タンザニアで情けなくて大泣きした苦い夜。
まさか自分がタンザニアで大泣きするとは思わなかった。
タンザニア4日目。
昨日は知り合ったドイツ人に、彼の友人の家へ招待された日だった。
そこでたくさんもてなされた。でも、最終的に自分は大泣きして帰ることになる。
そのドイツ人とは、偶然カフェで出会った。

席が近くて、ふとしたきっかけで話すと、彼はタンザニアに1年も滞在しているという。
自分がローカルフードに興味があることを伝えると、「友人の家で一緒に夕食どう?」と誘ってくれた。
正直、かなり迷った。
いい人そうだけど、今日会ったばかりの人。
しかもアフリカの家庭に招かれるなんて、未知すぎる。
でも、
断ってばかりでは、何も始まらない。
荷物は最低限にして、「えいや」の気持ちで飛び込むことにした。
彼らはバイクでホステルの前まで迎えに来てくれた。
ドイツ人も、彼のアフリカ人の友人も、どちらも優しくて安心した。
家に到着すると、5人ほどの家族が暮らしていた。
彼の兄弟たちと、お母さん。

「ここは君の家だと思って、くつろいでくれ」
そう言ってもらい、アフリカの伝統的なアルコール「バナナビール」が振る舞われた。

ちょっと苦みがあるけど、バナナの風味もあって飲みやすい。
「おいしいね!」と笑って、コップ一杯をすぐに飲み干した。
次に普通のビールも出てきて、外で買ってきたであるローカルフードも振る舞ってくれた。
このあたりから、もてなされているのは分かるけど、反して自分の中には居心地の悪さが生まれてきた。
なんでこんなにもてなしてくれるんだろう。
ただでビールを飲んでいいのかな?
ドイツ人がお金を渡してるのも見えたし、自分も出した方がいい?と聞くと、
「気にしなくていい」と返ってきた。
でもたぶん、こうやってもてなされる経験が少なすぎて、戸惑ってしまったのだと思う。
自分は英語も得意じゃない。
何か話しかけてくれても、理解できなくて曖昧に返事をしてしまう。
そして差し出されるビールを飲むうちに、だんだん酔いがまわってきた。
酔えば、少しは楽になれるかと思ったけど、逆だった。
余計に話がわからなくなり、不安の方が大きくなっていく。
彼らが何かを話しかけてくれる。
でも、それが何か分からない。
酔いもまわり、言葉も通じない。
しかもアフリカに来てから「無料ほど怖いものはない」と何度も学んできた。
実際にぼったくられた経験もあった。
だから…
「もしかして、だまされてる?」
そんな疑いすら浮かんでしまった。
結論から言えば、そんなことは全くなかった。
ただ純粋にもてなしてくれていただけだった。
でも、自分の中ではもうパニックだった。
するとアフリカ人の彼が言った。
「君は一体なにがしたいんだ? 何か欲しいものがあるのか? くつろいでくれって言っただろ? 言ってくれないと分からない!」
彼の言葉の断片だけは、なんとか理解できた。
怒っていることも分かった。
でも英語が断片的にしか聞き取れなくて、何も返せない。
混乱して、「I’m okay」としか言えなかった。
すると、さらに彼が言う。
「お前は帰りたいのか? だったらそう言え!」
その言葉に、泣きそうになりながら答えた。
「ごめん。飲みすぎて、疲れてて、帰りたい。」
もてなそうとしてくれたのに、
言葉も出てこなくて、空気も読めなくて、
ついには相手の優しさすら疑ってしまった。
そんな自分が情けなくて、
家を出た瞬間、涙が止まらなくなった。
「ごめん、あなたたちの優しさは伝わったんだけど、英語が分からないし、飲み過ぎて、パニックになってしまった。」
そうドイツ人に伝えると、彼とアフリカ人の友人は、
「大丈夫だよ。気づいてあげられなくてごめんね」と言って、
バイクでホステルまで送ってくれた。
自分がこんなに狼狽したこと。
もてなしを疑ってしまったこと。
酔いすぎたこと。
会話についていけなかったこと。
いろんなことが情けなくて、
ホステルの部屋に着いた途端、泣きながら嘔吐して、寝込んでしまった。
一日経って思う。
これは、自分の苦手な状況がいくつも重なった夜だった。
•未知の場所で、準備ができない
•英語もスワヒリもわからない
•空気が掴めない
•酔って、思考も不安定
•知らない人の中で話さなければならない
•ホステルへの帰り方すらわからない
そもそも自分は、日本でも複数人での会食が苦手だ。
今回は、そこにあらゆる不安が重なった。
なんとも情けない夜だったけど、
あの夜のおかげで、自分のことがまた少し分かった。
・未知の中に飛び込むのは、想像以上にストレス
・言葉が通じないというのは、ものすごく不安
・もてなされすぎると、戸惑ってしまう
「繊細すぎるなあ」と、日本にいた頃から思っていたけど、
改めて、自分の苦手を知る体験になった。
でも、
そんな中で、飛び込んだ自分の一歩は、やっぱりすごいと思う。
だからその一点は褒めたい。
この夜の体験は情けなくて恥ずかしい。
だけど同時に、相手の掛け値のない優しさと、自分の限界にも気づけた体験だった。
相手は優しかったし、たくさんもてなそうとしてくれた。
だけどそれは自分にもちゃんと準備ができてないと受け取れない。
自分がどんな風に混乱し、何が苦手で、取り乱してしまうのか。
それを自分の記憶に刻み次に活かしたい。
異国の地では思い通りにならないこともあるけど、それが旅だとも思う。
もしも次に「お前はどうしたい?」と聞かれたら、どう答えるだろう。
多分はっきり伝えた方が良いのだろうと思う。
英語がわからないんだ。
少し疲れたからもう帰りたい。
もうお酒もいらないよ。
多分はっきり伝えないと相手も混乱してしまうのだと思う。
逆にいえば、ちゃんと自分の意見を尊重してくれるはず。
その経験値を今自分は貯めてるのだ。
だからこそ昨日の体験はやっぱり素晴らしかった。
苦い経験は記憶に刻まれて、次に活かす事ができるから。
また自分のペースでやっていきます!
