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【選挙公報ガチ比較】「直感の維新」VS「熟読の立憲」。デザインが語るターゲット戦略の違い

前回の記事では「マーケティング視点」で完璧に設計された音喜多駿氏の選挙公報を分析しました。 今回は、同じ東京1区で戦ったベテラン、海江田万里氏の公報と比較してみます。

この2枚を並べると、「誰に届けたいか」によって、デザインの正解がこれほど変わるということが残酷なほどよく分かります。


東京都選挙公報より抜粋


東京都選挙公報より抜粋

【真っ向から違う3つの戦略】

1. 「ななめ」の動的デザイン VS 「縦書き」の静的デザイン

  • 音喜多氏(動): 文字を斜めに配置し、黒背景に白抜き文字を使用。「動き」と「違和感」で、スマホ慣れした世代の目を強制的に止めに来ています。チラシというより「バナー広告」の手法です。

  • 海江田氏(静): 新聞記事と同じ「縦書き」のレイアウト。
    整然と並んだ文字は、活字慣れしている高齢者層にとって「最も信頼できるフォーマット」です。「読んで理解してもらう」ことを前提とした、教科書的な作りです。

2. 「VS構造」で選ばせる VS 「箇条書き」で説得する

  • 音喜多氏(比較): 「古い政治 VS おときた駿」という対比構造を作り、思考停止でも選べるようにしています。
    「どっちがお得?」を瞬時に判断させるマーケティング手法です。

  • 海江田氏(列挙): 「安心な生活のための5つの経済対策」「持続可能な将来のための7つの基本政策」と、政策を網羅的に列挙。 これは「比較」ではなく「説明」です。
    じっくり読み込めば内容は充実していますが、パッと見の1秒では情報は頭に入ってきません。
    しかし、既存の支援者にとっては「ちゃんとしている」という安心材料になります。

3. 「パパの顔」 VS 「昭和の傑物」

一番面白いのがプロフィールの載せ方です。ここに「誰に共感してほしいか」が全て出ています。

  • 音喜多氏: 「41歳 3児の父」 → 「役割(パパ)」をアイコン化。
    子育て世代への共感狙いです。

  • 海江田氏: 「身長182cm 体重80kg」「趣味:漢詩、書道」 → 「個人のスペック(体格・教養)」を強調。 今の若い人は「政治家の身長体重」を見て投票しませんが、昭和の価値観では「身体が大きく頑健であること」「漢詩を嗜む教養があること」は、リーダーとしての重要な資質でした。まさに昭和のターゲット層に最適化されたプロフィールです。

二人の手法と選挙の結果は

  • 音喜多氏: 「直感・イメージ・若さ」の右脳型マーケティング

  • 海江田氏: 「論理・実績・重厚感」の左脳型カタログ

2024年10月27日に行われた第50回衆議院議員総選挙(東京1区)の結果は以下の通りです。

結論:海江田氏の勝利(小選挙区当選)、音喜多氏は完全落選

  • 海江田万里 氏(立憲・前): 【当選】

    • 小選挙区で勝利しました。

  • 音喜多駿 氏(維新・新): 【落選】

    • 小選挙区で敗北し、比例代表(東京ブロック)での復活当選も叶わず、議席を失いました。

得票数と分析(広報の視点で)

実際の得票数を見ると、先ほど分析した「ターゲット戦略」の答え合わせができます。

1位:海江田 万里(75歳)… 56,979票

  • 勝因: あの「文字だらけの公報」が象徴するように、長年の実績と信頼を重視する高齢層やリベラル層(=組織票・岩盤支持層)をガッチリ固めました。「分かりやすさ」よりも「重み」が選ばれた結果です。

  • 2位:山田 美樹(50歳)… 55,040票

    • (自民党の前職。惜敗率で比例復活当選)。海江田氏と接戦でした。

  • 3位:音喜多 駿(41歳)… 29,002票

    • 敗因: 1位・2位にダブルスコアに近い差をつけられました。「目立つデザイン」「ネット戦略」で認知は取れましたが、選挙の勝敗を決める「組織力(=ドブ板)」や、東京1区(千代田・新宿などの都市部)の有権者が求める「安定感」には届かなかったと言えます。

【あなたのビジネスはどっち?】

この比較に「どっちが良い・悪い」はありません。
あるのは「ターゲットに合っているか」だけです。

  • 新規客や若い層を取り込みたいなら、音喜多氏のような「直感・インパクト・比較」のデザイン。

  • 既存客や年配層に信頼されたいなら、海江田氏のような「整然・説明・重厚」のデザイン。

もし、若者向けの商品なのに海江田氏のような「説明だらけのチラシ」を作っていたり、逆に信頼が第一のBtoBサービスなのに音喜多氏のような「勢いだけのLP」を作っていたりしたら、それは事故のもとです。

「自分が伝えたいこと」を書く前に、「相手が読みやすい形式(作法)」を選ぶ。 選挙公報は、そんな広報の基本を教えてくれる教科書なのです。

マーケティング戦略とは何なのか!?

「いくらマーケティング的に『目立つデザイン』が正解でも、その商品のターゲット(有権者)が『安心感』を求めていたら、あえて『古臭いデザイン』を選ぶのが正解となります。
 音喜多氏のデザインはWebマーケティングとしては優秀でしたが、今回の『選挙』という市場においては、海江田氏の『カタログ型』が顧客ニーズ(信頼)を掴んでいました」

広報メディアスペシャリストMAMIより

もしあなたの周りに、「とりあえず今風のデザインにしておけば売れる」と信じている上司やクライアントがいらっしゃったら、そっとこの記事のURLを送ってあげてください。
「ダサい」が「正解」になることもある。
その強力な説得材料として使っていただければ本望です(笑)


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