【オトナになることのうた】スチャダラパー●「大人になっても」そのまま
今週はホースガールの初来日ライヴを観ました! ほんと、素晴らしかった。ソニック・ユース、それにフィーリーズからの遺伝子を感じたし、そのクールネスが現代にも有効であると思いました。
この後日には人生初、世界陸上を観覧。予選ばかりの日で遠くの席だったけど、田中希実、久保凛、それにライルズといった選手たちの躍動を目の当たりしました。
驚いたのは、同じフィールド上で複数の競技が次々と、分刻みで進行していたこと。テレビじゃわからないことが多いですね。そこでは多くのジャッジの結果がデジタルで掲示されるから、転換まで含めた進行が非常にスムーズ。21世紀だな~。これだけ大規模なイベントをどんどん進めていく手際には感心しました。
まあ競歩など目視による違反との判定に対しては異論が起こるなど、すべてがそうではないわけですが。ただ、こんな時代になると、野球のストライクボールなんて、判定の機会の多さを思うと、かなりアナログだなぁという気になりますね。
世陸では、双眼鏡で遠巻きに織田裕二氏の姿も一瞬、放送ブースの中に見えました(会場にはまったく映らないですね……当然ですが)。僕的には彼をずいぶん前にユニバーサル・ミュージックの社内コンベンションで見かけて以来でした。社員のみなさんにあいさつしてたな~。
あとは、家族と盆踊りに出かけました。丸の内とか地元とか、今年はすでに何回も(フジロックの前夜祭では時間に間に合わず…何度も行ってんのに)。
盆踊りは、太鼓によるビートが大切だと学びました。演者の方々は暑いし、大変でしょうけれど。
では今回は、前回の小沢健二を受けて、スチャダラパーです。
大人なんて概念からは程遠かったスチャダラパー
スチャダラパーと言えば、小沢健二とのシングル「今夜はブギー・バック」が最も知られている曲だろう。
僕はこのシングルが出る1994年以前に、すでにスチャのライヴをイベントで観たことがあった。彼らの存在は、初期のうちからそれなりに認識していた。
実は自分の音楽ライターとして初めてのインタビュー取材の対象がこの3人で、それがまさに「ブギー・バック」を収録したアルバム『スチャダラ外伝』のプロモーションの場だった。それだけに懐かしさもあるし、この作品のことをテーマが旅のアルバムだと話してくれたのもよく覚えている。
この頃の音楽シーンは渋谷系の初期で、たしかに彼らもその範疇に入っていた印象はある。もちろんそこで「ブギー・バック」が果たした役割は大きかった。
そして思えば、並みいる音楽アーティストの中で、スチャダラパーはその風貌や雰囲気が、大人というものから最も遠そうな存在だった。
それはモラトリアムだとか責任を負わないという意味では、まったくない。彼らはプロとしてたくさんの仕事にしっかりと向かっていたし、3人の音楽に触れて面白くなかったことなんて、ない。
ただ、スチャのたたずまいや姿勢は、大人なんて物分かりの良さそうな概念に巻かれるようなものでは、到底なかった。彼らはむしろパンク的ですらあった。そういう意味である。
90年代はスチャのライヴに何度か足を運んだし、彼らへの取材も幾度か行った。のちにワーナーに移籍してからも、それに、電気グルーヴとかスチャダラパーの時も。
それからずいぶん時間が経った2018年には、ボーズくんに取材するために、彼が住む街まで出向いたものだった(取材場所のお店がずいぶんと硬いパンを出すカフェで、おかげでこの世にはハードパンというジャンルがあるのを知った)。その時は、80年代のヒップホップについて話してもらったものだ。
この取材の直後に自分は、北海道のライジングサンでスチャのライヴを体験した。
そして思えば、この前年のフジロックでも僕は彼らを観ていた。その年のフジには小沢健二も出ていて、2組の共演も実現している(残念ながら、それは観ていない)。
というわけで時が過ぎてもこのへんの結びつきはあるようなので、今回はスチャダラパーを取り上げることにした次第である。
そして彼らの【 #オトナになることのうた 】と言えば、「大人になっても」である。
「大人になっても」は「小沢君へのアンサーソング的な」曲
「大人になっても」は東芝EMIから1997年にリリースされたスチャダラパーのシングル。子供番組『ポンキッキーズ』のために書かれた曲だった。
物をついついたくさん買い集めてしまい、しかもそれを片づけられないことを唄った作品である。
この曲について彼らは、2010年に発表したベストアルバム『THE BEST OF SCHADARAPARR 1990~2010』付属のブックレットの中で、こんなふうに語っている。
ボーズ 僕が出てたTV番組『ポンキッキーズ』から頼まれて作った曲。”コロコロ”に続く子供モノですね。
アニ 『P-kiesメロディ』。小沢君の「大人になれば」のアンサーソング的な。
ボーズ とにかくこの曲はタケイ・グッドマンによるコマ撮りPVをぜひ観てほしいよ。もう”やんちゃDE賞”受賞者が撮ったような、そんな狂ったビデオだからさ。
シンコ しかし「かたせよ」はいまだに言われるね。結局「大人になってもそのまま」。アラフォーになってもそのまま。
ボーズ 僕なんか、全然片付かないもんだから「明日に向かって捨てろ‼」って本まで出しちゃったんだけどね。
<大人になってもそのまま>とラップされるこの曲は、いつも散らかしっぱなしの自分を唄ったもの。先ほどのコメントで、アニが「小沢君の「大人になれば」のアンサーソング的な」と言っているが、小沢が<ちょっと判ってきたみたい>と唄ったのとは対照的に、スチャのこの曲にいるのは、いくつになっても子供の頃から変わらない自分である。そのテーマが、いかにも彼ららしくて、笑える。
僕はこのシングルの際にインタビュー取材をしていて、3人はいかに片づけられないかという話をしてくれたものだ。その席では『ドカベン プロ野球編』の話もした記憶がある。ものすごく脱線するが、この取材を行ったのが竣工したばかりの東京体育館のあたりで、東芝のスタッフの方がまだ普及段階だった携帯電話(もちろんガラケー)を使っていたのも覚えている。
ただ、ライムの内容は大人になっていない自分であっても、サウンド面ではリズムを軸にしたジャジーかつソウルフルな出来で、ちょっとストイックな音作りであるところがポイント高い。アガる曲ではあるのだが、仕上がりとしては、そう、大人っぽさがあるのだ。
このへんの構造は、さすがスチャダラパーだという気がする。子供番組のための曲とはいえ、肝心の音にはそうした鋭敏さがある。
そして今聴くと、アンサーソング的な歌でもあるとしても、スチャの3人も少しは大人になることを気にしていたのかな?という感もある。
ちなみにこの曲が出た1997年の6月は、ボーズが28才、アニ29才(翌月に30才)、シンコが27才。
彼らはこの後も今に至るまでに活動を続けているが、「大人になっても」のテーマはのちの何かに引き継がれたのかな?と検索をしてみた。そうしたらコロナ禍の時期にアップされた動画に3人のトークがあり、その中にこの曲のタイトルと似た回があった。
いかりや長介なんかの話に始まり、映画の『ベスト・キッド』や『ストレンジャーシングス』、『グレムリン』、タランティーノに『ゴジラ』、それに『がんばれ!ロボコン』のことまで語っている。いかにもスチャダラパーな中身だ。
さっきの2018年のカフェでの取材の際、撮影が終わってから子供をあやすボーズくんを見て、彼も父親になったんだなあ、と思ったものだ(それはこっちもなのだが)。ただ、本人の雰囲気は、初めて恵比寿でライヴを観た1990年の序盤から、ほとんど変わらない。
その時に、大人のなり方にもいろいろあるんだな、と思ったものだった。

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お蕎麦(せいろそば)、1600円。
たまに妻子と行くお店
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