「晃の日常」第一話


あらすじ

彩月 晃(さつき あきら)  高校2年生。
ごく普通の家庭で育った男子高校生。
天パの黒髪と、ぱっちり二重に長いまつ毛、
すらっと細身の高身長。
その整った容姿と独特な雰囲気から女にモテるが、鈍感なので気づいていない。
それ以上に男にモテるのだが、もちろんそんな
自覚はなし。
そんな人気のある彼は、乙女ゲーム…ではなく、
BLゲームの主人公だった。
最近気になることは、たまに頭痛がすること。
頭痛持ちではなかったはずだが…。
常に多忙な主人公・晃を取り巻く日常とは。


補足

晃のBLゲームの主人公としてのステータスは、
ほぼ皆無のところからスタートします。
色々な人との関わりの中で、成長していきます。
攻略対象は、幼馴染、後輩、同級生、先生など、晃の身近にいる人々です。
攻略は全員同時進行していきます。
晃本人は、目移りしているわけではなく、それぞれの相手に対して真摯に向き合います。
第三者視点で、ゲーム内で晃を動かしているようなイメージです。
楽しく活発に、時に悩みながら、他者との関わりを深めていく主人公を見てやって下さい。

【登場人物紹介】
・主人公
彩月 晃(さつき あきら)
高校2年生。身長176㌢。
黒髪天パ。まつ毛が長い。
クラスでは学級委員をしている。
一視同仁な性格で、極度に鈍感。
男にも女にもモテる。
最近、よく頭痛がする。
何かを忘れているような…?

・攻略対象
幼馴染・皆月 柊(みなつき しゅう)
高校2年生。晃とは別の高校。
バスケ部所属。スポーツが得意。
晃と連絡を取っていない時期があった。

後輩・宇月 千聖(うづき ちひろ)
高校1年生。真面目で率直な性格。
物知り。成績も上位。
姉が1人いて、晃と同級生だった。

転校生・二三月 蓮(ふみつき れん)
晃のクラスメイトで、隣の席になった。
現役アイドル。リアルでの社交性は皆無。
努力家で、以前は私立の進学校に通っていた。

塾講師・無月 涼(むつき りょう)
晃の通う塾の先生。数学、英語を担当。
有名私立大学に通う大学3年生。
晃のことを気にする様子がある?

店長・菜月 壮司(はづき そうし)
晃のバイト先の店長。30歳。
寛容な性格。店のスタッフから慕われている。
晃のポテンシャルに期待している。

この他にも、晃と関わる人々が随時登場していきます。

第一話 唐突


ーー月曜日。


「ーー君、高校生?」

晃はその声に、はっと気がついた。
目の前に、腰にエプロンをした男性が立っている。
自分に話しかけているようだ。

「え…は、はい。」

「大人っぽいね〜。背も高いし、落ち着いた雰囲気だし…都会生まれでしょ?」

「ええと、小さい頃は…。」

背の高さって…関係あるのか?

「やっぱり!今はこの辺りに住んでるの?」

「あ、はい。もう10年ぐらいは。」

「そうなんだ。今は学校帰り?」

「はい…。」

帰り道だったよな?あれ、でもここは…。

「学校は、バイトオッケーなのかな?」

「あ…たぶん。公立なので。」

「もしよければ、うちでバイトしてみない?未経験歓迎だよ。」

「そうなんですか。」

何のバイトだろう。コーヒーのいい匂いがする。おそらく、ここは…カフェだ。

「ここ、ちょっと変わったカフェなんだ。外に看板あったでしょ?僕はここの店長。」

「店長…。」

「君、かっこいいから制服も似合いそうだし。まあ、ゆっくり考えてみてよ。」

「はあ。」

「何か飲んでいく?」

「い、いいえ。」

「実は今日は定休日なんだけど、入り口の鍵開けっ放しだったのかな。分かりづらくてごめんね。」

「え…す、すみません!勝手に…!」

晃は、自分の置かれた状況をやっと理解した。
定休日のカフェに、勝手に入り込んでしまっていたのだ。
でも、どうしてこの建物に入ったのか、思い出せなかった。

「大丈夫だよ。少しびっくりしたけどね!月曜以外は営業してるから、いつでもどうぞ。バイトしたくなったら、直接来てもらって良いけど、来る前に電話してね。」

店長だという男性から、お店のカードを受け取った。

「はい…ありがとうございます。」

「気をつけて帰ってね。」

カラン。カフェから出て扉を閉めると、CLOSEDの札が見えた。
しっかり外から見えるようにしてあるのに、どうして入ってしまったんだろう。
それに、何か忘れているような…。
タタタ…。すると、誰かが駆け寄ってきた。

「先輩!急にいなくならないで下さい!」

「え?」

「いつも何も言わずにいなくなるんだから!探し回るこっちの身にもなって下さい!」

「ご、ごめん。」

そうだ。学校帰り、後輩である宇月と一緒にいたんだった。

「あ、いや…いいんですけど。ただ、心配するので、声だけはかけてって下さい。」

「わかった。」

「じゃあ駅前のカフェ行きましょう。あ、このカフェが良かったんですか?閉まってるみたいですけど…。」

「今日は定休日みたいだ。」

「そうですか。じゃあ、やっぱり駅の方に戻りましょう。課題やるって言ってましたよね?僕もあるので終わらせます。」

「課題か…。」

宇月とそんな約束をしていた…気がする。
いや、宇月が言うのだから、間違いない。
その時、後方から声が聞こえた。

「晃じゃねぇ?久しぶりだな。」

「!」

「久々だけど、変わりねぇか?」

「久々…」

「そうだよ、半年は会ってねぇだろ。」

目の前に現れた、自分より少しばかり背の高い男をまっすぐ見る。
以前見た時より、髪が少し伸びた。
そういえば、最近会っていなかった。

「…連絡してこねぇし。」

「連絡…してなかったか。ごめん。」

「いや、別にいいんだけどさ。」

そんな曖昧な会話をしていると、宇月が声をかけてきた。

「先輩。どなたですか…?」

「ああ、えっと。」

「晃の幼馴染の皆月だ。そっちは?」

「あ、ええと、後輩の宇月です。よろしくお願いします。」

「よろしく。じゃあ行くわ。」

連絡、きていたのに返していなかった気がする。
踵を返そうとする幼馴染の男に声をかける。

「柊。また、連絡する。」

「ああ、またな。」

皆月柊。近所に住む同い年の幼馴染だ。

「…先輩。幼馴染って、何歳の時からなんですか?」

去っていく幼馴染の背中を眺めていると、宇月が問いかけてきた。

「いつからだったかな。俺が、この町に越してきた頃からだから…。」

小さい頃から一緒に遊んでいた。
どうして最近会っていなかったんだろう。
すごく仲が良かったのに…。
なんだか、忘れていることが多い気がする。
記憶が所々曖昧だ。晃は首を傾げた。

「…先輩!早くカフェに行きましょう。暗くなっちゃいますよ。」

「あ、うん。そうだな。」

急足で、駅前のカフェへと向かった。
晃は、少し頭が痛かったが、あまり気にはしなかった。

第二話→
https://note.com/youkan_39ramochi/n/nb8bff9c3ab50

第三話→
https://note.com/youkan_39ramochi/n/n94cc935bc58e

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