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F29 ヨッシャマンVS気功

気功道場に通ったことがある。
なぜかと言えば、かめはめ波を打ちたかったからだ。

素手同士の格闘技でいえば、気功が最強な氣がした。何しろ、相手に触れずに吹っ飛ばせるのだから、ゴングと同時にマイク・タイソンですら倒せる。「世界を取れる!」若きヨッシャマンは高笑いをしながら修行に励んだ。

1年で辞めた。


なぜかと言えば、

まったく人を飛ばせないどころか、飛ばされもしないからだ。


道場の壁にはマットが貼り付けてあって、どの方向に飛んでいっても大丈夫なようになっている。
そして、先生やインストラクターの人達と手を合わせ、「氣」を受けると「うわ〜」と後ろ向きに走って行って壁のマットにぶつかる。
そう。私以外は。
やらせではないと思う。
私1人のために何十人もエキストラを雇うとは思えないから。
しかし、なぜ私は飛ばないのか。
このままではサイヤ人どころかヤムチャにだってなれやしない。
私は先生に聞いてみた。
答えはこうだ。

「100人に1人くらいはそういう人がいるんだよね」


夢砕けた瞬間である。
これが一万人に1人くらいだったら、なんかまぁいいかとも思えるけど。
先生の口ぶりからして、
「君の氣が大きすぎて私でも動かせないのだよ」
なんていうマンガ的な展開はなさそうだし、何より先生にどうにかしようという氣もなさそうだった。
一人称をオラに変えても無理だろう。
そんなわけで私は武術的気功の才なしということで道場を去ったのであった。

ここで、世間一般的な「氣」というものについて考察をしてみたい。
誰も興味ないかもしれないが、「#手」さえつければくりすたるるさんが回収してくださるらしいので、書いてしまおうと思う。
おそらく、皆の持っている氣のイメージは「手からなんかパワーが出る」といった感じだと思われる。ドラゴンボールによく出てくるあれだし、ウルトラマンのスペシウム光線もその進化系かもしれない。
ともかく、エネルギーの塊みたいなものがびびーっとかどーんとか出るものだと私は思っていた。
しかし、実際に気功師に「氣」を出してもらい測定すると、観測できたのは微量の磁気だったそうなのである。
とても人体になんらかの影響を与えるようなレベルではないらしい。
これが大量の電気だったのなら感電で吹っ飛ばしているという説もありえたのだけど。
それなら気功はインチキなのかというと、私は道場で意気揚々とマットにぶつかりに行くという奇行をする人達を実際に見ている。
しかし、確かに吹っ飛ばされているように見えても冷静に考えてみれば「自分の足」で後ろに走っているのである。
そう、まるで命令をされたみたいに。
そこで私の出した結論はこうだ。

「氣」とは「情報」ではないだろうか。


気功師の出す微量な磁気を「電波」と考えれば納得できる気がする。
つまり、道場の先生方は「下がれ」とか「後ろに飛べ」という情報(この場合は思いや念とも言えるかもしれない)を手から出していたのではないか。
そしてもう1つ。相手を飛ばす前には必ずお互いの手を合わせる。つまり、相手も手を通して情報を「受信」していたのではないか。

小難しくなってきたのでまとめよう。

「手」は思いの送受信機である。


これが気功を通して私が得た結論だ。
私が1年の間まったく飛ばされなかったのは、単に受信の感度が悪かったのだろう。

武術的気功は向いていなかったが、実は私は「手」を使って人の思い込みを変えるという特技を持っている。
多分誰でも出来るのだろうけれど、得意という事にしておいてもらいたい。
先日も、この手のことにまったく興味のない糖尿病の友人に試してみた。
酒樽が服を着ているような男である。
当然、「食べると太る」という思い込みを持っている。
「当たり前だろ」と友人が言う。
しかし私は言った。
「僕は食べてもまったく太らない」
「!?」
「僕は食べると太るという思い込みがないから太らない」
彼は驚きと疑いの目で私を見ていた。
私は続けて、
「思い込みを変えてみるかい?」
彼は変えたいと言った。
もちろん、相手の許可がいる。勝手に思い込みを変えることはできない。受信してもらわないと何も起こらない。1人だけ飛ばされなかった私みたいに。
あとはリラックスして私の手に手を乗せてもらえば、私は「新しい思い」を届けて上書きすることが出来るのである。
思い込みが書き換わったかどうかは、Oリングテストを使って判別ができる。
友人は狐につままれたような顔をしていた。
あるいは、豆鉄砲をくらった鳩のような顔。(昭和的表現)

手は不思議な事ができるのである。
あなたが何か思いを伝えたいならば、手を使うといいと思う。
願わくば、お相手が受信感度の良い人でありますように。
そしておそらく、手にはまだまだ隠された秘密の能力がたくさんあるのだろうと私は思っている。
研究は続く。
「手」と共にあらんことを。


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今夜のお供に。
受信してみてください。



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