編んで贈る、私だけのNo Frills Sweater
思い起こせば、かれこれ1年ほど前のこと。
コロナ罹患+αにより、数年ぶりに超・絶・体調不良な私が迎えた記念すべき40歳の誕生日に、我がOtto氏はこう言った。「40歳おめでとう。女性は40代からがはじまりだから」と。
「女性は40代が最も魅力的だ」と言われるここ仏国で、さもありなん。
たしかにフランスのマダムは、年を重ねるほど身なりが(大抵はいい意味で)派手になる。主語デカで語るのは好きじゃないけど、年を増すほど保守的になる日本人的感覚からするに、これは割と言い切っていいような気がしている。
身近な例でいうと、そろそろ80歳にもなろうかという義母。
ソルド(セール)の時期なんかにショッピングに同行すると、40代ほやほやの私から見てもかなり若者ターゲットのブランドに入っていっては、原色のワンピースやら胸元ぱっかーんのブラウスやらをもって試着室へイン。同じく試着中の他のティーンと、背中のファスナーの上げ下げを手伝ったりしながら「こっちのほうが似合うわ」なんて言い合っている。実に楽しそうだ、私も混ぜてくれ。
かつては、キラキラだのピンクだの花柄だのが大好物だった私。昔、キラキラ系の創作物を振り返らなかったっけな?と思ってnoteを振り返ってみたら、見つけた。ロックダウン前日、謎に徒然していた。
今の私。ユニクロ万歳・ベーシック最高・カジュアル万歳・ヒール無理無理・スカート絶対ロング・バッグはファスナーないと持ちません。
身の丈にはあってるし、楽だけど・・・
なんか、つまんないな。
視線を落とせば、相棒の俺🐶が、『道ゆくマダムにときめきメモリアル🩵みるぅのキュート&クールな1ヶ月コーデ🐶✨』特集が組めるほどの、エブリデー・カラフル男。
「たまには私もパキッとした明るい色、着たい!」そんなムーブが起こるのも、時間の問題だった。

なければつくるし、着たければ編む
たぶん今、私がこの世を去らなくてはならないとしたら、
「なければつくればいいのよ、着たければ編めばいいのよ」
そう言い遺す気がしている。天国で茶でもしばこうマリーアントワネット。
戯言はさておき、編み狂な41歳のマイ・バースデー・プレゼント。結論から言って、それはいつもよりちょっとお高めで上質な毛糸である。編みってのは編む時間こそ大事だからね。上質な毛糸は手触りも違うから。長時間、糸に触れ合うことになるので、手触りはとても大事。
通常、毛糸はネットショップで仕入れられるから、大抵いつもそうしているのだけど、アナログ人間としてはやっぱり実際手にとってみて触れてみて、色だったり風合いが気に入ったものを買いたいのが本音。
港町には残念ながらイケてるメルスリー(mercerie:手芸店のこと)がないが、内陸の街にはお気に入りのお店がある。そのお店で長らく目をつけていた毛糸を仕入れることに決めた。鮮やかなロイヤルブルーの、デンマークのブランドの毛糸。

この毛糸を仕入れたお店は、同年代のマダムがひとりで経営している。毛糸のラインナップがかなりよくて、好きなものがたぶんかなり似ていて、結構通っているので名前で呼び合えるくらいの関係。社会的つながりゼロ人間としては、こういうお店こそ大切にしたい。
色に関して。いつか書きたいと思って書けてないけど、一時帰国で妹がプレゼントで連れて行ってくれたパーソナルカラー診断によれば、私は多分このロイヤルブルーが似合う。実際、昔から好きですでに何着か持っているし。

たとえばこのロイヤルブルードレスは一番お気に入りかもしれない
診断中、ドレープを合わせたときに顔色がパッと明るくなったのが、ロイヤルブルーとマゼンタっぽいパキッとしたピンク。さすがに派手なピンクはちょいと抵抗があるので、馴染みのあるブルーで毛糸をチョイス。
色の主張が強いので、デザインは限りなくシンプルにいきたいところ。
デンマークニットデザイナーPetiteKnitのロングセラー、NO FRILLS SWEATERのデザインで編むことにした。

今まではポンポンが付いていたり、穴が空いていたり(=レース模様)、模様編みだったり。せっかく自分で編むのだからと、何かと個性を求めていたが、今回ばかりはとにかくシンプルで、上質で、実用的なものを追求することにした。シンプルこそが最も難しい!ということを痛感することを知らずに。
Ready Go!No Frills Sweater
以下、写真とともに、セーターが出来上がっていく様子をご覧いただきたく候。俺はヒト服編みで優秀なアシスタントで、グッジョブ連発。
1日目:襟元リブ

伸縮性のある作り目でスタート
2日目:Rangs Raccourcis


3〜6日目:Augmentations Raglans
ラグランの増し目をしながら、胸元にむけて編み進める。





細かすぎてわからないアレ

7日目:Division du corps et des manches
胴体部分と両腕を分割して、以後、胴体部分・右腕・左腕と分けて網進める。




8〜13日目:Manches(両腕)
胴体部分の糸が終わった(=メリノの糸が2玉ちょうど終わった)ので、先に腕から仕上げる。
どの編み図でも大抵、最初に胴体を裾まで仕上げてから腕に取り掛かるとあるけど、私はキリのいいところ(糸玉を使い切るタイミング)まで胴体を編み終えたら、胴体はそのままにしておいて、腕から先に仕上げてしまうタイプ。

寒い時期に上質な毛に囲まれることほど、心地いい時間はない。


順調に編み進めていって、腕本体からリブ部分にうつり、輪針を4mmから3mmに変えて編んでいたときに、悲劇はおきた。
折 れ た・・・・・

怪力少女でも怪力マダムでもなんでもないんですけどね私。。。
3mmの針って繊細なのだなと反省しつつ、代用になるものとして運良く3mmのDouble Pointed Needlesを持っていたので、切り替えて編み進める。

俺のにらみもきいている


ブルー&ブルー

今まで編んできたセーターは、自分の腕が短いからといって、編み図よりもかなり短く編んでいた。でも、着たり洗ったりなんだりしているうちになんだかんだで短くなるので、編み図どおりに編むようにした。


出来上がりがたのしみ

14日〜15日目:ほぼほぼ完成
両腕が編み終わったら、あともう少し。
ずっと座右の銘が「大は小を兼ねる」だったのに、ケチってギリギリで買ってしまったから、メリノの毛糸がほんのあと胴体リブ部分の2センチだけ足りない・・・!たかが2センチ、されど2センチ。内陸にいくタイミングで、追加でひと玉購入してきた。時間ロス!


あとは糸始末


16日〜:Blocage
毛並みを整えたりなんだりと色々な効果があるらしいblocage(ブロッキング)
というものをする。個人的には絶対したほうがよくて、まず着心地が段違い。毎度のことながら、俺のお風呂をお借りした。


今回みたくデリケートな素材はバスタオルで水をよく吸水してから
完全に乾くまで平干し
数日後・・・乾いたら、完成!
あいにく、我が家のいつもの編み写真スポットの壁色がターコイズっぽいブルーなもので、今回に限ってはなかなかセーターの色が映えないのですが、、、
仕上がりは、シンプルイズベストの権化といっても過言ではない。なんといっても、とても綺麗なブルー!!



着た感じ、チクチク感ゼロオブゼロ。感動!
わたくし顔はNGなので、首もと以下で素敵な着画をどうしたら撮れるのか、永遠の課題。


これを着てるんるんで内陸の街に馳せ参じた際、編み師匠の義母が初見で、「あらとっても素敵。お店で買ってきたのかと思った(=既製品だと思った)」と。つまりは単純に君のこと素敵だと思ったってことでよろしい?Oui。Yey!
さらさらっと編み進んでいるように見せていたけど、「シンプルこそが最も難しい!」という所以について。
単調なジャージー編みなので、ちょっとでも編み目が揃わないと、それがかえって目立つ。特に私は変なところで完璧主義なので、ちょっと気になるとその部分を編み直したりして、意外に時間がかかってしまった。ポンポンだのレースだの装飾がついてると、いままで色々誤魔化せていたのだな・・・。むしろシンプルなものこそ難しいのだなと悟った。
針が折れたり、毛糸が足りなかったりとハプニングはあったものの、糸や編み図を選ぶ時間も、編んでいる時間も、着ている時間も、なにもかもが贅沢で、うれしくて、心躍る。
これこそが、自分のために贈る最高の誕生日プレゼントといえよう。

というか、そこ、のらんといてーーーー!
