F9 ヨッシャマンとMr.発酵玄米
こうみえて、意外と責任感の強い方だと自分で思う。
ゆえに責任を負いたくないがために逃げ回り、結果無責任な人間になってしまった。
#4で腸活の話を書き、私としたことが、うっかり最後にこう綴ってしまった。
「乞うご期待」と。
乞うた以上は責任を取らなくてはならない。
というわけで、米ぬか&おからパウダーの結果報告である。
記録によると、2月9日から飲み始めている。
米ぬかとおからの細菌マンの力で腸に栄光を!という試みだった。
アレルギー疾患も腸を原因とするものがほとんどなのではないかと睨んでいる。そうだとするならば、私のスギ花粉戦線になんらかの動きがあるはずである。
さて、迎えた春の花粉症シーズン開幕戦。2ヶ月間飲み続けた効果はいかなるものだったか。
辛い日が一日もなかった。
恐るべき結果だと思う。
多分、私が一番驚いている。
症状が全く出なかったわけではない。くしゃみと鼻水が出る日もあった。しかし、それはすぐに収まってしまい、しんどいとは全く思わなかった。
花粉症を発症して以来、こんな春は初めてだ。
今年は花粉が少なかったのかなと思い、探偵よろしく聞き込みをしたが、そのような事実は出てこなかった。オリエント急行殺人事件みたいに、みながこぞって私に何かを隠しているという風でもない。
重度の花粉症患者の妹にいたっては、
「過去最悪!」と親の仇を見るような目をしてきた。親は同じなのに。
これはもう……
米ぬか&おからパウダーの商品化を進めるべきではないだろうか。
知人にこの話をしたら、水に溶いて飲むより、カプセルに入れて販売したら売れると思う、と進言してくれた。
あくまで菌を摂るのが目的なのだから、確かにその方がうんと効率がいいだろう。
面倒だからやらないけど。
と言うわけで報告を終わる。
私には効果があったけれど、他の人で試したわけではないので責任は負わない。
今日の本題に入ろう。
更なる腸活の冒険だ。
私は腸の管理者長として、古い体制は壊し、新しい社会を築きたいと思っている。
その立役者として私が選んだのは「Mr.発酵玄米」である。
私は早速彼を呼び出して言った。
「君には腸に行ってもらいたい」
「そこで私に何をしろと?」
「腸内細菌たちの楽園を作ってもらいたいのだ」
それを聞くと、ミスターは肩をすくめた。
彼には重荷を背負わせてしまうかもしれない。
しかし、やってもらわなければならないのだ。
玄米食は試したことがあるけれど、続かなかった。ボソボソしているし、ツブツブしているし、特に体調の変化もなかったから。
玄米は確かに栄養という面ではすぐれているけれども、何しろ消化が悪い。自分の持っている消化酵素を大量に使ってしまう。
江戸時代とかの、屈強な胃腸の持ち主であれば問題ないが、なまりきった現代人の胃腸にとっては必ずしも良いものではない、と教えてもらった。
私は思った。私が太れないのは、さらに人よりも消化酵素が少ないからなのではないか?……と。
さぁ、実験の時間だ。
「Mr.発酵玄米」の正体は、発酵させた玄米である。当たり前の事を言った。
彼自身に消化酵素が含まれているらしく、私のなけなしの消化酵素たちを使わなくてよいのである。
光明が見えてきた気がした。
ヨッシャマン、不食実験中じゃなかった?という突っ込みは菌(禁)ずる。腸内の革命を優先することとする。
この話をすると、どーやって作るの?と大抵聞かれるのでメモ代わりに記しておく。
私の炊飯器はあいにく玄米炊きの機能がないので、圧力鍋を使う。もと恋人の忘れ形見だ。邪魔だからとうちに置いていった。
分量は、玄米一合につき、小豆15g、水250㏄。塩はお気持ちで。
20分炊いて、15分蒸らす。
心得のある人は、魔方陣を書くなり呪詛をほどこすなり好きにやってほしい。
あとは、ジャーで保温。
1日に1度かき混ぜて、4日後にMr.発酵玄米が誕生する。
彼に任せておけば大丈夫だろう、と私は安堵した。
これで、ようやく体重が増えそうだ。
1週間経過。
2キロ減った。
これは、あれだ。そう、見間違いというやつだ。
あ、そういえば体重計に乗った時に、ほんのり舞空術を使ったような気もするし。
めげずに続ける。
2週間経過。
3キロ増えた!
2歩下がって3歩進む。
なかなか悪くない。いや、1キロしか増えてないじゃんとか言う人。そこに愛はありますか?
問題が1つある。発酵させるのに4日かかるから、ジャーが1台だとどうしても間があいてしまう。
隙間なく、私の腸を選ばれし勇者菌たちでうめつくしたいので、ラクマで保温用のジャーを購入。

これでさらに効果は加速する!はずだ。
体重のことはさておき、2週間経つと驚くべき変化が起こった。
うんこである。
いや、これはただのうんこと呼ぶには忍びない。
大きな便り。ビッグレター?
違うな。もはや「福音」と言っていいだろう。
もう、するっと出る。福音が。気持ちいい。
臭いも消えてくる。試しにしばらくトイレのドアを開けておいたが気にならなかった。
色も黄色みが増してくる。なるほど、バナナうんちとはよく言ったものだ。
そして、一番驚いたのは水に浮くのである。
やはり舞空術をここでも使っていたようだ。
これまでの人生で、多分ここまで良質な福音を生み出した事はないと思う。
食べ方も重要だろう、と思う。
ながら食べをやめ、味わいながらゆっくり食べた方が吸収が良い気がする。なんとなく。
いただきます、と手を合わせた後は、高らかに呪文を唱える。
「我が肉となれ!腸内に楽園を!」
これを三度繰り返す。(本当にやっている)
耳をすませると、腹の中の腸菌マンたちの声が聞こえる。
「ハイル!ヨッシャマン!」
「ハイル!ヨッシャマン!」
この「ハイル」は、食物が胃に「はいる」の事だと思う。
さらに、食後は胸の前で手を合わせて「ごちそうさま」(たまはるさんに教えてもらった)
完璧だ。
ここまでやって結果がでないはずがない。
3週間経過。
体重、変化無し。
どーなっている?
どうやら冒険はまだまだ終わらないようだった。
