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あなたの働く原動力はなに?わたしは「怒り」です


ずっと許せなかった。


はじめて入社した会社。

自分より先に入社したってだけで、不機嫌を許されて、派閥をつくって新入社員をのけものにする先輩。

その先輩の顔色ばかり伺って、わたしのことを見てみないふりするマネージャー。

いつまでたっても上がらない給料。上司の都合ばかりが優先される勤務表。制服への着替え時間を含んではいけないタイムカード。



全部ぜんぶ許せなかった。最初は悲しかったけど、だんだんと「怒り」に変わってきた。

会社員って、毎日こんな理不尽と出会わなきゃいけないの?どうして「仕事をする」ということ以外に、人間や環境でストレスをためなきゃいけないの?これって一生続くの?



毎日心のなかで怒り狂っていたけれど、それもだんだんと疲れてくる。「怒り」はとにかくエネルギーをつかうのだ。

冷静になったわたしは「会社に来ているのは仕事をするためであって、そのほかのことで心やエネルギーを消耗されるべきではない」と考えるようになる。

仕事に集中しよう、と決めた。




不機嫌な先輩の行動パターンは、毎日一緒にいるからよくわかる。仕事をする上で、関わらないことはムリだ。なのでタイミングを見極める。最短最速で用事を終える。どこの派閥にも属さず、中立を貫く。

なぜこちらが気を使うのか?という思いもあるけど、相手を変えることは100%できない。相手に寄り添うためにするのではなく、わたしを守るために仕事の一部として対応するという意識でいた。


マネージャーに関しては、敵でも味方でもない。ただトラブルに巻き込まれたくないだけの人に思えた。

なので相談や自己開示はいっさいしないと決める。解決に手を貸してくれることはないし、わたしにとってメリットがひとつもないからだ。仕事上の報告・連絡のみ。


給料と働き方に関しては会社全体の問題にもなるので、わたしがどうにかできそうなことはほとんどない。だってこの会社を引き当ててしまったのは自分だし・・・。ギャンブルに外れたと思うしかない。

転職活動計画を立てることに決めた。自分が感じた会社への怒りポイントを、どうやったら避けられるのかを考える。入社前にもっと調べればよかったし、事前に質問すべきことだってあったはず。

もちろん入社しないとわからないことも多いけど、今回よりはいいギャンブルができるという自信をもてた。



周りに怒りをぶつけて発散したいわけではない。そんなの自分が疲れるだけだ。

怒りの原因がどこにあったのかを考えたかった。解消できることがあればやるし、ムリなら遠ざける。あくまでも冷静に。

そうしてやれることをやっていくと、だんだんと心の雑音が消えていく。仕事に集中できる環境を、自分で創りあげることができた。

誰にもなにも言わせない、という強い気持ちは、仕事をがんばる燃料になった。




「怒り」は疲れるけど、ときには原動力にもなってくれるのだ。

人生を思い返すと、思考や行動を変えるきっかけは「怒り」だったように思う。

「あんなふうになれたら素敵だな」というようなポジティブな気持ちよりも、「許せない」「負けたくない」「なんでわたしだけが」「こんな人生でおわりたくない」みたいな、メラメラしたネガティブな気持ちが圧倒的に強かった。


悔しさや悲しさを煮つめると、「怒り」ができあがるんだと思ってる。その煮つめた怒りが身体をめぐって、わたしを動かしている。

ドロドロしていて、ぜんぜん美しくない!

でもそのおかげで、どうにかここまで生きのびることができた。




その後、わたしははじめて就職した会社を辞めることになる。転職したり、無職になったり、その後もいろいろあった。

どんな環境でも大きさは違えど「怒り」が生まれたけど、その度に自分の感情と向き合ってきた。そうして乗り越えてきた。


いまはフリーランスとして生活をしている。自分にとって心地いい相手や環境を選べるようになり、昔に比べると新しい「怒り」が生まれることはほとんどない。

でもいまだって、あのころの「怒り」をまったく忘れていないのだ。だからこの熱量でこの文章を書ける。されたこと、言われたこと、ぜんぶ覚えている。

粘着しすぎかもしれない。でもあの気持ちをすべて抱えながら生きてきたから、いまがあるのだ。




人によって働く原動力はさまざまで、「具体的な夢がある」という人もいれば、「誰か」のためだったりもする。見栄とか世間体かもしれない。やりがいとか増える残高とかね。

人には人の原動力があって、わたしの場合はそれがたまたま「怒り」だった。それだけだ。

これからも「怒り」を抱きしめながら、涼しい顔をして働き続けたい。



またね。



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