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世代による生き方の違い〜おまじないとのろい〜

高校1年生になってから何日か過ぎたある日、ふと気晴らしに私は近所を散歩していた。

まだ時刻は16時30分を過ぎたところで、通る人の数は多からず少なからず、といったところである。

あてもなくのんびりと歩いていると、一戸建ての家が5つくらい建てられそうな広さの、公園が見えてきた。

私が小学生の時、学校から走って帰って、また家を出て急いで向かって、全力で駆け回って遊んでいた公園には、誰1人いなかった。

私たちの時代であれば、ちょうどこの時間帯なら競ってブランコの取り合いをしていたぐらい、公園は大人気の遊び場だった。

例えそれが、手足が凍るほど冷たい冬であったとしても、顔から火が出るほど暑くて仕方ない夏であったとしても、私にとってそんなことは全く関係なかった。

まだスマホという携帯電話が、世の中の隅々まで行き渡っておらず、もちろん私はWiFiとかギガとかいう言葉は全く知らなかった。

遊ぶものと言えば定番のおにごっこやかくれんぼをしたり、公園で3DSで【とびだせどうぶつの森】や、【マリオカート7】をプレイしていたことしか記憶にないほどだ。

しんみりとした、かつ誰も見てくれない飾り物の、この寂しいオブジェは、存在する意味を見失ってしまったかのように見えた。

私は今が春だというのに、公園の木から薄ら寒い風を感じて、思わず身震いをした。

私は誰もいないこの場所から、何か理解できないものを感じて、逃げるように去った。

その時、いつの間にか現れた、ランドセルを背負った小さな少年4人と少女3人が私の横を過ぎた。

「今日は、いつものようにLINEで通話を続けながら、アニメとか映画とか見ようぜ」

「賛成、じゃ、早く家に帰ろう!」

「「「「「うんバイバイ!」」」」」


それを聞いた私は、その時全員がスマホをもっていることに驚いた。

まだ小学1、2年生のはずなのに.......

私はその日の散歩はやめて、真っ直ぐに家へ戻った。





何故か体がだるくなった私は、気分でも変えようと思った。

自分の部屋で、数学の課題をしようと思って、私は参考書とルーズリーフを取り出そうと、学校のリュックを漁った。

ルーズリーフしかなくて、参考書は何処にやったんだと焦っていた私に、ふっと友達のことが浮かんだ。

ーーそうだ、持ってそうな友達に写真を送ってもらおう。

近くにあった携帯を引っ掴んだ時、classroomから通知が来た。

たまたま数学の先生からの通知だったので、パッと開いた。

「課題は、Libry上で必ずチェックすること」

その文面を見た瞬間に、私はLibryで参考書を見ることが出来ることを思い出した。

良かった良かったと思いながら、Libryのアプリを起動した直後、友達からLINEの通知が来た。

見たところ、私の大好きなアニメのキャラの話だった。

もちろん、真っ先にやらなければいけないのは数学の課題だ。

でも、私は、好物である、甘い蜜がかかったフレンチトーストが目の前に吊り下がってるような誘惑に、すっかり引き寄せられてしまった。

だって、目の前で、美味しそうな匂いで誘ってくるようなのに、そのまま無視なんかできるはずない。

最新話のアニメの話で、前から興味をもっていた私は、直ぐに友達とLINEで話し始めた。

すっかり2時間近く、スマホと仲良くしているうちに、結局数学の課題のやる気を失い、そのままベッドに横になった。

目を瞑ったまま、今日の1日を振り返る。

私は散歩しながら、賑やかとは正反対な公園を見て、違和感を覚えた。

家に帰ってきてから、数学の課題をしようとLibryを起動したが、友達との会話に花を咲かせてしまった。

全く進まなかった宿題は、まだ私の肩にのしかかったように、張り付いている。

そう思って、私はスマホの良さと怖さを考えた。

ーーーーー誰もいなくなって、枯れた花のように成り果てた公園。

私は昔、あそこを何度も利用したし、思い出もいっぱいあった。

でも、今の子供達は、スマホで一緒にアニメとかを見る時代なのだ。

それこそ外で遊ぶことなんか、まるで知らないみたいだった。

そんなの、私の時代ではありえないことだった。

スマホなんて、小学校低学年で持ってるなんて見たこと無かった。

そんな幼い子達が、LINEなんかを使いこなして、危なくないかと心配になる。

今でもSNSの誹謗中傷は止まらないし、ニュースでいじめの被害者が自殺した事件だって、減るどころか解決する道筋でさえ見えないのが現状なのに。

そう考えると、スマホの持つ影響力の強さに、怖いほど驚かされる。

でもメリットだってある。

今日みたいに、私が参考書を忘れた時、友達が写真で送ってくれないか頼もうとした。

これは、LINEがあるからこそ成り立つものだ。

Libryで、参考書の問題を見ることもできるし、そのまま先生へ課題提出だって完了させられる。

だけど、携帯を使ったからこそ、課題が進まかったこともまた事実だった。

友達と話し過ぎて、結局手が付けられなかった。

スマホがなければ、今の時代、生きることができないほどに、世の中の隅々まで散りばめられた、便利な電子機器。

マップだって、分からないことだって、電話する時だって、写真を撮る時だって。

小説を書く時だって、手書きで書くことなんてほとんどない。

これらは全て、スマホが代わりを担っているのだ。

もちろん、裏の面もある。
視力の低下や学力の低下、自己主張の低下。

個性がなくなって、何もしていないのにいじめの標的にされることだって、そんなことはないだろうとは言い切れない。

全てのことを踏まえて、スマホが生まれたことは良い事なのか、悪いことなのか?

ーーーまるで、美しく咲き誇る薔薇でさえも、近づけば棘に触れてしまって、指から血が出るように。

そこまで想像してしまった私は、何となく納得できず、スマホに対しての懐疑心を膨らませながら、閉じていた目を開けて、今日はもう寝てしまおうと、電気を消した。

家族に今から寝るよと告げて、部屋の電気を消した。

再び横になって、スマホで目覚ましを設定する。

やっぱりスマホは必要だな。

そう思って、スマホをベッドサイドの机に置いた。

ーーーなかなか寝付けない。

やっぱり考え過ぎてしまったのか、目を閉じても眠気が一向に襲ってこない。

ーーそんな中、ブブーと何かが振動した。

びっくりして、体を跳ね起きさせて、振動の元に手を伸ばす。

それは、私のスマホだった。
見ると、「非通知設定」と表示されている。

ーーー怖い。
ーーーー今までそんなこと無かったのに。
ーーーーー助けて。

何とも言えない恐怖に、手からスマホが滑り落ちた。

パニックになった私は、頭から布団を被った状態で、そのまま足を丸めて蹲ってしまった。

まだ、携帯のブザー音が鳴り止まない。

ーーーーブブーブーブブーブブーブブー.........

無機質なその音は、私を極限まで震わせるのに十分だった。

やがて、やっとブザーが鳴り終わったが、それとは対照的に、私の心臓は穴が開くほどドクドクと波打っていて、体は汗で全身がジメジメと濡れていた。

そろりそろりと布団から這い出ると、私はスマホを震えが収まらない手で掴んで、非通知電話の履歴をすぐさま消した。

そのままベッドから出て立ち上がって、上がった息を整えてから、部屋を出て向かいの部屋にある姉の部屋をノックした。

はいはーい、とこっちの気も知らないような穏やかな声に、今は非常に感謝した。

姉が部屋のドアを開けた時、私はすぐに、この携帯、朝まで持っててほしいと頼むと、まだ困惑している姉に、私のスマホを押し付けて、自分の部屋に戻った。

また布団を被って、体を丸めさせて、必死になって目を瞑った。

ー脳裏に浮かぶのは、あの無機質な携帯電話。

その日は、刹那の間ですらも、眠れなかったのを記憶している。






あの夜、ずっと布団の上から何かがのしかかっているような感覚。

それは、半年経った今でも、消えることは無いのである。



【了】













《あとがき》
皆さん、こんにちは〜!
最後まで読んで下さって、ありがとうございます!
文芸部の一員として、頑張ります!
改めましてこれからよろしくお願いしますね。

さて、今回の小説についてですが、私はなんと初めて、ホラーに挑戦してみました。
皆様、如何でしたでしょうか?
ホラーと言っても、様々な種類がございますよね〜。
私の場合、ちょっと、世にも奇妙な物語に似ているような感じのホラーですね。
楽しんで頂けると幸いです。

また、今回の小説では、「私」が主な登場人物です。
これには理由がありまして、今を生きる皆さんが、共感できてかつ自分の事のように読んで、没入しながら体験できる、ちょっと新しい小説の形にしようと考えたからです。
どうでしたか?没頭できましたか?
少しでも、自分の体験のように感じて、読んで下さると嬉しいです。

それでは、今を生きているあなたに、風鈴のような穏やかな佳い未来が訪れる時、また会いましょう!

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