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「苦役列車」 西村賢太 著 新潮文庫

一気に読みました。

作家は、ここまで書くんだ、ここまで書かなければならないんだと思いました。

主人公北町貫多の父親は、性犯罪者として逮捕されます。その後の貫多の人生の10代、そして40代が描かれています。

主人公の北町貫多の人生は、著者の人生そのものです。

「自身をあらゆる点で負け犬だと自覚すればこそ、尚と私小説を書かずにはいられないのである。(p.109)」と著者は書きます。
それも自己憐憫も自己陶酔も一切ない私小説です。

「見た目の至極おとなしそうな風情の中に、何か学歴、教養至上主義の家庭に育った者特有の、我の強い腹黒さと云うのがアリアリと透けてみえる、つまりはあらゆる意味での魅力に乏しい、いかにも頭でっかちなタイプの女であった。(p.69)」

「芋臭せえニューアカ、サブカル志向(p.73)」

「何が、下北、だよ。だからぼくら生粋の江戸っ子は、あの辺を白眼視して絶対に住もうとは思わないんだけどね(p.73)」

「芥川賞選考委員の乞食根性の老人(p.99)」

小気味よいまでの暴言。彼には、それを言う理由も権利もある。

安全なところにいて、偉そうなことを言いながら実は世間からの批判を恐れている僕が同じことを言っても、説得力はありませんし、そもそもこれだけのことを言う勇気もありません。

最後の3ページが切ない。著者の魂の叫び・・・だと思いました。

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