極地のジャジューカ
気がつけば、無職最初の一ヶ月は光の速さで過ぎ去っていった。
朝、窓ガラスと鏡を磨き上げ、玄関のたたきを拭き、コーヒーを飲み、ノートを書く。
徐々に空が濃くなり、夕焼け小焼けを聞く頃に、地平のオレンジに心奪われながらジムへ歩く。
「人はいつ死ぬかわからない。だから、人生を尽きることのない泉のように思ってしまう。
だが、物事が起きる回数は限られている。それも、驚くほど少ない回数だ。
あと何回、満月が昇るのを見るだろう? おそらく、あと20回。
それなのに、すべては無限にあるように思えてしまうのだ」
満月を見るにつけ、桜を見るにつけ、このセリフを思い浮かべる。
ここ最近は、夕日が美しすぎるたびにも。
シェルタリング・スカイは恐ろしい作品だ。
絶望しかないのに、「守ってくれる空」がギリギリある。
あの世と(砂漠)世俗との境目で彷徨い、砂漠に拒絶される。
茫然自失、前後不覚な中、原作者に言わせるこのセリフ。
全体を覆うヒリヒリした虚無。
坂本龍一の音楽が異国情緒を匂わせる。
「エッジ」や「空気」が好き。
自分の中の引き出しを開け閉めしながら楽しむ無職時間にも、エッジをどこか感じているのだと思う。
今回新たに調べたら、ボウルズは、ジャジューカに傾倒していたらしい。
興味を覚え、どういう音か聞いてみた。
・・・スネークマンショーを思い出した私は、まだまだエッジの手前にいる。
