その10 いよいよ手術台へ…あれ?2人いる…
「点滴を刺すまでに、これに着替えておいてくださいね!」
手術当日の朝、病室にやってきた看護師さんが、緑色の服を持ってきてそう言われた。
(あ~手術着ね…)
医療者が作業しやすいよう前開きなんだけど、僕にはサイズが合っていないのか?「夜道に出没する露出狂の変態おじさんが纏うコート?」みたいでかなり大きい。
「点滴は何時からなんですか?」
「う~ん、午前中には開始しますが…お昼ご飯前くらいかな?正確にはまだわからないです」
まだ…という理由は~
皮膚科の手術は1日に数名の患者さんを順番に行うみたいで、一応の予定時間っていうのはあるみたいなんだけど、やってみないと分からないところもあるだろうから、僕よりも前の患者さんが予定取りに手術が終わらない場合は、僕の手術開始時がどんどん遅れてしまう。
点滴は、手術開始時刻に合わせて逆算して開始する必要があるから、手術1番目ではない僕の出番が正確に分かった時点でないと開始できない」ってことみたい。
学生の頃に受けた開頭手術時は9時前には病室を出発していたはずだから、まさに雲仙の差!
(仕方がないのかもな…)
「わかりました…」
渋々と手術着を着て待っていると、10時過ぎに看護師さんが病室にやってきた。
「ようやく手術室から13時から始めると連絡がありましたので、点滴を入れにきました!」
「あ〜そうですか…ではよろしくお願いします」
点滴を入れられてからは、昼食が絶食だから何もやることがない。横になっても眠くはないし…考えるのは、マイナス思考のことばかり…
「おまたせしました。今から行きましょう!」
看護師さんが病室に持ってきたストレッチャーに寝た状態で、地下にある手術室へ向かったのは13時前。(ちょっと遅くなったのか?)
手術室には、大液晶画面(モニター?)が壁に設置されていて、ストレッチャーはその隣で止まった。僕を挟んで大画面と手術台がある状態だ。
部屋には執刀医の先生と数名の助手らしき人と…あれっ?…外来受診にもいた男性皮膚科医!
なんで…いるの?
(なんで?女医さんだけじゃダメなんだろう?)
男性皮膚科医の存在が気になって仕方がない僕。
そんなことを思っていると、スタッフ全員が僕の周りにやってきた。
「それじゃ~手術台へ移りますよ~せ~の~!」
ストレッチャーに横たわる僕の下に座布団みたいなの挟んでから、スタッフ全員で手術台ヘスライドさせるように移乗。
「今度は横向きになりますよ~せ~の~!」
手術台に仰向けになったてる状態から、今度は左耳を上にした状態(横向き)に体位変更。
手術台はプニュプニュしていて、体にフィットするから姿勢を維持しやすい!
(あれっ?)
僕の目の前にある大液晶画面を見ていたら、画面を遮るように目の前に女性がやってきた。
(手術室の看護師さん?画面に何か見せたくないのが映るのかな?)
彼女の存在がよくわからない…
「それじゃ~開始しますよ~」
目の前の女性の存在が気になっていた時、後頭部側から声がした…
(先生の声だ!ってことは…いよいよスタートや!)
大液晶画面近くにある、手術時間をカウントする時計?キッチンタイマーの巨大化したやつ?が「0」から「1」・「2」と秒刻みに表示され始める…
後頭部を消毒綿か何かで拭いたのはわかったけど、その後は…局所麻酔をしたのか…よくわからない。ただ、全身麻酔と違って先生の声は聞こえるのは別の意味で痛いかも…
「ドカドカバキバキ!」
後頭部から、ものすごい音と振動…痛いわけではないんだけど、かなり動揺してお目々ぱっちり状態な僕…
(ちょ…ちょ…ちょっと激しすぎやない?大丈夫なのかな?…)
瞬きする余裕なんてないから、目の前にいる女性をずっと見つめていたところ、彼女は僕の左肩に手を添えてきて、穏やかな表情でずっと見つめてくれているのに気が付く。
…
(あっ…なるほど~彼女の役目がわかったぞ!精神面のフォロー役だったのか…)
それが正解なのかはわからないけど、局所麻酔には必要な存在なのかも!
(おやっ?)

後頭部とは違う場所でモサモサモサ…何やら動きが始まった気がする…
(左足の太もも?)
「今からこっちでも処置を始めますよ~」
(男性の声…ってことは、あの男性皮膚科医かな…そっちで処置するって、どういうこと?僕の皮膚癌は後頭部なのに…)
…
(あらっ…そこに注射をされた気が…ってことは、局所麻酔?なんで?もしかして…皮膚移植?)
注射をされたところまではわかったけど、後頭部と同じく…後はよくわからない。
結局、頭部は女医さん・太ももは男性医による「手術の同時進行」が始まったわけで…。どうなっているのか?
そして数十分後、女医さんの声…
「終わりましたよ~えっと~退院日ですが…いつ帰りますか?来週にします~?」
「 えっ?(終わったばっかりなんに退院日決めろっていうのか…こっちはそれどころじゃないって…)」
一瞬はそう思ったんだけど、社会復帰を考えたら早期退院の方がいいのは間違いないから…
「え~と…それじゃ~帰れる最短の日で!」
「わかりした、決まったらお伝えします」
というわけで手術は終了…僕はしばらく安静後に病室へ戻った。
…
学生のころ受けた開頭手術とは、えらい違いだな…
◉学生のころに受けた開頭手術については以下を参照ください。
ー つづく ー
いかがでしたか?
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