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【ショートストーリー】 黒歴史

門番「聞くが、お主、黒歴史はおありかな?」
男「ないでがんす!」
門番「ならば即刻立ち去りたまえ。ここには、黒歴史がある人間しか来てはいけない。」
男「いやでがんす!私、ここに入りたいでがんす!」
門番「もう一度いう。黒歴史がある人間しかここに来てはいけない。お主、黒歴史はおありかな?」
男「ないでがんす!」
門番「ならば、即刻立ち去りたまえ。」
男「いやでがんす!黒歴史ないでがんすけど、私も入りたいでがんす!」
門番「だめだ。勢いだけでここには、入ることは出来ない。黒歴史がある人間しか入ることは許されないのだ。」
男「そんなルール、知らないでがんす!だから入るでがんす!」
門番「知らなかったのなら仕方ない、入っていいよ、とはならない。お主、黒歴史がないのであろう。ならば、即刻立ち去りたまえ。」
男「もしかして、がんすダメでがんすか?がんす受け付けないタイプでがんすか?分かりましたでがんす。私、がんす、卒業します。」
門番「別に卒業せずともよい」
男「私、ここに入りたいでもんそ。黒歴史ないでもんそ。入らせてくれでもんそ。」
門番「決して語尾の問題ではない。」
男「お願いでもんそ〜!入らせてくれでもん...ゴホゲホっ!」
門番「お、おい!大丈夫か?お主、無理するでない。語尾を無理するでない。体に合わない語尾を口にするからむせるのだ。ずっとがんすでやってきた人間が、急にもんそに変えようとするのではない。無理をするな。」
男「あ、ありがとうでがんす」
門番「落ち着いたか?よかった。それでよい。お主は、もんそよりがんすが合っている。」
男「え?入っていいでがんすか?」
門番「そんなこと言ってない。ちょっと優しくしてもらったからって、入れてもらえるとかそういうんじゃない。」
男「入らせてくれでがんすよ〜」
門番「情の一本槍で入ろうとするのでない。もう一度聞く。お主、黒歴史はおありかな?」
男「ないでがんす!黒歴史だけは、ねえ人生でがんす!」
門番「ではダメだ。即刻立ち去りたまえ。」
男「なんででがんすか!?なーんで黒歴史がないと入れないでがんすかっ!?」
門番「・・・それは知らない。私には、知らされていない。」
男「知らないでがんすね。なにも知らないのに、上から言われたからそのようにしてるだけの所詮門番でがんすね?」
門番「お主、聞く耳を持たないうえに、ちょっと嫌なこというタイプなのか。なんか今、すっごい嫌な気持ちになったぞ。」
男「えへへ。よく言われるでがんす」
門番「別に褒めてはいない。お主、聞く耳を持たないうえに、ちょっと嫌なこともいうし、そのうえ褒められてもいないのに、褒められたと勘違いするタイプなのか」
男「えへへ。ありがとうございますでがんす。」
門番「いや、だから別に褒めてはいない。」
男「失礼しますでがんす〜」
門番「しれっと入ろうとするのでない。キャラだけで入ろうとするのでない。ダメなもんはダメだ。何度もいうが、ここには、黒歴史があるやつしか来てはいけない。もう一度、聞く。お主、黒歴史はおありかな?」
男「ないでがんす!」
門番「、、、そなた、なぜそんなにかたくななのだ。何もここでエピソードを披露しろともうしてるわけではない。私も私で所詮アルバイトなのだ。その程度の責任感だ。上のものに言われているだけだ。入り口で『聞くが、お主、黒歴史はおありかな?』と聞いて、あると申したものだけを通せ、と。それだけのバイトだ。時給1500円だ。だから本当に黒歴史があるのかどうかなんて知ったことではない。お主、入りたいのであれば、ただ『黒歴史がある』と答えればいいだけのこと。分かったか?分かったな?では、もう一度聞くぞ。最後のチャンスだぞ。聞くが、お主、黒歴史はおありかな?」
男「ないでがんす!」
門番「ないでがんすっ!!!!💢💢💢」
男「え?入っていいでがんすか?」
門番「ダメでがんすっ!うぬぅ!がんすっ!💢💢💢」
男「なんでダメでがんすか〜?」
門番「黒歴史がないからでがんす!!!!!💢💢💢」
男「ガーンでがんすっ!」
門番「もうお前帰れー!」


・・・


そして、時は流れ、30年後。


・・・


娘「おかあさーん。言われた通り『よよ』でログインできたよー。うわ。本当だ。お父さん、めっちゃ記事書いてんじゃん。」
嫁「アカウント削除できそー?」
娘「出来そうだけど、これすっごい量じゃん。お父さん、ずっとここで書いてたの?」
嫁「そうよー。40歳になる前くらいからnoteにエッセイとか変な小説的なのとか、いろいろ書いて遊んでたんだよ。それも急によ、急に始めたのよ、それ。ウケるでしょ?w」
娘「まじかw。こっわ。だいぶイタいじゃんw。ねえ、アカウント消す前に読んでもいいかなー?」
嫁「まぁ、読んでもいいけど、お父さんのイメージ変わっても知らないよー。」
娘「え?どゆこと?」
嫁「noteの中のお父さんは、あくまでnoteの中のお父さんだから、あなたが知ってるお父さんじゃないかもしれないってことよ。」
娘「お母さん、読んだことあるの?」
嫁「ないわよ。私、文章読むの苦手だもん。てか、別に興味ないし。」
娘「確かになー。知らないほうがいいことってあるかもねー」
嫁「ね。お父さんが死んだ今となっては、どっちでもいいっちゃどっちでもいいけどね〜w。それにしてもあれねぇ。デジタルの遺産整理って本当に面倒ね〜。いろんなサイトになんとまぁ。一体、何個アカウント作ってんのよって話だよ、ほんと。」
娘「ほんとそれだね〜。ん。じゃ、消すねー。はい、お父さんの黒歴史、削除っと」



・こぼれ話

#チャレがや  企画に参加してます。お題は「黒歴史」。コッシーさん、みくまゆたんさん、参加させていただきありがとうございます。藤本柊さんのやつを読んで、「お主、黒歴史は、おありかな?」だけ浮かんでしまい、そこからニマニマしながら書きました。楽しかったです。そしてごめんなさい。企画の文字数だいぶ超えてしまいました。2000文字前後になってしまい、すみません。

#みくまゆ会
#チャレがや
#黒歴史

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