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夕陽を予報し、音楽にする。日チル会って何?代表・大間秀章が語る、活動の原点とこれから

取材編集:Studio Hybrid

日が昇る国、日本。その一方で、夕陽に注目し、独自の活動を続けている協会が存在します。
一般社団法人日本夕陽を観てチルアウト協会の設立者であり代表理事を務める大間秀章氏に、協会のこれまでの歩みと、夕陽予報、そして夕陽を音楽にする取り組みまで、その現在地を聞きました。

大間秀章さん ©Studio Hybrid

一般社団法人日本夕陽を観てチルアウト協会とは?

――初めからそもそもの話で恐縮なのですが、一般社団法人日本夕陽を観てチルアウト協会とはどのような協会なのでしょうか?

大間秀章さん以下、大間) 嘘みたいな法人名なので、一見するとよくわからない協会ですよね。日本夕陽を観てチルアウト協会(以下、日チル会)は簡単にいうと、日本中にある素敵な夕陽で地域を盛り上げたい。日本の夕陽シーンを盛り上げたい。そして夕陽文化を広めたい。と考えて活動をしている協会です。具体的な事業としては、全国の夕陽予報や快適さ(チルアウト)を指数化したチルアウト予報の開発や提供を行っています。また最近始動した新たなプロジェクトでは、夕陽を音楽にする試み、日チル会Music Labも企画運営しています。夕陽を起点に文化や地域、音楽、体験などを繋ぐことを目指しています。
ちなみに蛇足ですが、「一般社団法人日本夕陽を観てチルアウト協会」という法人名、文字数が多くて、法人印作成時に発注をお願いしたハンコ屋さんに「あと一文字でもオーバーしてたらハンコ作れなかったよ!」と言われた経緯があります。

――確かに長いですし、失礼ですが本当にそんな法人があるの?って名称と思ってしまいました。協会設立のきっかけは何でしょうか?

大間 自分のこれまでのキャリアと海外の旅先で観た夕陽。それとアイデアの具現化をしたかったのが設立のきっかけです。まずキャリアの話なのですが、自分は大学卒業後からこれまでに気象職と心理職の経験があって、その異なる専門職の経験を掛け合わせた何か新しいことをしたいなと漠然と長い間考えていたんです。
そしてあるときに海外を旅したのですが、その旅先で観た夕陽がとても素晴らしかった。その体験もあって協会設立とその先の活動のヒントを得たんです。

海外を旅した時に出会った夕陽がヒントに

――その旅先で観たという夕陽と活動のヒント。アイデアとは具体的にどのようなものだったのですか。

大間 海外の旅先で訪れた遺跡から観た夕陽なのですが、そこは有名な夕陽観光スポットということもあって世界中から国籍、人種を問わず様々なツーリストが集まっていました。その場所で観た夕陽が素晴らしかったのはもちろんのこと、世界中から人々が集まって、みんなでただ夕陽を眺めてチルしている。あの原始的な時間がなんともえいない体験だったんです。
で、その時に気がついたのですが、ここで観た夕陽というのは考えてみると数時間前に日本で沈んだ夕陽なわけなんですよね。当たり前の話ですが日本は極東にある国なので、世界のだいたいの国よりも先に夕陽が沈みます。ですからこの旅先で観た夕陽は同じく日本でも観られるんじゃないかとハッとしたんです。つまり同じような感動体験は日本でもできるし、この場所と同じような夕陽&チルスポットは日本にもあるはずだと。

大間秀章さん提供 旅先で出会った夕陽

――なかなかエモいエピソードですね。

大間 そう言われるとエモいかもですね。この体験をきっかけに先々のビジョンやヒントを得た。そしてアイデアを形にしていこうと思ったんです。まさに「ここが私のアナザースカイ!」ってやつです。
話は少し変わりますが、以前にサウジアラビアの方と話したことがあるのですが、その方が「サウジでは砂漠で夕陽を観る習慣がある」と言っていたんです。それが宗教的なものなのか?デザートサファリ的なアクティビティとしてやっているのか?はたまた、その方が個人的にやっているのか?は不明ですが、「夕陽を眺める時間は大事だ」と言っていたのが印象的でした。
先ほど話した遺跡で観た夕陽でもそうだったのですが、国籍、人種を問わずみんなが「いいね!」と思えること。人類が持つ普遍的な感動体験みたいなもの。それが夕陽を観てチルアウトとするならば、みんなが持っているこの想いを何かしらの形にしたり、具現化したら非常に強力なコンテンツになるのではないかとも考えたんです。

夕陽予報のアイデアは気象予報士としての視点

――確かに言葉では言い表せないけれど、いいものはいい。そういうものってありますね。事業として夕陽予報なども提供されていますが、このアイデアはどのようにして生まれましたか。

大間 自分が気象予報士なので、天気予報と同じように夕陽を予報するというアイデアは前からありました。夕陽予報を提供することで各地にある推し夕陽スポットや地元に愛されている夕陽名所のPR、発信のお手伝いになればいいなと。そして新しい観光資源の発掘や、地域の賑わい創出に繋がればなおいいなと考えたんです。
またそれと同時に、気象予報士として天気予報の楽しい使い方や発信をしたいということも考えていました。天気予報は自然災害から国民の生命・財産を守る防災気象という役割があります。その一方で天気予報を楽しんでもらう、言うならば、遊び的な発信をしたいという個人的な想いもありました。
この夕陽予報事業は民間気象会社との協業ですので、私個人的な想いだけでは実装できなかった。企画意図に共感していただき共に仕事をする協業会社のチームには感謝です。

なぜ、夕陽を音楽にするのか。日チル会Music Labとは?

――夕陽をテーマにした音楽プロジェクト「日チル会Music Lab」も始められました。これはどのようなものでしょうか。

大間 先ほどお話した夕陽予報は夕陽観賞のためのツールや、地域の魅力発信に活用してもらう、ある意味でインフラ的な位置づけでの世の中へのアプローチです。それだけではなく、さらに夕陽を起点とした文化、カルチャーを創っていくことを考えたときに、理屈とか実用ではなく、人々の感情に訴求するようなアプローチも絶対に必要であると常々考えていました。その意味で、音楽やエンタメ的なところからも活動を広げていく必要がありました。そもそも夕陽と音楽ってとても相性が良いじゃないですか。これは誰しもが認めるところだと思います。そしてエンタメの力はとてつもない。この領域からも夕陽の魅力を広げていく挑戦をしたかったんです。

――夕陽と音楽。言われれば確かに親和性は高いと思います。

大間 そうなんです。夕陽を眺めているときにふと頭の中に流れてくる音楽があったり、逆に、その音楽を聴くとなぜか夕陽が連想されたりとか。例えば代表的なものだと、ドヴォルザーク「新世界より」第2楽章「家路」などがいい例。この曲を聴くときっと多くの人が夕陽や夕焼けを思い浮かべますよね。そして無性に家に帰りたくなりませんか。(笑)
夕陽と音楽は紐づいている。でもそれらを明確にカテゴライズしたり、ジャンルとして育てていく取り組みはこれまでになかった。そこで様々なクリエーターや表現者とともに夕陽と音楽を融合させて育てていく共創型プロジェクトを起こし、夕陽にまつわる新しい楽しみ方や価値を広げていこうではないか。ということで始まったのがこの企画、「日チル会Music Lab」なのです。

――プロジェクトのスタートとしてご自身で楽曲制作をされていますね。その意図や経緯。ご自身の音楽経験について。各楽曲のコンセプトも教えてください。

大間 夕陽をテーマとした音楽を作ろうとしたら音楽制作会社に楽曲制作を発注すればいいだけのことです。でも、経営者自らが事業テーマ(夕陽)を音楽にしたらあまり前例がなさそうだし、馬鹿げているし面白いんじゃないかと思ったんです。例えば自動車メーカーの社長が自分でドライブソングを作ったら面白くないですか。そんなノリです。
もちろん急に音楽をやりだしたわけではなく、音楽経験は子供の頃からあって、楽器は毎日弾くぐらい音楽が大好きです。日々ため込んだ楽曲アイデアのストックが自身のPC内にあるのでそれをとりあえず形にしていこうと思ったんです。

スタートとして、「夕想」 「SUNSET SUNRISE」 「さよなら太陽」の三曲を作っています。
「夕想」という曲は夕方、トワイライトの空を見上げて誰かのことを想う、おセンチな気分をテーマに作ったものです。作るにあたって最初にあったサウンド的なイメージは80年代風でした。例えばシンディ・ローパーの「Time After Time」みたいな。ボンヤリとした音楽というか。どこかトワイライトや夜の始まりを連想させるサウンド。でも実際に作ったら「Time After Time」みたいにはなりませんでしたけど。(笑)

「SUNSET SUNRISE」これは一聴すると、どこが夕陽をテーマにして作ったんだ?と思われるかもしれませんが、沈む夕陽は昇る朝陽になるという、夕陽が持つ希望だとかエネルギッシュな側面を形にした曲なんです。でもそこには自然の摂理の通り、希望だけでなく良いこと悪いこともある。夕陽をテーマにした音楽というと、「THE チル」的なLo-Fiサウンドやヒーリングミュージックをイメージされると思いますが、夕陽音楽のバリエーションを広げる意味で、こんな解釈や表現もできるのではないかという実験的な楽曲です。

「さよなら太陽」これはとにかくネガティブソングを作りたくて作った曲です。夕方のあの寂しさ、哀愁をイメージしたメロディーラインやオケに、誰しもが感じているであろう悲哀を歌詞にのせる。いわゆるトンチキソング、コミックソング的なカテゴリーですね。聞いていただいたらわかると思いますが、おふざけ的な楽曲です。

――では最後に、日チル会Music Labの今後の展開についてと、日チル会Music Labをどんな存在に育てていきたいか教えてください。

大間 先ほどもお話しましたが、日チル会Music Labは、夕陽×音楽をテーマとした新たな楽しみ方や体験を継続的に生み出していく共創プロジェクトです。このコンセプトに共感していただける様々なクリエーターや表現者を巻き込む形で夕陽と音楽の融合と、夕陽を観るもの”にとどまらず、聴き、創り、共有するものへと発展させてき、新しいカルチャーとして定着させていくことが目標です。そのためにも私自身、今後も手を動かし楽曲制作を続けていきますし、作成した楽曲は「Lab(実験室)」の名の通り完成形とせずに、新たな表現やコラボレーションが生まれる起点として位置付けています。コライトやリミックス、生歌バージョンの制作、MV制作、二次利用など、さまざまな形で楽曲のアップデート、利用を歓迎しています。また、新たな提案や共同制作なども大歓迎です。
夕陽と音楽の新しい表現、楽しみ方、体験を生み出していく挑戦。そのためのハブになればいいなと思います。

撮影=Studio Hybrid

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