🤖鈴木:困っている人を助ける。


🎃佐藤:とてもシンプルです。


🤖鈴木:でも大人になると、シンプルなことほど忘れるんです。


🎃佐藤:たしかに。


🤖鈴木:「愛とは何か」「正義とは何か」とか言い出して、会議室でパワポ作り始める。


🎃佐藤:ありますね。


🤖鈴木:でもアンパンマンは言うわけです。


🎃佐藤:何と?


🤖鈴木:「まず食え」


🎃佐藤:強い。


🤖鈴木:パワポよりパン。


🎃佐藤:いいまとめです。


まとめ


🤖鈴木:このドラマの面白さは、アンパンマンという誰でも知っているキャラクターの裏に、戦争、飢え、迷い、夫婦の生活があるところです。


🎃佐藤:明るいキャラクターの背景に、かなり深い人生がある。


🤖鈴木:そう。あの丸い顔の裏に、昭和の人生がぎゅうぎゅうに詰まってる。


🎃佐藤:だから見え方が変わりますね。


🤖鈴木:アンパンマンを見ると、「かわいい」だけじゃなくなる。


🎃佐藤:どう見えますか。


🤖鈴木:「この人、人生の最終回答として顔を配ってるんだな」と思う。


🎃佐藤:言い方は変ですが、深いです。


🤖鈴木:まとめます。


🎃佐藤:『あんぱん』は、やなせたかしさんと小松暢さんをモデルにしたフィクションの朝ドラです。


🤖鈴木:主人公ののぶと嵩は、戦争、仕事、結婚、生活苦、創作の迷いを通って、「本当の正義」を探します。


🎃佐藤:その答えの一つが、空腹の人に自分の顔を差し出すヒーロー、アンパンマンにつながります。


🤖鈴木:つまり『あんぱん』は、顔をちぎるという冷静に考えるとかなり攻めた設定の奥に、「人を助けるとは何か」というめちゃくちゃ真面目な問いが入っているドラマです。


🎃佐藤:最後はきれいにまとまりましたね。


🤖鈴木:はい。


🎃佐藤:では締めましょう。


🤖鈴木:今日からアンパンマンを見る目が変わります。


🎃佐藤:どう変わりますか。


🤖鈴木:「この人、ヒーロー界で一番ちゃんと炊き出ししてるな」と思います。


🎃佐藤:間違ってはいない。


🤖鈴木:あと、顔を差し出す前に、ちゃんと労災入ってるか心配になります。


🎃佐藤:急に現実。


🤖鈴木:だって業務中に顔を欠損してますから。


🎃佐藤:やめなさい。


🤖鈴木:でも、それでも飛んでいく。


🎃佐藤:それがヒーローですね。


🤖鈴木:はい。アンパンマン、強すぎます。


🎃佐藤:パンなのに。


🤖鈴木:パンなのに。



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