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クリエイターズハイ〜一生夢中でつくり続けるための思考と休息〜

作ってますかぁー!!
熱意があれば何でも作れる!

……とは言いますが、正直なところ、熱意だけじゃどうにもならない時ってありますよね?
というか、現場はそんな時ばっかりですよね?

こんにちは、よしとです。
ゲーム開発という名の戦場(現場)でプランナーとして戦い続けて、かれこれ20年になります。

クリエイターの皆さん、経験ありませんか?
「面白いものを作るぞ!」と意気込んでスタートしたはずなのに、気づけば修正の山、終わらない仕様変更、そして死んだ魚のような目をしたチームメイト……。
熱意なんてとっくにガス欠。「もう無理、帰りたい、布団に入りたい」と心がポッキリ折れかける瞬間。

私も何百回もありました。
特にゲーム開発の佳境なんて、もう地獄絵図ですよ。「あれ、私この仕事に向いてないんじゃね?」と、何度枕を濡らしたことか。

でもね、ある時気づいちゃったんです。
その地獄の底で、脳内物質ドバドバの「確変モード」に入るスイッチがあることに。
私が「クリエイターズハイ」と名付けたその状態に入ると、世界が一変します。

ランナーズハイが「走る苦痛」を「快感」に変えるように、クリエイターズハイは「作る苦痛」を「快感」に変えます。このクリエイターズハイには、大きく分けて3つの種類があります。

・トラブルをなぎ倒す「突破のハイ(動的熱狂)」
・0.01秒に没頭する「没入のハイ(静的熱狂)」
・ユーザーに届いた瞬間の「共鳴のハイ(感動)」


この状態に入ると、身体は疲れているはずなのに、指が勝手に動く。アイデアが止まらない。
極限状態の中で、脳のリミッターが外れる瞬間です。

  「え、何それ怖い」と思いました? 大丈夫、怪しい薬じゃないです。

これは、20年の泥臭い経験から導き出した、誰でも使える「思考の技術」です。

この本では、私が現場で見つけた「意図的にハイになる方法」と、その反動で燃え尽きないための「戦略的な休み方」を、包み隠さずお話しします。

さあ、手元のエナジードリンク(500円)を置け。この本(500円)を読んで、脳内から自家発電しようぜ!

第1部:熱狂の技術(脳内設定を書き換えろ!)

第1章:私を突き動かした「一瞬」

1-1. デスマーチの静寂
あれは10年以上前のこと。働き方改革? なにそれ美味しいの? という時代の話です。
(※良い子は真似しないでね! 今やったらコンプラ違反で即アウトだからね!)

時計の針は深夜2時。丑三つ時です。
開発フロアは真っ暗。そんな中、私のチームの島だけが、ゾンビ映画の避難所みたいに煌々と明るいわけです。

聞こえてくるのは、カタカタカタカタ……ッターン! という乾いたキーボードの打鍵音と、PCのファンが唸る音だけ。
会話? ありません。笑顔? あるわけない。
みんなモニターに吸い込まれそうなくらい前のめりで、背中からは「今話しかけたら殺す」という殺気が滲み出ています。

私の手元には、山盛りのバグ報告書と未実装の仕様リスト。
モニターを見つめていますが、正直、もう限界でした。文字が滑って、全く頭に入ってこないんです。

この時、肉体的な疲労以上に私を追い詰めていたのは、プランナーという職種特有の「罪悪感」でした。
エンジニアやデザイナーが必死に手を動かしている横で、私は思います。
「このスケジュールを引いたのは誰だ? 私だ」
「仕様の詰めが甘くて、手戻りをさせたのは誰だ? 私だ」
計画通りに進められていない申し訳なさが、胃のあたりをキリキリと締め上げる。

ふと、不謹慎な妄想が頭をよぎりました。
「もし今、ここで倒れたら楽になれるかな……」
倒れて救急車で運ばれれば、このプレッシャーから解放される。そんな逃げ場のない思考がぐるぐると回る、限界ギリギリの夜でした。

1-2. 逆転の一言:「ラスボス降臨」
そんなお通夜ムードの中で、ふと致命的なバグを見つけた瞬間、私の脳内で何かが弾けました。
極限状態で、思考の枠が外れたのかもしれません。
私はモニターを見つめたまま、独り言のように、けれど周囲に聞こえる声量で呟きました。
「……これ、もうただのバグじゃないな。今日のラスボスですね」
シーン……。
一瞬、キーボードを叩く音が止まりました。「あ、コイツついに壊れたか?」という視線が痛い。
冷や汗が背中を流れます。滑った。完全に滑った。
そう思った瞬間、奥の席のベテランプログラマーが、画面から目を離さずに、ニヤリと笑って返してきました。
「ほう……。で、どのくらい強いの?」
乗ってくれた。
彼は事務的な報告じゃなく、「ラスボス戦」という設定に、阿吽の呼吸で乗っかってくれたんです。
私は即答しました。
「属性不明。HP9999。……今夜中に倒さないと世界(納期)が滅びます」
さらに続けます。
「でも、倒せば経験値ガッポリですよ」
すると、死んだ魚のような目をしていたデザイナーやプログラマーたちが、徐々に生き返ったんです。
「うわ、クソ運営かよ(笑)」
「よし、なら俺が先にデバフ(調査)かけるわ」
「じゃあ私は回復魔法(パッチ)の準備しとく」
「細かいザコ敵(Cランクバグ)は任せてください!」
「コンビニで回復アイテム(夜食)買ってきますね!」

1-3. 謎の確変タイム:クリエイターズハイ
そこからはもう、お祭り状態です。
さっきまでの「やらなきゃいけない残業」が、急に「絶対に負けられないレイドバトル」に変わったんですから。
「こっちのバグ、撃破!」
「デザイナーさん、必殺技(UI演出)撃ちます!」
深夜のオフィスで飛び交うゲーム用語。

端から見たら完全にヤバい集団ですが、当の本人たちはめちゃくちゃ楽しいんです。
不思議なことに、体が嘘みたいに軽い。
思考するより先に指が勝手に動く。「もっと仕事をさせろ! このボスを倒させろ!」という欲求が、疲れを完全に麻痺させていました。
隣の席のアイツはもう「疲れた同僚」じゃない。背中を預けられる「パーティの仲間」に見えました。

気づけば朝チュン(小鳥のさえずり)。
私たちは、徹夜明けとは思えない爽やかな顔で、ラスボス(バグ)を完全攻略していました。

もちろん、これは昔の話。今の時代に徹夜自慢なんて流行りません。
でも、ここで言いたいのは労働時間の長さじゃないんです。
「苦痛」が「快感」に変わった、あの瞬間の心の動きです。

1-4. 奇跡に頼るな、技術でハイになれ
あの夜、私たちが体験したのは、単なる集中状態ではありません。
個人の能力が極限まで引き出され、チーム全体がひとつの生命体のように機能する。
私はこの、仕事の苦痛を凌駕し、人を最高の没入へと誘う状態を、「クリエイターズハイ」と名付けました。

「でもそれ、ただの深夜テンションでしょ? 奇跡みたいなもんでしょ?」
ノンノン。違います。
もし奇跡だとしたら、私たちは毎回地獄を見なきゃいけないことになる。そんなの身が持ちません。
思い出してください。きっかけは、私が放った「これはラスボスですね」という一言でした。
つまり、「見立て(解釈)」を変えるスイッチさえあれば、私たちは意図的にこの状態に入ることができるはずなんです。

次章からは、私が20年のキャリアで見つけ出した、この「現実をゲームに変える思考の技術」を、具体的に解説していきます。
準備はいいですか? コントローラーを握ってください。第2章、スタートです!

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