【心理学】なぜ私たちは自分を責め続けるのか。心理学が教える回復へのステップ
私は、わずか3ヶ月の間に、三人の肉親を亡くしました。1ヶ月ごとに、ひとりずつ、旅立っていきました。あれからずいぶん時間は経ちましたが、私はまだ、立ち直れていません。
今も、もういない人たちと、会話を続けています。
「あの時、ああしていれば」「もっと、できることがあったはずなのに」
ふとした瞬間に、罪悪感が私を襲います。
あなたも、似たようなことで苦しんではいませんか。相手を想うあまり、自分を「加害者」のように責めて、立ち止まってはいませんか。
この状態は、望ましいものではありません。深い霧の中にいるような気持ちになりますが、霧はいつか晴れます。しかしそのためには、ほんの少しだけ勇気を出して、自分でこの深い霧から抜ける道を探す必要があります。
空の椅子
先ほど言った、この終わらない自責を、心理学では未完了の作業(Unfinished Business)と呼びます。
心理学者フリッツ・パールズが考案した空の椅子(エンプティ・チェア)は、その結び目を解くための手続きです。また、レスリー・グリーンバーグらの研究(2002)は、自分を責めるのをやめ、「本当はどうしたかったのか」という自分の純粋な願いに気づくことが、回復へのひとつの道であることを示唆しています。
実践

エンプティ・チェアの舞台装置は、ふたつの椅子だけです。一つの椅子にはあなたが座っています。もう一つの椅子には、誰もいません。
さあ、実際に始めてみましょうか。今回はほんのエッセンスだけ、お伝えします。まず、正面の椅子に、あなたが今一番「申し訳ない」と思っている人を座らせてください。

ステップ1:後悔を差し出す
「ごめん。最後だと分かっていたら、もっと優しくしたかった」
まずは、その抱えきれない後悔を、すべて言葉にして椅子に預けてください。しゃべっているうちに感情が高まってきても問題ありません。すべての思いを、言葉にしてみましょう。
ステップ2:願いを再確認する
次です。
「私は、あなたを大切にしたかった。あなたに笑ってほしかった」
自分を責めるエネルギーを、相手を想う純粋な優しさへと翻訳し直してください。相手の幸せを願う気持ちが確かにあって、しかし、あなたはそれができなかった。だから自分を責めているのですね。でも、逆なんです。あなたの罪悪感は、幸せを願う願いの裏返しなのです。
ステップ3:その優しさを自分に向ける(役割交代)

今度は、あなたが相手の椅子に座り、自分自身を見つめてください。あなたの切実な優しさを知っているその人は、今、あなたに何と言うでしょうか。
「そんなに自分を責めないで。その優しさを、今は自分自身に向けてあげて」
その人があなたに贈るはずの許しの言葉を、あなた自身の声で、自分に届けてください。
このようなステップで、自分の気持ちを言葉にして相手に伝え、相手の立場に立って考えるとき、私たちのなかに回復への力が生まれるのです。
まとめ:日常で自分を守る「3つの処方箋」
明日から、ふいに罪悪感に襲われたら、このことを思い出してください。
「その声は、あなたではありません」
自分を責める冷たい声は、あなたの本心ではありません。隣で「厳しい裁判官」が勝手にしゃべっているだけだと考えて、自分から切り離してください。
「『ごめんなさい』を『愛したかった』に変える」
「私が悪い」という思いを、「それほどまでに私は相手を大切にしたかったんだ」という「願い」に書き換えてください。
「親友にかける言葉を、自分にも」
愛する親友が同じことで悩んでいたら、あなたは何と声をかけますか? その優しい言葉を、そのまま自分自身にもプレゼントしてあげてください。
結び:穏やかな余白
椅子は空です。しかし、そこにはあなたの大切な人が座っていました。いつも、あなたが心の中で話をしている、あの大切な人ですね。その人を椅子に座らせてみたわけです。そして、その人になってみたわけです。

あなたも、私も、あまりの苦しみで、わけがわからなくなっていたのかもしれません。自分と人との境界線がわからなくなっていたのかもしれません。
けれども、もう自分を楽にしてあげましょう。必要以上に苦しむ必要はないのです。あの方も、あなたが苦しむことは望んでいないはずですから。
相手に注ごうとしたその深い優しさを、これからは自分自身のために使ってください。
本日は、エンプティ・チェアについてお話ししました。
……なんだか、人は亡くなっても心の中で生き続けているようで、不思議ですね。
おすすめの本
空の椅子とは直接関係ありませんが,気持ちを工場にすることの重要性をとてもわかりやすく説得的に説明されています。驚くほど読みやすいですし,内容も今までの心理学の考え方とは異なっており,とてもおもしろいです。超絶,おすすめです。
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