月曜21時の渋谷。私が「日本油党」で背脂ブラックの暴力に身を委ねたロジック。
週の始まり、月曜日。 渋谷での取引先訪問をクローズしたのが21時前。 その瞬間、張り詰めていた緊張の糸が切れると同時に、猛烈な空腹感が私を襲った。脳みそも胃袋も、完全にエネルギー(キャッシュ)を使い果たして空っぽだ。
「今夜は大人しく帰って、体に優しいものを食べるべきか?」 理性のコンプライアンスはそう囁いていた。だが、週明け早々のハードワークで傷ついた心身が求めていたのは、そんなマイルドなリスクヘッジではない。もっとガツンとくる、圧倒的な「リターン(背徳感)」だった。
気がつけば私は、渋谷の街にそびえ立つ、黒い看板に赤い「油」の文字が光るあの場所に吸い込まれていた。 「日本油党 渋谷総本部」。
券売機の前で、私は一切の迷いなく、最も攻撃的なボタンを執行(プッシュ)した。 「ブラックジャンク油そば」――しかも、資本(麺)を最大化する「大盛」だ。
カウンターに座り、ジャスミン茶を飲みながら待つこと数分。目の前にデプロイ(着丼)されたそのビジュアルを見た瞬間、私の脳内ガバナンスは完全に崩壊した。

丼の底に潜むのは、焦がしニンニクの風味がバチコーンと効いた真っ黒なマー油と、濃厚な醤油ダレ。その上には、シャキシャキのモヤシとキャベツがマウンティングされ、手前には凶暴な存在感を放つ極厚のチャーシューが鎮座している。 そして何より目を引くのが、丼の左側にこれでもかと大量に敷き詰められた、まるで雪景色のような「背脂(アブラ)の塊」だ。
油そばの基本ロジックは「混ぜる」ことにある。 私は箸とレンゲを両手に持ち、この足し算の暴力を極めた具材たちを、底に眠る漆黒のタレ、そして極太麺に向かって一気に、ガガガッと強制マージ(攪拌)させていく。アブラがタレに溶け込み、麺が黒く艶やかに染まっていくそのプロセスだけで、すでに白米が食えそうなほどの引力がある。
準備は整った。豪快に麺を掴み、一気にすする。
――その瞬間、脳のコンプライアンスが完全にバグった。
口の中に爆発的に広がるマー油の香ばしいコクと、醤油のキレ。そこに背脂の圧倒的な甘みと流動性が加わり、極太麺がそれらを完璧に絡め取って喉へと滑り込んでいく。 「美味すぎる……」 ヘルシーさや丁寧な暮らしなんて言葉を、文字通りロスカット(損切り)した先にある、ジャンクの極致。化学調味料とアブラのシナジーが、疲弊した脳細胞に直接インカムゲイン(幸福感)を叩き込んでいく。
分厚いチャーシューを噛み締め、タレの染みた野菜を挟みながら、大盛の麺を夢中でかっ食らう。月曜日の夜に、渋谷のど真んでこの背徳感に身を委ねる。これこそが、大人のビジネスマンに許された最高のサバイバル術(ストレスヘッジ)なのかもしれない。
最後の一口を飲み干し、完全に利益確定(完食)。 あれほど空っぽだった身体には、今週残りのマーケットを戦い抜くための余力(キャッシュ)が、これでもかとパンパンにチャージされていた。
