GeminiとNotebookLMが、我が家の「謎」を27年越しに解き明かした
※この文章は、Google Geminiとnoteで開催する「#AIと学び」の参考作品として、主催者の依頼により書いたものです。
このnoteすごく好き✨ @yota1029 さんの記事だし、「我が家の謎」というタイトルに惹かれて読んだら、想像以上に温かなエピソードと、実践したくなる工夫の宝庫。時に悩むこともあるAI活用への背中も更に押していただきました。そして、日常の小さな“謎”や”発見”を大切にしたいなと改めて思いました https://t.co/YYF6bFZI6n
— はる菜/ライター・コラムニスト@🇧🇷→🇦🇷→🇯🇵 (@halnawriter) October 23, 2025
少し前まで、ぼくの生成AIに対する認識は、古いもので止まっていた。プロンプト(質問や命令)を入力して返答をもらえる初期のバージョンから、いくらか回答の精度が上がったり、画像を生成できるようになったりと、そのくらいのイメージしか持っていなかった。
だけど実際には、この一年で爆発的な進化を遂げていた。それも多方面に、である。
先日、その事実をまさに象徴する、「事件」とも言える出来事があった。それは同時に、AIと一緒に「何か」を学ぶことが、いかに「AIそのもの」について学ぶことにつながるかを教えてくれる体験でもあった。
今回はその体験を通して、Gemini LiveやDeep Research、NotebookLM、音声解説、Veo 3 動画生成など、Googleの最新AIツールがどれほど常識を覆す存在なのかをご紹介したい。
「Gemini Live」のカメラ機能から生まれた大発見
それは数ヶ月ぶりに帰省して、両親を驚かせようと思い、スマホアプリでGeminiを見せていたときのことだった。
Geminiは、今や単にテキストでの質問に回答してくれるだけではない。
例えばリアルタイムでのやりとりが可能なAIアシスタント「Gemini Live」では、カメラに映っているものについてAIと会話できる機能がある。
ぼくはリビングのあちこちにカメラを向けて、「これは何?」と尋ねて回った。

ぼく:これは何の植物ですか?
Gemini:その植物は「金のなる木」という多肉植物ですよ。原産地は南アフリカで、葉っぱが硬貨のように丸く、肉厚なのが特徴です。
ぼく:そうなの?
父:正解だよ

ぼく:これは何の料理ですか?
Gemini:ひじきと人参の煮物ですね。ひじきは海藻の一種で、鉄分やカルシウムなどのミネラルが豊富ですよ。
母:すごいね

ぼく:ひじきと人参の他に、あと2つの食材が入っています。何ですか?
母:それはさすがにわからないんじゃない?
Gemini:白い部分はおそらく油揚げで、細長い茶色の部分は椎茸だと思います。ひじきの煮物には、これらの食材がよく合いますね。
母:えー!合ってるよ


次々と正確に答えていく様子に、両親は驚いていた。
ぼくはなおも、好奇心に駆られてGeminiの実力を試していた。
小さな「事件」が起きたのは、リビングにかかる一枚の絵にカメラを向けたときだった。

この絵は、1998年に家族旅行でニューヨークへ行ったとき、母が画廊でひと目惚れして購入したものだ。窓辺に座る黒猫が、マンハッタンの高層ビルとセントラルパークを眺めている様子を描いている。穏やかな色調で、ぼくも気に入っている絵だった。
しかし、『City Cat』というタイトルはわかっているものの、肝心の作家名は謎のままだった。絵の下にあるサインは筆記体で判読できず、誰の絵だかわからないまま四半世紀が過ぎていた。
絵の左下には271/950と書かれているから、この絵だけで950枚は刷られたようだ。だからとくに貴重な絵でもないだろうし、たとえ作家名がわかったところで、詳細が判明するほどの画家でもないのだろう。ぼくはそう思っていた。
「どなたの作品かわかりますか?」
とくに期待せず、一連の流れのなかでGeminiに尋ねてみた。
「はい、この作品はエリック・フライマンの『シティキャット』です」

あっさりと答えるGeminiに、ぼくが「え!?」と目を丸くするのと同時に、
「え? 今なんか言ったね」と台所から声が上がった。父も、驚いた様子で新聞から目を上げていた。
でも、ぼくはこの一枚の絵だけで作者を推測できるとはとても信じられなかった。似たようなタッチの絵は、たくさん存在するのではないだろうか。きっとGeminiは、ほかの画家の絵と勘違いしているのだろう。
「どういうスペルですか?」と尋ねると、
「では、スペルを確認するために、サインの部分を拡大してみましょう」とGeminiは言った。

なんと、作風からの推測ではなく、画家のサインを読み取れたということなのか!?
ドキドキしながら、サインにカメラを近づけてみた。
「この部分ですね。スペルはE・R・I・K、F・R・E・Y・M・A・Nです」

最初Geminiは「フライマン」と言ったが、おそらく「フレイマン」と読むのが正しいのだろう。
エリック・フレイマン。いずれにせよ、聞いたことのない名前だ。
ぼくは半信半疑で、「Erik Freyman」とGoogle画像検索をした。すると、たくさんの絵が出てきたが、その中に確かにリビングの絵とよく似た絵があった。いよいよ鼓動が早まった。

今度は「Erik Freyman City Cat」で検索した。
「あ!!」
なんと、我が家と同じ絵が出てきたではないか!

「これは、エリック・フレイマンという画家の絵だ!」
この大発見には両親もびっくりで、本当に喜んだ。母は料理の手を止めてやってきて、忘れないよう画家の名前をメモをしていた。無理もない、Geminiのおかげで27年越しの謎が解けたのだ。ぼくも興奮していた。
言われてみれば、確かにサインは E.Freyman と書かれているように見える。でも、Eから始まる名前が膨大にあるなかで、AIがあっさりと「E=Erik」と判断したのはすごい。膨大なデータがあるから推測できたのだろう。
謎のアーティストを「Deep Research」で深掘り
改めてエリック・フレイマンについて検索してみたが、日本語サイトでの情報はほとんどない。ただ、アートの海外売買サイトの情報なども調べて、
「1932年、ソ連のレニングラード生まれの男性」
「のちにアメリカに移住し、2018年に亡くなった」
ということくらいはわかった。
しかし、彼の英語版Wikipediaなども存在しないため、まだどんな人物なのか判然としない。できれば彼のキャリアや、絵の特徴なども知りたいが、従来型の方法であれば、ぼくにはこの程度の検索が限界だった。
だが、幸いにも今は2025年。手元にはGoogleの強力なAIツールが存在している。
ぼくはパソコンを開き、Geminiの「Deep Research」で調べてみることにした。
「Deep Research」は、数百件ものサイトをリアルタイムで分析し、包括的な調査レポートをわずか数分で作成してくれる機能だ。競合分析や事例調査、新しいトレンドのリサーチまで、複雑な要件やトピックも難なくこなしてくれる革命的な調査自動化ツールである。
「Erik Freymanという画家について、英語サイトなども参照してできる限り詳しい情報を教えて」

すると数分後、まさに求めていた情報が出てきた。この詳細な内容(約6800字)に、ぼくは作家名がわかったのと同じくらい感動してしまった。

参考サイトの数にも驚いた。適当なことが書かれているわけではなさそうだ。情報ごとに「どのサイトから引用してきたか」がわかるので、その点でも安心感を持てる。

あまり細かくは書かないが、その調査結果によれば、
彼はソビエトの名門美術学校時代に、フォルム(形態)、構図、装飾原理に関する厳格な訓練を徹底的に受けたそうだ。その後、1977年に妻とアメリカに渡り、都会的で華やかな作品を描いて商業画家として成功したが、その基礎にあったのはソビエト時代に磨かれた強固なデッサン力と構成力だったという。
作者について今まで何もわからなかっただけに、この背景が知れただけでも素晴らしく価値がある。
また、調査結果でとくに心を打たれたのは、この絵が単なる大量生産の印刷物ではなく、作家自身がエアブラシを巧みに使い、一枚一枚手作業で仕上げたものだったという内容だ。正直なところ、ネット上の同じ作品を細部まで見比べてもほとんど違いを見つけられないため、これが事実かどうかはよく見極める必要がありそうだが、もし事実なら嬉しいことだ。

さらに彼の作品は「世界三大美術館」のひとつ、メトロポリタン美術館にも所蔵されていると知り、リビングの絵がよりいっそう特別なものに感じられた。

AIがもたらした発見が、ぼくと両親の認識を変えてくれ、この絵に新たな光を当ててくれたのだ。
「NotebookLM」の驚異的な音声解説
しかし、AIの活用はこれだけに留まらない。
このDeep Reseachで得られたレポートは非常に優れているのだけど、かなりの長さなので、両親にはより理解しやすい形でシェアしたいと思った。
そこでぼくは、レポートのテキストを丸ごとコピーし、今度は「NotebookLM」にアップロードしてみた。

「NotebookLM」もまたGoogleが開発したAIツールだが、Geminiとは決定的に異なる部分がある。様々な情報にアクセスできるGeminiが「広範な知識」を持つAIアシスタントである一方、NotebookLMは「自分が提供した情報」専門のAIアシスタントなのである。アップロードした資料に対してのみ情報の整理や分析、質問への回答を実施してくれるため、ハルシネーション(AIがもっともらしい嘘をつくこと)が起きづらいという利点がある。
だが、魅力はそれだけではない。ぼくがNotebookLMを初めて使ったとき、最も驚いたのは、このアップロードした情報をもとに、「音声解説」をしてくれる点だった。しかも、要約した情報をただ読み上げるのとは異なる。
ボタンを押して数分で完成したエリック・フレイマンについての音声解説は、まるでPodcastやラジオそのものである。男女の自然な対話を通して、解説してくれるのである。この話の自然さ、わかりやすさに驚愕してしまった。これをそのままPodcastに載せても違和感のないコンテンツになるだろう。試しに聴いてみてほしい。
この音声解説を母に聞いてもらったところ、「本当にAIが話しているの? リアルだし、2人の対話で本質に迫っていく感じがすごいわね」としきりに感心していた。
今年8月には、NotebookLMでは音声解説に加え「動画解説」の新機能も始まった。こちらも試してみると、まるでYouTubeの解説動画を観ているかのようだった。内容に合ったスライドが自動で生成されていた。

機能はほかにもある。「マインドマップ」機能では、情報の階層構造や関連性が視覚的に示される。これにより内容が整理され、理解しやすくなった。

さらに今年9月には、記憶の定着を促す「フラッシュカード」や「テスト」の新機能も実装された。
エリック・フレイマンについての4択問題を10問解いた。こんなにマニアックな問題は、未だかつて存在しなかっただろう。

これからの「学び」は、AIとともに
今回の「学び」からは少し逸れるが、GoogleのAIツールはまだまだいろいろなことができる。
例えばGeminiのAI動画生成ツール「Veo 3」を使い、この絵の風景を動かすことができた。雲が流れ、カーテンが揺れ、猫が動いた。かなり自然に見える。
まるで一枚の絵に、命が吹き込まれたようだ。
リビングの絵を、Googleの動画生成AI「Veo 3」で動かしてみました。自然ですごい。なんと音声付き。 pic.twitter.com/eVlMC5MIM7
— 中村洋太 (@yota1029) October 7, 2025
さらにGeminiには、絵本を作ってくれる「Storybook Gem」という機能もある。
「版画の仕組みを子どもでもわかるように絵本にして」と頼んだら、ものの1分でこんな絵本ができてしまった。



わかりやすい。AIツールを使いこなすことで、学びの可能性を様々な方向に、楽しく広げることができる。
*****
エリック・フレイマンという画家と、彼の作品について学んだ今回の体験は、同時にGoogleの最新AIの能力そのものを学ぶ、驚きと発見の連続だった。AIのおかげで、日々疑問を持つことが楽しくなりそうだ。
これからの「学び」とは、単に知識を得ることではない。AIという最高のパートナーとともに、いかに面白い問いを立て、未知の探求を楽しめるか。今回の「事件」は、そんな未来の学びの形を見せてくれた。

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