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改作・十二支の話

【注意】
この話はあくまで筆者の妄想です。
お子様向けの十二支の話では全くありませんので、お子様の目に触れないような形でお楽しみください。


第一幕 神様のお屋敷にて

「私は神だ」
「私も神だ」
「年末は忙しいな」
「お伊勢さんや明治大帝、彌彦様のところほどじゃないけどな」
「あそこは日本全国から集まる善男善女だらけだからな」
「名門神社はやはり違うな」
「それはそうと」
「何だ急に」
「年末年始はロードレース流行りだな」
「富士山女子駅伝に全国実業団駅伝、東京箱根間往復大学駅伝競走と続くからな」
「そこでだ」
「藪から棒だな」
「動物たちにロードレースをさせて、先着12匹に年毎に輪番で1年を代表する動物を務めてもらうというのは」
「面白いな」
「早速触れを回すぞ」

「それはそれだが」
「何だ?」
「先々月の出雲での八百万神様サミットの時の移動費、宿泊代に食事代、私が立て替えたはずだがすぐに耳揃えて返してくれないか」
「……実況は松内則三、河西三省、山本照、和田信賢、志村正順、北出清五郎、越智正典、銅谷志朗、向坂松彦、石川洋、山崎正、深澤弘、広瀬伸一、安部憲幸、松本暢章、栗村智、松島茂、河村亮、三上大樹、菅谷大介というメンツをリストアップしているが」
「別にそれを今言う必要はないが?さぁ早く100万円返してくれないか」

こうして極月24日、神様の名の下に
元日、わが正殿に挨拶に来た先着12匹の動物に、1年ずつ輪番でその年を代表する動物になってもらう。ついては元旦の明六ツ時、すなわち朝6時に正殿の門を開放するゆえ奮って参加してもらいたし。ただし、正殿前での徹夜は固く禁止する。
という触が出たのでした。

第二幕 ~12月30日

 神様からのお触れに並々ならぬ決意をもって臨む動物たちがいました。
 まずはネズミです。同じネズミの仲間でもハムスターのような愛玩動物や、浦安・カリフォルニアにある鼠御殿で活躍する世界一有名なネズミはアニメになるなど大人気を博しているのに、自分たちはザ・ブルーハーツの「リンダリンダ」で「ドブネズミみたいに美しくなりたい」と歌われるのが関の山、この状況を何とかして変えねばと思っていました。
 何が何でも神殿一番乗りになりたいと策を弄し、神様からのお触れをまだ見ていない気のよすぎる猫さんに「神様のもとに行くのは1月4日だよ」と大ボラを吹き込み、信じこませてしまったのです。
猫さん、年末年始は神様だって忙しいんだから、今年に限って新年のご挨拶は4日でいいって言ってたのを聞いたよ。それに、猫さんだってニューイヤー駅伝での南波さんの実況や箱根駅伝の平川さんの実況をゆっくり聞きたいよね?」ともっともらしいことを言い、気のいい猫さんもそれを信じ込んでしまったわけです。
 猫、
 ここでなぜ他の動物に確認しない?
 確認できないのか?
 確認したくないのか?
 確認する度胸もないのか?
(©️椎野茂)

数ヵ月前の大チョンボ

 ウサギのラビーちゃんもある決意をもっていました。今を遡ること数ヵ月前、亀さんに挑発的な言動を繰り返して競走に持ち込んだのはよかったのですが、レース中に昼寝という舐めプをした結果亀さんに大負けという極大チョンボをやらかしてしまったのです。
 同じようなことはしたくない、あの悔しさを張らすなら今だ!ラビーちゃんはこれまでのような不規則な生活をやめ、日々続けていたランニングに加えて食生活にも気を配り当日に備えたのでした。

 ただし、当の亀さんのエントリーはありませんでした。
 亀さん曰く「わらわは瑞祥動物じゃ。瑞祥動物がこのような競走に出る意味などないわ。」

年始名物・鶴と亀の演藝

 鶴さんと亀さんは年末年始忙しいのです。瑞祥動物ですから!かつての染之助・染太郎師匠や現代におけるクールポコ。みたいなもんですわ。
 ほかにも、「アフリカから遠すぎるし、百獣の王である余が出るわけにはいかぬ」という理由でライオンが、走るのには自信がないという理由で象などが出場辞退の声明を出していたようです。
 キリンに至っては、スポークスマンを務める明智光秀の格好をした俳優にこう⬇️言わせて出場辞退しました。

キリンは来ない。

第三幕 大晦日~ レース開始!

 こうして大みそかの夜を迎えました。
 一番乗りを目指してゆっくりと歩を進めていた牛さんを見かけたネズミ、言葉巧みに近寄ります。
「牛さん、どうしてこんな時間から神殿に歩いているの?」
「ンモー、自分が一番になるためには今の時間帯から歩いて行かないと間に合わないのよー。今回のレースでフライングしても児島競艇の椛島アナウンサー、宮島競艇の土谷アナウンサーや浜名湖競艇の山口アナウンサー壊れることはないからねー。

「ぼく子供でちゅからそんなこと言われたってよくわからないけど、一緒に一番になりたいから背中乗っていい?」
「うん、いいよー!」

 …大体マラソン大会で「一緒にゴールしようねー」とか言ってるやつに限って抜け駆けをするのがいつものパターンなのですが…
 恐ろしく気の優しい牛さんはネズミを背負って神殿へと一歩一歩、着実に歩みを進めるのでした。

コーチン兄貴(中央)

 一方、別ルートで神殿を目指していた元々そりの合わない猿と犬、レース中にもかかわらず喧嘩をおっぱじめていました。
 長州と大仁田の間で繰り広げられたまたぐなよ問答、さらには長州と橋本によるコラコラ問答を繰り広げる始末。
 とうとうつかみ合いに発展しかけたところ、尾張弁を話すコーチン兄貴に諭されてしまいました。
おみゃーら、今はレース中だがや!喧嘩するんならレースの後にせぇ!俺の前に猿が走って、犬は俺のあとをついてくる格好で走ってこい!これなら文句にゃあだろ!」(Gemini先生による尾張弁訳)
 犬としては面白くありません。猿どころかコーチン兄貴にまで順番を譲れと言われてるわけですから。ですが、大事の前の小事、しぶしぶコーチン兄貴の言を容れることにしました。

 そしてウサギのラビーちゃん、今回は睡眠時間も十分、トレーニングの成果もあり着実にゴールに向かってラップを刻んでいました。
 必ず一着を取るんだ、その意識を持ち、脳内でZARDの負けないでを流しながら快調に走っていました。

第四幕 元旦

 神殿の門に設けられたゴールまで残り10メートル、牛さんの背中が気持ち良すぎて熟睡していたネズミ。
 その時です。開門時刻の明六ツ時を迎えました。太鼓櫓の番人が太鼓を叩き、さらには門番が大音声で「開もぉぉぉぉぉぉん!!!!!!!!!」と叫んだのです!!!
 この大音声で目を覚ましたネズミはゴールが近づいていると気づき、競輪でマーク屋の選手が先行選手をゴール直前でチョイ差しするかの如く一気に先頭に躍り出て、そのまま一番乗りを果たしたのです。
 してやったりの表情のネズミ、見事今年の代表動物を勝ち取ったのでした。へけ。
 惜しくも2番手に終わった牛さんでしたが、表情は晴れやかでした。
「ンモー、一番にはなれなかったけど、国会議員の先生が昔『2位じゃダメなんですか?』と言っていたし、2番ならまぁいーかー。」
 つくづく気が優しい牛さんですね。

 次いでゴールしたのは黄金の虎4代目、もとい虎の覆面を被ったプロレスラーでした。まさに「虎は千里行って千里帰る」という言葉がぴったりでした。
 「昨年の私のひいき球団も3位、私も3位とは。まぁ、致し方ないな。だが、悪の超人レスラーからベルトを引っぺがしてチャンピオンのまま7月に引退という夢の第一歩だ。今日のところはこの順位で満足しておこう。」
 4着は優勝狙いで順調にラップを刻んでいるように思えたウサギのラビーちゃんでした。まぁ、策士のネズミ、事前準備を重ねてきた牛、千里行って千里帰る虎に勝てないのは仕方ないところですが。
「あーし、頑張ったのにこの着順?もう信じらんない…」
 それでも4着ですからね。宿敵の亀さんが出走辞退した中、1着を狙ってのレースっぷりは褒められるものですよ。

 5番手に入ったのはRampage Dragonという2つ名を持つ龍のスカジャンを着たツッパリ、6番手には蛇女がゴールしました。
「俺の時代が、キタキタキター!っておい、俺の時代は4年後にならなきゃ来ねぇのかよ!」
「あたりまえじゃこの田舎モンが!てめぇにだけは負けたくなかったのによぉ!」
「せっかく嫁のなつみにいい結果を伝えたかったのによぉ!」
「職場結婚みたいなことしてんなこの田舎モンが!」

 7番手に入ったのはウマ耳少女(CV:和氣あず未)です。
「トレーナーさん、有マ記念もパスしてこのレースに出たのに、とっても悔しいです…」
「スペ、負けたことがあるってんのがいつかいい経験になるぞ。さぁ、AJCCに向けて仕切り直しだ。トレーニング頑張ろうな。」
トレーナー(CV:沖野晃司)にこう言われてその場を去るウマ耳少女でした。
 後日、このウマ耳少女、AJCCから天皇賞(春)まで快進撃を続けたと聞いてます。その後も天皇賞(秋)とジャパンカップを勝ったそうな。

 8番手に入ってきたのは羊のミユキさんです。野球教室をほっぽり出してこの大会に出た結果が出てよかったですね。
 「ハァ…ハァ…ニュージーランドでトレーニングした甲斐がありました…また暑い時期になったら丸刈りにして、この毛でみんなのために服地を作らなきゃ…」
 あ、北海道の星印のビール園にも気をつけましょうね。


 9~11番手にはコーチン兄貴に仲裁された猿、コーチン兄貴、そして犬が順番を守ってゴールしました。
 コーチン兄貴のことだけはちゃんと聞く犬と猿でした。

 ゴール後、またしても犬と猿との間で口論が発生して競走委員に止められたと聞いてます。某ドラマでの池松壮亮と大東駿介じゃあるまいし…

イノシシのジーンブラスター

 ラストの12番手争いではとんでもない事態が発生。12番手を走っていた豚が、背後からのイノシシのジーンブラスター(プロレスラー・辻陽太のフィニッシュホールド、ただこの場合は矢野通の質の悪いタックルに近い)により突き飛ばされ、イノシシが12番手で入線しました。
(参考として、矢野通の悪質タックルの資料記事をおいておきます)

 当然、審議になりましたがエクストリームルールを採用し、審判長が危険と見なさなかった日本では着順通りで確定。
 一方の中国や韓国ではこのタックルが危険なタックルと認定され、被害を受けた豚が救済措置で12番手に認定、イノシシは失格と判断が分かれる結果になりました。

 かくして12匹の動物が「十二支」と認定され、神前での饗宴に参加できたのでした。

最終幕 騙されて門前払い

 さて、騙されたとは気づいていない猫さんです。1月4日の早朝、悠然と家を出て神殿に向かったものの一向に門が開く気配がなし。いくらたたいても全く反応がなし。杉内俊哉や杉山一樹のように拳が折れるくらいたたいても開門する気配がありませんでした。

 ようやく出勤してきた門番に聞いたところ、すでに十二支決定レースは元旦に終了していることを聞かされ、泣きわめく猫さん。
 ここでようやく自分がネズミに騙されたと気づいたのでした。

オノレこのクソドブネズミ!!!! 自分が1位になりたいからって私を騙しやがって…許さん!!!!!!!!!!!!
 怒りに任せてネズミ宅にテ〇ドンや濃縮ウ〇ン弾をぶっぱなす勢いにまで震える猫さん、すぐさまネズミ宅にカチコミかけてネズミをぼろ雑巾になるまで殴り倒したと聞いております。

 それからというもの、一方的に恨みを抱いた猫は、ネズミに対する報復攻撃を現代まで続けているとのことです。

 ただねぇ、事前に他の動物たちに話を聞いとけばよかったんですよ、猫は… やっぱり報・連・相は大事なんですよ。まぁ、今さらそれを言っても始まらないんですけどね。

 十二支のはじまり、これにて読み切りでございます。

安蔵 筆
Gemini先生 画

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