【水回りの設えとリズム】《vol.19》|「用の美」を求めて――「第2のリビング」を形にする機能とデザイン【実例】
前回は、洗面所を「第2のリビング」と定義した
思想について書いてみました。
今回は、その理想を
具体的にどう形にしたのか。
実例編をお届けします。
目指したのは、
使い勝手の最大化と
インテリア性を両立させること。
そこは最初から正解があったのではなく、
暮らしの「今」にフォーカスし
実験しながら、改善を重ねた
プロセスです。

我が家の第二のリビング
使い勝手を最大化する、造作カウンター
わが家の洗面台は、フルオーダーの造作です。
計画当時、
希望の要件をすべて満たす既製品が見当たらず、
ならばと、自分たちでゼロから設計することに。
無垢材にするとコストは上がりますが、
そこは「引き出しを作らない」という引き算で
バランスを取りました。
カウンター下をあえてオープンにし、
無印良品のラタンバスケットが
ぴったり収まるサイズで設計。
埃が溜まりやすい、というデメリットより
通気性の良さと、ワンアクションで取り出せる
機能性を優先したものです。
また、150cmという横幅も
こだわりのひとつ。
ホテルのような「2ボウル」に憧れもありましたが
掃除の手間とコスト面より
シングルボウルに。
夫婦それぞれのパーソナルスペースが確保でき、
物理的なゆとりが、心の余裕を生む装置に
なっています。
カウンターにはゴミの投入口を仕込み、
床上は、体重計用が仕舞えるよう
スペースを設けています。
掃除機をかけるとき、ゴミ箱をどかす手間や、
通路で邪魔にならない工夫です。

こだわった分、愛着がわくカウンター

洗濯・掃除関係をまとめて
隠す収納でノイズを静かに
生活感が出やすいアイテムを
いかに視界から消すか。
ここは設計段階で綿密に計画したポイントです。
三面鏡の内部にあらかじめコンセントを配置し、
ドライヤーやシェーバーを「充電しながら隠す」場所を定位置に。
さらに、ティッシュボックスも専用の取り出し口を設けて
内部に格納しました。
少し濡れた手でティッシュを取る際、
雫が垂れてしまう——。
そんな、いつも気になっていたストレスを解消しています。
とはいえ、計画通り行かなったところも。
後日、ドライヤーの機種を変えたことで、
収納に収まらなくなってしまいました。
今は来客用のペーパーふきんの
ストック場所として活用しています。
状況に合わせて頭を柔軟に切り替える応用力も、
家と一緒に育てていきたい力です。

ドライヤーやシェーバー用に

ペーパーナプキン入れに
下段は作り付けティッシュペーパーホルダ
「好き」をあきらめないための下地と、愛着のペイント
開放感を損なわない壁面収納として選んだのは、
「string pocket」。
この「後付けの自由度」を確保するために、
壁の内部にはベニヤ板の下地を仕込んであります。
「どこにでもビスが打てる」という安心感は、
暮らしの変化に合わせて、
いつでも「好きなもの」を設置できるという、
贈り物のようでもあります。
そして、わが家の洗面所を象徴するグリーンの壁。
イギリス「Farrow & Ball」の塗料を、
自分たちの手で塗り上げました。
洋画で見る
「壁をペイントする風景」への憧れを実現した、
大切な場所です。
段取りを相談し、丁寧にマスキングをして、
夫婦でローラーを転がした作業時間。
多少のはみ出しも、
今では愛おしい味わいになっています。
自ら考え、悩み、手を動かしたプロセスが、
今も続く「家を育てるモチベーション」の
源泉です。


隠蔽配線にできず悔やまれる
Journal Schedule
「暮らしの旅の記録」は、毎週 水曜日と日曜日に更新しています。
4月のテーマは、「水回り」。
朝のはじまりと、一日の終わりの場所。
気持ちよく使えていますか?
またこちらでお会いできますように。
